息子に誘われて「ルックバック」というアニメ映画を観に行った。息子が小学生くらいの時は、よく一緒に「ポケモン」や「名探偵コナン」を観に行ったが、私自身、「ルックバック」というマンガを読んだことも聴いたこともなかったし、そもそもアニメ映画だとも知らなかった。
映画「ルックバック」については、このnoteにもかなり多くの記事が寄せられており、私のような素人があえて語るべき蘊蓄は持ち合わせていない。
しかしながら、確かにストーリーは素晴らしかったし、楽しさ、嬉しさ、感動、そして悲しみが散りばめられたステキな作品だった。私が最も心を打たれたのは、登場人物の背景に描かれた風景の素晴らしさだ。人物画が良くないと言っているわけではない。このストーリーでは、藤野と京本が役割分担し、藤野がストーリーと人物を、京本が漫画の登場人物の背景部分を描くという役割分担をしていたのだが、私が「美しい! 素晴らしい!」と思ってしまったのは、登場人物のキャラクターやストーリーの展開もさることながら、描かれているバックに山が連なる晴れの田園風景や夕暮れの田んぼ、山形の雪景色の道路などすべてが美しい。藤野が自室で漫画を描いている部屋、藤野が訪ねた京本の家、本屋や夜のコンビニも非常に緻密に描かれているのだ。背景だけに目を向けると、なんだか現実の風景や動画を見ているかのような錯覚に陥るほど美しい。
この漫画の作者である藤野タツキ氏は秋田の出身で山形にある東北芸術大学に通っていたことを知った。京本の話し方が東北訛りで、京本の進学した大学が山形の美術大学だったのはそういう作者の背景がったからなのだろう。上記の山形の風景は本当に素晴らしい。