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デザインのはなし

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私のデザイン観みたいなものや、日々のデザイン活動の中で思うことなどなど
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デザインワークにおける「アナロジー」のススメ

私の好きな発想法「アナロジー」についての話をしたいと思います。そもそも、なぜ好きかというと、単純に発想法の中でもダントツにプレイフルなやり方だと感じているからです。自分一人でおこなう時もそうですが、複数人でのアイデア出しなどでは、人によって違う見立てや、「なるほど!そこを引っ張ってきたんだ!」という自分では思いも寄らない発見がもたらされて、個々の発想だけでなく、対話が生まれやすい手法です。 そんな「アナロジー」を、どんなふうに使っているか、少し紹介していきます。 アイデア

プロダクトのリデザインプロセス

HDDの整理をしていたら、学生時代にまとめたらしい「デザイン」のプロセスについての資料が出てきました。これは基本的な「リデザイン」のプロセスで、大きくは学校課題であっても仕事であっても当てはまるものだと改めて感じたので、紹介します。(にしても、まめに資料化していた過去の自分に驚いています。) 競合他社・既存製品の分析 サンプル製品を、中のステンレス内容器ごと真っ二つにしたことを覚えています。「リバースエンジニアリング」という言葉がありますが、そのように各部の寸法を計測した

チームの発想と解釈を混ぜ合わせる「アイデアマッシュ」な考え方

アイデアはアウトプットではなくプロセス アイデアと言われると、成果物(アウトプット)のイメージを持ちがちですが、どちらかといえば、思考の分岐点や転換点などプロセスの中に目を向けることでアイデアは生まれます。また、そのアイデア自身もプロセスの一部となり、また新たな流れを生み出します。 なので、「アイデアの拡散と収束」という言葉をよく使いますが、実は「プロセスの分岐・転換と統合」と捉えるほうが自然なように感じています。それは、「アイデア=アウトプット」というイメージでいると、

#意味のデザインの事例を探る研究会 スケッチノートでリフレクション

株式会社ミミクリデザインの運営するWDAの公開研究会に参加しました。 テーマは「意味のデザインを科学する」参加者全員で意味について考え新たな視点を生み出すことを目的とした研究会でした。以前一緒に「意味のデザインとは?」と言う研究会を行なった小田裕和さんのお話です。ご本人による速報レポート↓ 見えているが、誰も見えていないものを見えるようにすること「研究」について、立教大学の中原先生が述べていた言葉だそうです。まず研究会にどんな気持ちで臨んでほしいかの参加者全員で共有をし

分析と発想の抽象と具体

話の"抽象度"の違いや思考の"方向性"で話が噛み合わない…多かれ少なかれ、こんな「あれ?話が噛み合ってないなー」と感じる経験は誰もがあるはずです。それは、専門性や考え方の違い、はたまた勘違いや認識の違いなどなど…原因を探って行こうとするといくらでも挙げられます。 しかし、ある程度の大枠で「今はこの話をしています!」という共通認識を持つことで改善されることも多いと思っています。特に様々な人が集まるワークショプでは、それぞれの領域にとどまらず、この枠の中に(一時的にでも)収まり

アイデアを「スケッチ」すること

「みなさん、普段アイデアは何に書きとめていますか?」私は、A5ノートとA7のメモ帳にそれぞれ「ツラツラ描く用&打合せ用」「とりあえず思いつきメモ用」で分けています。また、iPhoneのメモ機能で文章として絵文字混じりでアイデアを書き残していたりします。そんな、自分だけのノートに普段はアイデアを描きためて、たまに見て、描き足して、ぬか床のように熟成させていますが なかなか、そうはいかないのが「お仕事の話」 ワークショップ形式で、プロジェクト参加者にアイデアを発想してもらう時も

イミ視点とワケ視点

イミ(意味)とワケ(理由)似てるけど違う、この二つの言葉…モノゴトを考えるときには、この違いを意識して自身(や周りに)問いかけないと、無意識のうちに思考が引っ張られているなんてことも起こります。 例えば… 『カレーが辛い理由は?』 そう聞かれたら、あなたなら何と答えますか? 例えば 「スパイスに含まれる...が作用しているから」のように、辛さを感じるメカニズムを思い浮かべる人もいれば、「もともと、暑い地方では...食欲の増進が必要だから」と成り立ちや歴史を紐解く

「意味をひらく」ことで見える事

これは、老子の言葉です。モノゴトにはカタチ(有)と意味(用)が与えられており、このふたつの関係で価値(利)が創られています。(…と、この言葉から解釈してます。)  ※ここで言うカタチとは「様(さま)」と捉え、プロダクト・サービス全般を指して「モノゴト」と表現しています。 いま「意味のデザイン」が注目されている背景では カタチをつくるための元になる「意味」が、まるで一つの正解しか無いかのように、みんなで同じような「意味」に対してカタチを与えようとしているから、どこの製品

デザイナーになって気がついた、絵を描くことの意味

最近、改めて絵を描く意味ってなんだろうと考えるようになりました。 工業高校からデザインを学びに都内の芸術系大学へ進学して、それ以来「絵を描く」という行為は常におこなってきました。 しかし、工業高校から出てきたので、大学入学時は絵などほとんど描けずに「パースってなんですか?」レベルで、描ける絵といえば図面的なアイソメの絵がほとんどでした。それでは、さすがにやってはいけないのでスケッチの本を読みあさり、片っ端から他人のスケッチを真似るところから始めました。おかげで絵を描くこ