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チームの発想と解釈を混ぜ合わせる「アイデアマッシュ」な考え方

アイデアはアウトプットではなくプロセス

アイデアと言われると、成果物(アウトプット)のイメージを持ちがちですが、どちらかといえば、思考の分岐点や転換点などプロセスの中に目を向けることでアイデアは生まれます。また、そのアイデア自身もプロセスの一部となり、また新たな流れを生み出します。

なので、「アイデアの拡散と収束」という言葉をよく使いますが、実は「プロセスの分岐・転換と統合」と捉えるほうが自然なように感じています。それは、「アイデア=アウトプット」というイメージでいると、「拡散」と「収束」ではなく、単純なアイデアの「大量生産」と「選定」という流れに知らず知らずのうちに陥ってしまうからです。

アイデアがたくさん出てくることは歓迎すべきことだけれども、「デザイン・ドリブン・イノベーション」の著者でも知られるロベルト・ベルガンティ氏の言うようにアイデアに溢れすぎていては、大量に発想すること自体が目的化してしまったり、本当に大切なものを見失いがちです。

“いま我々は暗闇で生活しているわけではありません。この世界にはアイデアが洪水のようにあふれています。これ以上アイデアは必要でしょうか? 大きなチャンスをつかみきれないのは、暗すぎて見えないのではなくて、明るすぎるからではないでしょうか。人が愛するものをデザインしようとしても、アイデアが多すぎて正しいものが選べない。今日的なイノベーションの問題はここにあるのです。”

ここでは、アイデアを闇雲に出すのではなく「本当に意味のあるもの」をどう捉えていくかが重要であると述べられていると考えています。

アイデアの分岐・転換は、どうやって起きる?

アイデアの分岐点や転換点は、対話によって生まれます。一人だけで考えている時も、自己対話をおこなっているはずです。つまり、アイデアはアウトプットとして外化しただけではなく、それをもう一度見つめて問い直すことが大切です。「本当に意味のあるもの」なのか?ということも良くある問いかけだと思います。そういう、ボケとツッコミや、冷静と情熱、感性と論理、飛躍と着地などなど2つの視座を自分の中で持てるとアイデア発想は豊かになっていきます。

しかし、一人ではどうしても自分の範疇に留まってしまうので、特に他者との対話が「拡散」するには良いのですが、自分とバックボーンは異なるけども目指すビジョンを共有している(「スパーリング」などと言いますが、いいね!ばかりではなく適切に批判し合える)他者というのはなかなか見つけるのは難しいです。

チームだからできること・むずかしいこと

そう言う他者同士が集まる“特性”を持った集団はあります。それが「チーム」です。何をもって「チーム」と呼ぶのかということはいろいろありますが、今回は

専門性や視点の異る他者が、あるビジョンや目的を共有して物事に当たる状態

くらいに捉えてください。こういう状態は、プロジェクト単位や部署ごとでもよくあることだと思います。(専門性の違い具合はそれぞれですが)

そして、そんなチームでアイデアを出し合うということもよくあることです。しかし、それぞれが違う視点だからこそ、みんなで持ち寄ったアイデアや情報をうまく「拡散」と「収束」するのは一苦労です。なので、一度アイデアをマッシュ(混ぜやすいようにやわらかくする)することが有効です。

「拡散」するには、間をつなぐこと

「拡散」とは、連続性・関連性のあるものです。なので、散発的なアイデアを結びつけるという発想が新たに必要です。特に複数人でアイデア出しをおこなった場合には、このアイデア同士を結びつけるための発想が重要です。下の図のように、間をつなぐ棒をどう引くか?ということが肝です。「どのアイデアとどのアイデアがつながる?」「どういう関連性で紐づける?」など、実はアイデアを発想する以上にここが一番発想することが必要です。(分析してしまわず、もしかするとこうかも?くらいの発想で紐付けた方が良いです)

ここでありがちなのが「〇〇系」みたいにアイデア自体の特徴でカテゴライズしてしまうことですが、これは拡散的思考ではなく、早々にアイデアの広がりをせき止めてしまう囲いを作ることになってしまいます。なので、アイデア自体ではなく、その要素や発案者の思いなどを捉えていきます。

▼こんな視点でマッシュしてみる

・このアイデアで、何を成したかったのかに目を向ける
・どんな道筋で、このアイデアに至ったのか考えてみる
・なぜ、このアイデアでないといけないのか?と考えてみる

注:ここでは「発想法」ではなく、アイデアへの向き合い方について書いています。

アイデアと言うアウトプットされたものの、過程を捉えようとすることで繋がりの糸口が見えてくるのです。その延長には何があるのか?逆に考えてみたら?こっちに曲げてみよう!など次の拡散先が見えてきます。

「収束」するには、新しい概念をつくる

収束は、文字通り拡散するために紡いだ繋がりの糸を束ねていくことです。そう、束ねるための糸がまた必要なのです。ここでも分析ではなく、結束するための概念を新たに発想します。

▼こんな視点でマッシュしてみる

・これとこれは、発想に至る「思い」は近いかも
・使う人の「気持ち」は、こっちのアイデアでも同じかも
・これもこれも、成したい目的・意味は一緒なのかも

注:ここでは「発想法」ではなく、アイデアへの向き合い方について書いています。

どれも「かも」で終わっているように、ここでは正解などはなく、それぞれの目線で「こうかもしれない」と言う括りをたくさん出すことが大事です。その解釈の幅が、アイデアをさらに深めるキッカケにもなります。つまり、収束は全部のアイデアから一つにまとめに入るのではなく、今回はどんな花束に仕上げて届けるかの一例でしかないのです。

特に事例もなく、かなり抽象的な話で進めてきましたが、ちょくちょく注釈を入れていたように、これができればOK!な「発想法」を書いているのではなく、こう言う姿勢・向き合い方でアイデアを扱ってほしいと言う思いで書きました。

私自身もそんな姿勢で向き合えるように、アウトプットに寄ったスケッチだけではなく、思考・発想の過程や解釈を付帯できるアイデアスケッチやグラフィックレコーディングと言う手法を使いながら「アイデアマッシュ」な考え方でやっています。その辺に少し触れたnote記事も合わせてどうぞ


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