見出し画像

シンクに吸い込まれる水の向きは北半球と南半球ではちがう?

 オーストラリアにはこれまで10回ほど訪れたことがある。その折だったと思うが、「浴槽やシンクでたまった水を流す時にできる渦の回転向きは,北半球と南半球では違う」と教えてもらったことがある。北半球では反時計回り、南半球では時計回りになるそうだ。私も自宅とオーストラリアで渦の回転を確認してみたが、確かに逆向きだった。

 その時は、「へぇ、そうなんだ!」と思ったのだが、果たしてこれは本当なのか。いまはこれは俗説だとされている。半球で向きが変わる俗説は、1962年にNature誌に掲載されたマサチューセッツ工科大学のシャピロ教授の論文で説明されている.シャピロ教授は実験は北半球のアメリカ・ボストンで行われ、渦の回転方向が反時計回りになることを確かめた。その後、南半球のオーストラリアで行われた追実験では、渦が時計回りとなることが確かめられた。    <字数:2102文字>

 実際には何が渦の向きを決めているのは、「コリオリの法則」と関係があるとのことだ。コリオリの力の話をする前にまず慣性と慣性力について説明する必要がある。慣性とは、外部から力が働かない限り、静止している物体は静止を続け、運動している物体は等速運動を続けるという性質のことだ。 慣性が働く例としてだるま落としが挙げられる。横から打たれたパーツ、つまり外部から力を加えられたパーツのみが弾き飛ばされ、外部から力を加えられないそれ以外のパーツは水平方向に静止を続けるので、打たれたパーツよりも上にあるパーツは重力の働きにより真下に落下する。ただし、正確には、摩擦が働くため、でこのような現象が起こるのは打たれるパーツが十分な速度で打たれた場合に限る。

ここから先は

1,411字

¥ 390

私の記事を読んでくださり、心から感謝申し上げます。とても励みになります。いただいたサポートは私の創作活動の一助として大切に使わせていただくつもりです。 これからも応援よろしくお願いいたします。