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【思考の整理学】を読んで

時代を超えて残るもの

神宮 みかん

電車に乗っていた。ふと目をあげた。すると、つり革を掴み外山滋比古『思考の整理学』を読んでいる方がいた。

 『思考の整理学』は私の愛読書の一つである。だから必死に目を本に落とす姿に見入ってしまった。

何かの偶然であろうか。私が下車する駅がたまたまその方も下車する駅だった。

 下車後、その方は本を鞄にしまうと思いきや、あまりにも熱中しているのだろう。エスカレータを乗りながら『思考の整理学』を読み続けていた。

 私は『思考の整理学』を初めて読んだあの時の感動に再会できたと嬉しくなった。

 はたと『思考の整理学』の中で【時の精査を経て初めて価値がある】という主旨の一文があることを思い出した。

 換言すれば、『思考の整理学』という本も出版当時から時の精査を経て、外山滋比古が他界した今日でさえ読まれている。つまり、考えが生き続けている。

 その観点からより一歩踏み込んで言えば、現代に今でも影響を与える聖書や論語等は筆舌に尽くしがたい。

 余談であり比べるのはおこがましいが、私の小説も6年経った今も未だに前橋ラジオで朗読されている。言い換えれば、6年間は時の精査を経ることができた。

 ありがたい話である。

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