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失われつつある「ことば」~日本編~
言語消滅の動きは、日本も例外ではない。日本に消滅する言語があると言われても、ピンとこない方も多いと思う。
(上記地図の引用元:大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立国語研究所「博物館・展示を活用した最先端研究の可視化・高度化事業『消滅危機言語・方言の展示を通した最先端兼研究の可視化・高度化』」)
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UNESCOが発表した『Atlas of the World’s Languages in Danger』に掲載されている日本国内の言語は、8言語が消滅の危機にあるとされており、掲載されている8言語とそれぞれの危機の度合いは次のとおりだ。
【極めて深刻】アイヌ語
【重大な危機】八重山語、与那国語
【危険】八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語
(※ユネスコでは「言語」と「方言」を区別せず、全て「言語」で統一している。)
いくつかある中で、一番消滅危機にあるアイヌ語を紹介する
アイヌ民族は狩猟や漁業、採取によって自然と共生してきた民族です。しかしながら、決して閉鎖的ではなく、他の民族とも活発に交易を行っていたのも特色のひとつだ。また、アイヌ語は文字を持たず、口承によって伝えられてきた。アイヌ語はどのようにして成り立ったのだろうか。アイヌ語と日本語はどのような関係があるのだろうか。アイヌ語と日本語がもとは同じ言葉だったという説もあるが、現在のところ正しいアイヌ語の知識と研究方法に基づいて、十分な根拠を示している説はなく、アイヌ語の成り立ちは、日本語と同じようにまだ未解決のままといえる。
現在アイヌ語を継承しているアイヌ民族の数が極めて少ないため、アイヌ語は近いうちに消滅してしまう「消滅危機言語」の一つとなっている。2007年の推定では、約1万5000人のアイヌ民族の中で、アイヌ語を流暢に話せる母語話者は10人しかいなかった。別の推定では、アイヌ語を母語とする人は千島列島・カムチャッカ半島では既に消滅し、樺太でもおそらく消滅していて、残る北海道の母語話者も平均年齢が80歳を越え、母語話者数も10人以下となっている。
アイヌ語の歴史は明治時代以降、日本語による教育をはじめとするアイヌ民族の同化政策が押し進められ、アイヌ語は日常生活から急速に姿を消していった。大人のアイヌ民族の集まりなどでは、自然にアイヌ語が口をついて出たが、子どもたちには、その将来を考えて、アイヌ語より日本語を身に付けさせようとする親が多かったという。その結果、次第にアイヌ語は「滅びゆく言葉」とみなされるようになってしまった。日本語とも関係が深く、日本語は、アイヌ語がルーツとなった言葉がいくつか存在する。例えば、北海道の県庁所在地札幌は「乾燥した広大な大地」を指すアイヌ語「サッ・ポ
ロ・ペッ」が語源だ。他にも知床(シリ・エトク=陸の突端)、稚内(ワッカ・ナイ=水の豊富な沢)、十勝(トカプ=よく晴れる場所)、また青森県の三内、岩手県の遠野など、数え挙げればキリがないほど、アイヌ語にルーツを持つ日本の地名は多い。アイヌ語を起源とする地名が、かつて多数住んでいたアイヌ民族の痕跡のようだ。また、アイヌ語がそのまま日本語に溶け込んだ単語もたくさんあります。「昆布」「鮭」「ラッコ」「トナカイ」「シシャモ」などがそれにあたる。逆に、「サケ(酒)」「クスリ(薬)」「メノコ(女の子)」など、日本語由来でアイヌ語になった例もある。
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