【E-H】 600 HIPHOP VINYL RECORDZ -CLASSICS OF THE 90’s n 00’s- BY SHOTAHIRAMA
E-
The East Flatbush Project “Tried By 12” (1996)
ブルックリンのアングラトラックメイカーがやがて世界的に認知されることとなる"あの"和モノネタを使ったクラシックはこの12インチに。日本の古謡「さくらさくら」を60年代に活躍したフォークシンガーのオデッタ・ホームズがカバーした「Sakura」その冒頭で聴ける大正琴をピッチアップしループ。大発明とも呼べる奇跡の琴ループは世紀のキラートラックと化し、ヒップホップを超え、かのオウテカやスクエアプッシャーらがリミックスするほどに。
Ed O.G & Da Bulldogs “Life Of A Kid In The Ghetto” (1991)
南部のジャクソン5と呼ばれたファミリーグループSylversのフリーソウル名曲「Swept For You Baby」をがっつり使った「Stop」って甘いあまーい曲がすっごい好きでそこから彼らを知ろうと思って買った1枚。ボストン史上最高最強ラッパーEd O.G.のグループ編成ブルドッグスのデビューアルバム。昔、ソウルスクリームのDJ CELORYが雑誌で絶賛してた。
El Da Sensei “Summer Time Bluez” (2002)
Richy PitchやJ-LiveにAsheruなどを輩出するNYシティボーイ系レーベルSeven Headsより、説明不要のミッドナインティーズエムシー登場。鳴りが心地よいリムショットに、ボッサ風のアコギストロークがタイトルまんまの表題曲。バックサイドには、この手のシーンを牽引するLone CatalystsからJ Rawlsがトラックメイクした「Speakin’」を収録。所謂ジャズヒップの括りで他を軽く凌駕する7Headsサウンドクオリティに毎回魅了されてしまう。
El Da Sensei “Where Ya At?” (2000)
Kev BrownやVisionariesを擁するカリフォルニアのUp Above Recordsからリリースしたチリンでリラクシングな1枚。歌うはニュージャージーの大先生、レジェンドArtifactsからEl Da Sensei。Summer Mixと題されたフロントサイドでループされてる美しいハミングはQuincy Jones「Summer In The City」で歌うValerie Simpsonの声。トラックはブルックリンのDJ 3D。
Electric: “Levitate/Goodnight” (2004)
ブーンバップなトラックメイキングでソロとしても活躍しているトラックメイカー兼MC Insight率いるボストンのグループ(Electric Companyが正式なグループ名)。彼らが05年にリリースする唯一のアルバム「Life’s A Struggle」からのリードシングル。同時期に同じ場所で似たような活動をしていたグループMission:のエムシーMoe Popeも在籍していたので、これでピンとくる人も多いはず。もう違う事なくジャズヒップ。(Moe Popeが抜けたMission:はその後カリフォルニアでCrown City Rockersとして活動)
DJ Eli • Shan Boogs “Cloudkickers” (1999)
NYCトラックメイカーDJ Eliが、映画監督でもある盟友と組んだCloudkickersなるユニットでリリースしたディープブーンバップ。表にはミスティな燻製系ピアノと、ナスティなキックnスネア。マイクには変態CageとMasai Bey。裏はバッキバキッのソリッドスタイルで、マイクはJ TredsにYeshua Da Poed。両面ともにFondle’Em上位トラック。
El-P “Deep Space 9mm” (2002)
ブルックリンのCompany Flowから中心人物であった異端児が02年に自身のレーベルから放った1枚。治安の悪さが際立つ超絶重厚なシンセメイクには電子音楽界隈が好きな連中だってきっと息を飲むほど(過去にはAlec Empireともコラボ)。60年代にニューヨークで活動していた電子ロックの先駆けSilver Applesの「Water」からビートを抜き出し遅回しした混沌ビート(やっばい)。ソーシャルディスタンスが必要な唾吐き捨て系ラップも下手なんだけどかっこよい(かつて世話になってたRawkusレコーズへのディスも)。銃口を突きつけられるPVも最高。
El-P, Murs, Shing02 & Yeshua Da Poed “A Day Like Any Other Remix” (1998)
日本のMary Joyから2枚組でリリースされたコンピ「Tags Of The Times Vol.1」に収録されていた神曲を12インチで。まぁ冷静じゃいられない豪華メンバーで笑ってしまう。Company FlowからEl-P、LAクルーLiving LegendsからMurs、ブルックリンのWee Bee FoolishからYeshua Da Poedそして日本代表はShing02。マイクを持ち回していく圧巻の8分間はそれぞれのターンごとにトラックが姿形を変えていく仕掛けで、プロデュース陣営にはAlchemist(Mudfoot名義)や、Yeshuaとユニットを組んでいたSiahが参加。わろてる場合じゃないな。
El The Sensei “Frontline” (1999)
実はDaがTheだったArtifactsのセンセイ、ソロ単体としては最初の12インチ(00年発売の「Where Ya At?」からDa表記になってる)。02年に発売されるファースト「Relax Relate Release」に収録。一緒に歌うはクイーンズからOrganized Konfusionの2人と、ブルックリンのMike Zoot、そして注目はTru Criminal Recordsからのリリースで知られるStreet SmartzのメンバーF.T.ことウィンストン・モリス。プロデュースはShawn J Periodということで、確かにRawkusっぽいメンバーだなと納得。ジャケのイラストはセンセイ本人によるもの。
El The Sensei “Got Dat?” (2000)
ニュージャージーのレジェンドユニットArtifactsとして華麗なる90年代を築きあげ、30年経つ今もなおソロでハッスルし続けるセンセイが00年にリリースした隠れ名盤。なにが名盤って、この1枚、実はプロダクションが超絶豪華。フロントはRawkusファンにはお馴染みHi-Tek、裏はブロンクスDITCからBuckwildと、俺得でしかない内容。ゲストスピッターにはDiamondまでもが参戦。凄いな。
El The Sensei “Keep It Live” (2000)
オスカー・ピーターソンの作品にも名を連ねていたジャズギタリストJoe Passによる「A Time For Us」で聴ける哀愁ドープネスなエレキリフが渋くていなたい。インストたまらん。ちなみにカップリングされている「Brainwash」も「Under Pressure」もすべて良い。Artifacts解散後、ソロワークスを続けたSenseiによる最後の”The”名義、本作以降は”Da”に改名している。
Eminem “Stan” (2000)
我々トラックメイカーに多大なる影響を今もなお与え続けるブロンクスのビートキングレジェンド45Kingが手掛けた、恐らくキャリア最大のヒットソングとなったであろう1曲。ロンドンのシンガーソングライターDido「Thank You」をがっつりそのままはめ込んだ悲壮感漂うトラックに、狂信的なファンとの悲惨なエピソードを歌うあの男。この男の想像を絶するスピットスキル、豊かなストーリーテリング能力、なにやら彼の特性すべてが楽曲にマッチし時代を象徴する作品に。
Eminem / Pharoahe Monch&Shabaam Sahdeeq “Any Man / WWIII” (1999)
Rawkusが98年から続けてるレーベルコンピレーション「Rawkus Presents Sound Bombing」の99年第2弾期に展開された12インチシリーズ”The Singles”は全5作あり、そのパート2にエミネムとBeatminerzという夢のタッグが出現する。ネタはミニー・リパートン「Adventures In Paradise」のギターとベースによる重厚なファンキンリフを組み替えたやつ(ヤバっっ)。バックサイドにはクイーンズ代表Organized Konfusionからファロア・モンチと、Spinna擁するPolyrhythm AddictsからShabaam Sahdeeqがコンビになって登場。
DJ Enuff & Jiv Pos “What’s That Rhythm?” (1996)
みんな大好きNYの伝説的ミックステープレーベル(兼ブッキングエージェンシー、98年に売上不振に陥り閉店ガラガラ)TAPE KINGZから、ビギーのツアーDJもやっていたブルックリンはフラットブッシュEnuffの12インチ。パーティーブレイクだけをコンパイルしたもので、ビートサンプリングにどうぞ。
Eric Sermon “Bomdigi” (1995)
重心がとにかく低めのぶっといくっろいファンクネスに、背後から割込み雪崩れ込むMary Jane Girls「All Night Long」のメロウグルーヴが無茶苦茶っぽいけど不思議と心地よい。ロングアイランドの伝説、EPMDからエリック単体のアルバム「Double or Nothing」からのシングル。
DJ Evil Dee “Bootcamp Beatz” (1996)
彼こそがBeatminerzで、彼こそがブラックムーンで、だからこそこんな威厳あるタイトルを銘打つとて、誰も文句を言わない訳で。唯一無二のトラックメイカが解き放つビートオンリーなホワイト盤。煙たい煙たいブーキャンビーツが、6曲。全部サンプリングしちゃうもんね。
F-
The Fabulous Five “Blah / Leflah” (1995)
Heltah Skeltahの2人(Jahmal “Rock” BushとSean “Ruck” Price)に、Originoo Gunn Clappazの3人(Starang Wondah、Louieville SluggahそしてTop Dog)が集まった"脅威の5人"から成るグループ。同年、本作のプロデューサーでもあるBuckshot傘下即ちBCCへ加入以降、個々のグループ活動も本格的になりFab5のリリースは無し。ブーキャン史の前日譚的な意味合いもある1枚で、リスペクトの度合いが違う。個人的にはバックサイドのBaby Paul(フロムBeatminerz)プロダクションで、フィラデルフィアのJazzファンクバンドCatalystの「Uzuri」ネタが聴ける。
Fair One feat El Da Sensei “Fame” (2006)
ニュージャージーのレジェンドユニットArtifacts、97年の解散から時は過ぎやがて気付けばゼロ年代。エムシーEl Da Senseiはこんなところにいました。因みにFair Oneってアーティストをまったく知らないんだけど、トラックもリリックもやたらとエモくて哀愁感だか高揚感だかで涙腺に響く。かっこいい。当然センセイの掛け合いも良きでジャケもいい(良くない?)。見つけたらすぐ拾っちゃおう。
The Family Tree “A Close Knit Family” (2001)
これ聴いておけばNo I.D.じゃない側の、所謂アングラ00年代系のシカゴジャジンが把握出来るはず。弁護士ラッパー・キャピタルD率いるレーベルAll Natural Incのポッセらが一堂に会したシカゴファミリアな2枚組LP(2枚目はインスト)。とかいいながら注目はA3、オハイオのLone Catalystsから個人的に敬愛してるJ Rawlsがプロデュース参加したトラック(歌うはDaily Plannet)。
F.A.T.A.L. Fountain “All About Wars” (1997)
Buckwild作品ではマイナーながらも、個人的には彼のトラックメイクベスト10に入るやつ。サイケやボレロなど、南米ネタ好きにはお馴染みチリ代表Los Angels Negrosによる「Como Quisiera Decirte」から、サイケっぽい響きのオルガンとアコギを。これがまたスロウ&ソロウで、哀愁系の旋律がかなり沼。ビートはThe Honey Drippers「Impeach the President」ってね。鬼かっこいい。
Fat Joe “Watch The Sound” (1993)
DITCメンバーでラティーノ系ヒップ(彼はプエルトリコとキューバのハーフ)の顔役でもあっておまけにこの巨漢っぷりと、濃ゆいキャラが大人気のファットジョー2ndシングル。しっかりと腰で腕を振り抜くハードパンチャーなキックnスネア(ドンドンっターンじゃなくてバンバンっパーン)にEddie Bo「Love and a friend」のワンフレーズを差し込んだうっるさいニュースクールワークはDiamond Dプロデュース。Grand Pubaもマイクリレー参加。バックサイドはBeatnutsミックス。
Finsta And Bundy “Sunnyside” (1993)
タイトル通り陽だまりのような柔らかいエレピがゆらゆら揺蕩うスロービートの微睡み系メロウ。ドリーミーの極地。ネタはシカゴのR&BバンドYoung Holt Unlimitedの「Wah Wah Man」から。ブーキャンがたむろする東ヒップの最前線ブルックリンは"Bushwick"という労働者階級の地区にて小さな派閥を作っていたFinstaとBundyがユニットでリリースした最初の12インチ。A2は地元の大先輩BeatminerzからRich Blakによるミックスワーク。ちなみにFinsta”and”Bundy名義。
Finsta Bundy “Boogie Spirit” (1998)
ブルックリンの北側(クイーンズ寄り)労働者階級が多く集まるブッシュウィックから我らがワーキングクラスヒーローFinstaとBundy。フロントは、スヴェン・リーヴェクというノルウェーの音楽家による「Misty Canyon」からヴィブラフォンを抜き取りループさせたリラクシンでチリントラック。プロダクションは勿論BeatminerzからEvil Deeだが、こんな爽やかなトラックもいけるのよね。同じBeatminerzからバックサイドではRich Blakがプロデュース、こちらはメロウさは皆無、SEみたいな音響の中を淡々とダウンビートが走る。
Finsta Bundy “Don’t Stress Tomorrow” (1998)
Shadez Of Brooklynなどを擁する地下ブルックリン派閥"Bushwick Zone"で特別大きな人気を集めていたデュオ(FinstaとBundy、ジャケにはDJのPrimetimeも)。フロントサイドはKool & The Gangの「Winter Sadness」をピッチあげて使ったスモーキーメロウ。ちなみに同じシーンで活躍していたDysfunkshunal FamileeのD.RockがゲストMC参加。バックサイドは先輩Evil Deeがプロデュースで、プリモの名作『New York Reality Check 101』にも収録されたニューヨークヒップホップ賛歌。
Finsta Bundy “Feel The High Pt.2” (1997)
Pt.2とはその名の通りで、本作は95年にリリースされたシングルの続編。ダークな印象が強かった前作は彼らのセルフプロデュースだったのに対し、本作ではBeatminerzのEvil Deeが担当し、明るめ?気分が高揚するサウンドが魅力的。プリモの伝説的MIXテープ「New York Reality Check 101」に収録されてることでも有名だね。バックサイド最後にPt.1にあたるオリジナル「Feel The High」が収録されてるのは嬉しい(マイルス・デイヴィス「Lonely Fire」から悲哀に満ち溢れたトランペットを使ってる)。
Finsta Bundy “Who I Be” (1995)
90’sアングラヒップ最右翼にして、ブーキャン派ビートマイナーズ界隈でもある、FinstaとBundyによるブルックリンユニット。キャリア初期にあたる本作、表題曲はFinstaがセルフメイク。ノロノロダラダラとブリったA1も良いが、A3ではオケ違いでピアノネタが入ったスロウジャジンなトラックに仕上がっているのでそれをおすすめしたい。バックサイドにはリッチ・ブラック(Beatminerz)がサックス奏者Lou Donaldson「Pot Belly」で聴けるエレキギターをフックに使ったスモーキートラックを楽しめる。
Five Deez “Funky / Hey Young World” (2003)
Lone Catalystsと共にオハイオ州シンシナティから、日本でのHydeout系ジャズヒップブームを牽引したPase Rockら4人組。彼等が03年にリリースしたセカンドアルバム(2020年には日本で再発されるほど)に収録されていた2曲が聴ける12インチ。プロデュースはFat Jon。表題曲は不自然なほどトラックもラップも速く、まじで置いてかれた。
The 45 King “Beats of The Month January” (2000)
Nick WizやRan Reedのクラシックを多数リリースする、NYCアングラヘッズはご存じBronx Science Recordingsから巨匠45 King登場。マンスリーリリースとかいう企画の本作は1月発売にあたるもの。スロウでメロウなブンブンバッ(プ)なものから、B5で聴けるめっちゃ速いハウス風トラックまで、ビート神らしいファンキンな黒ループ(転調なしの漢気ワンループ)を10本収録。さいっっこう。
Frankenstein “The Rain is Gone” (1996)
トロントのマッドトラックメイカーがその他大勢を卓抜したカナディアンヒップ伝説マスターピース。悲壮100%から成るイルシットピアノと、癖になっちゃう陰鬱100%ハミング「ナナナナァ」と。どうしてこんなに暗いのに最高にヒップホップなの。どんなに控えめに書いてもクラシック。終盤にMobb Deep「Shock Ones Part II」が擦られてたり。
Frankenstein “What Does It All Mean / The Pain Remixx” (1996)
カナダアングラ中心地であるトロントのミッド90sを支えた代表的なエムシーとして真っ先に名を挙げたいFrank FallicoことFrankenstein(違いは分からないが頭にドクターを冠するDr. Frankenstein名義もある)。そんな彼のセカンドシングルは傑作「Frankenstein’s Pain」に引き続き、期待を裏切らない謎すぎる効果音をひとつふたつループさせただけの隙間と空間ばかりのダークな音響世界が展開される。それでもキックとスネアとハットだけはまっすぐ叩かれる、なんとも形容し難い唯一無二のミニマルブーンバップにとにかく頭を振ってしまう不思議すぎるグルーヴ。バックサイドには前述したファーストシングルのリミックスが収録されており、より頑丈なビートを纏っている。
Freestyle Fellowship “Temptations / Ghetto You” (2002)
Good Life Cafeなるカフェで、夜な夜な開催されていたオープンマイクイベントでの出会いをきっかけに結成された4MCグループ。本作は01年に発売されたサードアルバムからの12インチカット。カリフォルニアのオルタナ系フリースタイルを牽引するAceyaloneを中心に、Mikah9などモンスター級の饒舌エムシーが織りなすコンシャスなマイクリレーを楽しもう。
Fugees “Fu-Gee-La” (1995)
ジャズピアニストのラムゼイ・ルイスによる「If Loving You Is Wrong, I Don’t Want To Be Right」をネタに、フックでローリンが歌っている"ウーラララー"もティーナ・マリーの「Ooo La La La」から引用。プロデュースはNasとも絡んでいたSalaam Remi。バックサイドにSly&Robbieミックスがあるも、SalaamがNorth Side Mixと名付けたセルフミックスが間違いなくハイライト。
Full Circle “Recognize” (2018)
トロントの現在進行形な2人組(兄弟)がChuku Recordsから17年リリースの7インチに遂に6曲入りEPをボム。浮遊系からミニマルドープまで、所謂な北米アングラをしっかり抑える丁寧な暮らし系ブーンバップ。A1にはレジェンドMathematik(Down To Erf)の従兄弟にあたSolar C(CrossLakes)が参加していて、歴史あるカナディアンヒップを現行アーティストが継承してる感アツイ。
Full Circle “The Season” (2017)
90sから現行ものまでカナダはトロントのアングラシーンのみにフォーカスするChuku Recordsよりカタログナンバー4。CrossLakesらと共に地元の現行シーンを支える2人組で、Still WatersをマイクにBest Keptをビーツに。浮遊空間系エレピに、マッシヴなブーンに硬ってぇバップに。トロントといえばいつもこんな感じで、今も昔もいつだってそうで、漢は黙ってソリッドbutミニマルなんで。
Funkdoobiest “Bow Wow Wow” (1992)
DJ Muggs率いるサイプレスヒル及びSoul Assassins派閥が巻き起こしたラティーノアメリカン勢による一大ミクスチャー系ヒップホップブームなるものがあって。そんなクルーから出てきたのがこのグループFunkdoobiest。西海岸、ベイエリアといえば必然的にファンクがルーツになる中で確立されたこの手の音楽だが、記念すべき彼等のデビュー12インチもまさしくブンブン弾んだベースにファンキンドラムでまさにそれ。プロデュースは当然マグズと、リンプビズキットのDJリーサル。これもヒップホップ。
Funkdoobiest “Which Doobie U B?” (1993)
サイプレスヒルやハウス・オブ・ペイン、奴らと共にSoul Assassinsなるラティーノ/チカーノ系中心の一派を形成(主導者はサイプレスのDJマグズ)していたファンクドゥービエスト、記念すべきデビューLP。ドラムは屋根まで弾むし、スクラッチは胸ぐら掴むし、どうにかブレイクダンスしたくなる。ギャングとファンクのミクスチャー、西海岸チカーノアメリカン恐るべし。
Funkdoobiest “Wopbabalubop” (1993)
ラティーノ系最大勢力Soul Assassins一派からファンクドゥービエスト、2枚目の12インチ。ゲストに本家サイプレスのB-Realが参加したファミリー愛しかないサウンドがパンパンに詰め込まれた最上級のバウンシーチューン。ネタはド頭から終始リトル・リチャードの「Tutti Frutti」とまぁ、とにかく全力で弾みまくり頭縦に振りまくり。めちゃくちゃかっこいい。プロデュースは勿論マグズ。というかこういうサウンドを形容する時に使う言葉が"マグズ"なんだろうな。
Funky DL / ATL “Triangular Rotations / Is It A Dream?” (1999)
UKジャズヒップの真打ちで、ここ日本ではNujabesのフックアップもあり相当な知名度があるエムシーFunky DLから99年セルフレーベルリリースの12インチ。滑らかジャジンな表題曲は同年リリースのアルバム「One Another」からの人気曲。この時期のDL作品を多く手掛けていたトラックメイカーATLがリミックスしていて、バックサイドにもATL名義での楽曲が収録。
Funky DL “Day By Day” (2001)
なんてったってネタが良い。悲哀に満ちたアコギの旋律よ。ミシガン州デトロイトに拠点を置いて活躍したジャズギタリストEarl Klughによるアコースティックソング「Long Ago and Far Away」をまんま(77年のアルバム「Finger Paintings」に収録で、100円コーナーでディグれた。所謂安盤ギタリストだが、良い)。物憂げなサウンドは故Monorisickで、歌うはUKロンドンからのジャズマナーエムシー。バックサイドには故Nujabesミックス。これぞハイドアウトプロダクション。
Funky DL “Everybody Rock On” (1999)
ロンドンエムシーFunky DLが、タイミングとしてはハイドアウトでリリースを始めるかなどうかな的な99年頃。実は自らが運営しているレーベルWashington Classicsからで、要は日本のリスナーに浸透する以前。それでもまぁやっぱりスムージーでジャジンな1枚。根っからのジャズマンなんだろな。
Funky DL “Slow Down / Not Yet Known” (2002)
バカ売れした表題曲はNujabesを代表するジャジー系12インチだったりするが注目はバックサイド。名曲「Very Special」を歌うあのデブラ・ローズの兄としても知られるサックス奏者ロニー・ローズの「Friends And Strangers」をネタにしたB1がめちゃくちゃお洒落。色褪せない安定のハイドアウトプロダクション。
Funky DL “Unstoppable” (2000)
イギリス人ラッパーが2000年当時日本で大流行したジャジー系ヒップの最右翼だったハイドアウトクルーに参加し大ブレイク。トラックは代表の故Nujabes、ヒット曲であるバックサイドにも同じクルーからDJ Deckstreamこと故Monorisickがリミックスを担当。
The Funky Man “Check The Method” (1996)
ファンキーマン名義のLord Finesse(DITC)がどうやら自主でリリースしたとかいう幻のアンオフィシャル、ホワイト盤。バックサイドでは盟友Diamond Dをゲストに迎えたゲットファンキーな曲が聴けるが、これは自身の名曲「Flip Da Style」とまったく同じトラック(ジョニー・ロビンソン「Green Green Grass Of Home」ネタ)を使いまわしたもの。
G-
Gang Starr “Code Of The Streets” (1994)
サックス奏者モンク・ヒギンズの「Little Green Apples」を上ネタに、ブレイクビーツネタとしてはこれ以降定番化するメルヴィン・ブリス「Synthetic Substitution」を混ぜ合わせたプレミアが織りなすギャングスターの名に偽りない名曲。ストリートに怪しく漂うダークサイド感半端ないモンスタートラック。裏面はJeru The DamajaやグループホームのLil’Dapが参加したブルックリン界隈が集まった身内ポッセカット。
Gang Starr “Ex Girl To The Next Girl” (1992)
レアグルーヴ界隈でも評価が高いオルガン奏者シーザー・フレイザー名作「75」に収録されているスロウ・ファンクチューン「Funk It Down」からトランペットが高らかに鳴るサビパートをループ。ネタに合わせて2人もまったりなので、こちらもゆったりゆらゆら"ただ揺れるだけ、踊れなくてもいい"スウィングしてバップしてヒップしてホップだろなスロウ・ヒップとでも呼んでおこうかしら。92年「Daily Operation」期ギャングスター屈指の名曲。
Gang Starr “Jazz Thing” (1990)
スパイク・リーのジャズ映画『Mo Better Blues』に提供されたギャングスターの、ヒップホップの、多分ヒップホップとジャズにおいてのいわゆる音楽史的名曲。サンプリングされるジャズではなくて、演奏されるジャズみたいな。ヒップとジャズを両腕で器用に操る奇才プレミアと、語らう詩人・故グールーが衝撃的だった。ジャケ裏にスパイクのコメントがあって、この作品が若い人にとってジャズを聴くきっかけになりますように的な。故ECDもかつてとある雑誌でこの曲を絶賛してたな。ブルックリンに伝説的名作が産まれた瞬間。
Gauge “Off Key” (1997)
ブルックリンはフラットブッシュ(ブッシュウィックよりも下)からGauge The Mental Murderahの名義でも知られるソロラッパー・ゲージ。バックサイドにて同じフラットブッシュから我らがCella Dwellasを迎えた名曲「Cranium」のリミックスを収録した1枚。この曲を聴くための1枚。
Genius/GZA “Cold World” (1995)
ウータン最年長ジニアスことジザ、個人的にはグループで1番好きなエムシーだったり。勿論プロデュースは一族の長RZA。奇怪な雰囲気を創出する印象的なディレイギターはドラマティックスの「In The Rain」からで、軸となっているサウンドはスティーヴィー・ワンダーの「Rocket Love」から。
Germ feat. Lin Que & Finsta “It’z Uzelezz” (1998)
ドイツ・フランクフルトのローカルMCがブルックリンのブーキャン派ユニットFinsta BundyからFinstaを、同じくブルックリンからX-Clan周辺と絡んでいたフィーメールラッパーLin Queを招集した最早アングラでもオーバーグラウンドでもない規格外のワールドワイド12インチ。なによりバックサイドのEvil Dee(Beatminerz)ミックスが悶絶するほどにかっこいい。ドープシットが過ぎる。
Giant Panda “Super Fly” (2005)
People Under The StairsのThes Oneと共にTres Recordsを運営する日本人Chikara Kurahashiが、Chikaramangaなる名義でマイクを握り在籍するカリフォルニアのアングラグループGiant Panda。NewmanとMaanumentalを含むパンダのデビューアルバム「Fly School Reunion」からカットされた12インチは、ファミコン風8ビットサウンドが耳の中を駆け廻るオールドスクールなエレクトロラップ。電子サウンドもThes Oneプロダクションらしい一面でPUTSファンはマストだが、個人的にはNewmanメイクのバックサイド「90’s」がハイライト。いきなり”The night is on my mind~”のヴァースで幕を開けるATCQクラシック「Midnight」続編作!
God Sunz “1-718” (1998)
RakimやDasEFXなどをプロデュースしてきたブルックリンの大物プロデューサーDomingoが手掛けたマイナーグループGod Sunzによるデビュー12インチ。Ak SkillsやStreet Smartzなど"名だたる無名"をひっそりとリリースしてきた、裏ニューヨークをガイドするレーベルTru Criminal Recordsから。
Goodie Mob “Soul Food” (1996)
とにかくフックよね、もう完全に生粋の純粋なるソウルミュージック。”Come and get yo' soul food, well well Good old-fashioned soul food, all right Everythang is for free As good as it can be Come and get some soul food”ってね、目を瞑ってゆらゆら揺れて踊ろう。様々なリミックスやバージョンがあるなかで、まるで南部版Rootsのような生演奏が堪能できる本作のLive Remixが個人的にはおすすめ。勿論Organized Noizeプロデュース。
Grand Puba “2000” (1995)
ニューヨークはニューロシェル発、スーパーグループ・ブランドヌビアンで名を馳せたグランドプーバがソロで当てた(2ndアルバム)ヒップ史屈指の人気作。2000年到来を示唆してるのか、よくわかんないスーパーカーに乗り込む未来感溢れるジャケやタイトルとは裏腹に由緒正しきサンプリングベースのザmid90sなトラックがずらり。しかもいい曲ばっか。デバージネタでお馴染み「I Like It」にはラテンジャズ名手カル・ジェイダーの「Never My Love」も混ざってるよ。
Da Grassroots “Body Language” (2000)
衝撃のデビュー作「Drama」から5年、Mr. Attic、Mr. Murray、故Swiffから成るトラックメイカートリオ最後の12インチ。マイクはChoclair(ショークレア)とSaukrates、どちらもこのシーンではお馴染み。ブレイクビーツはLou Rawls「Lifetime Monologue」からで、哀愁漂うギターアルペジオは不明。ミニマルでスロウなホゲ系ブーンバップ、彼等が居なかったらトロントがカナダアングラのメッカになることはなかったのかも。
Da Grassroots “Drama / Living Underwater” (1995)
Down To ErfやCitizen KaneにSic Senseなど群雄割拠の90sカナディアン(トロント)ヒップシーンでも頭ひとつ抜きんでた人気盤Da Grassroots「Drama」そのブート盤。ジャズピアニストPete Jolly「Leaves」で聴けるまるで夢の幻影か記憶の残像か、中毒属性の揺らぎ系エレピをループさせたこれぞアングラヒップな正統派クラシックスタイル。メロウな上ネタにはソリッドなブーンバップを、カリフォルニアのサイケバンドIron Butterfly「Soldier In Our Town」から拝借したビートの方が実は曲への貢献度高いんだよな。
Grav “C’mon” (1996)
シカゴ系が好きな人にはめっちゃ人気かどうか知らんけど、唯一リリースしたLPが最近めちゃくちゃ高くてびっくりした(同郷カニエによるめでたき初期プロデュース作品だからか?)そんなアルバム「Down To Earth」からのシングルカット。ただ、ここに収録されてるのはカニエではなくてAndy Cプロダクション(メアリーJやレイクウォンなんかをやってる)。ゴリゴリ舌足らずなオラオラ悪態系フロウにへんてこなグルーヴがやけに癖になるバックサイドがおすすめ。NYのCorrect Recordsより。
Grav “SEX” (1996)
スムージー・メロウ・ジャジーと、グッドヴァイブスなヒップに必要な三拍子全て揃った12インチはシカゴのアングラエムシーGrav(本編のアルバムでも唯一のメロウトラック)。プロデュースはシカゴサウンド生みの親NO I.D、ちなみにバックサイドの「City To City」は若かりし頃のカニエ・ウエスト(勿論カニエもシカゴ)。いや、とにかく表題曲がやばいメロウスムージー。ネタは70年代のヴォーカルグループSide Effectのディスコクラシック「Private World」(プロデュースはクルセイダーズのWayne Henderson)をまんま。Warren Gも「Dope Beat」で使ったね。カニエサイドにはBeatnutsから脱退したばかりのAl’Tariqが参加。内容が良い。
Group Home “Dial A Thug” (1998)
プリモ期を経て、よりドスの効いたハードコアサウンドとマインドを展開する2ndアルバム「A Tear For The Ghetto」から1枚。陰鬱なピアノがワンループ、マフィア映画のSEみたいなオーケストラ。サグすぎて風邪ひくほど、絶対的2nd派にはたまらんドープネス。因みにLil’Dapの実弟Jack The RipperとBrainsick Enterprizeなるユニットを組むBLKSTARがマイク参加。
Group Home “Express / Run For Your Life” (1997)
プリモ全面協力のもと、ミッドナインティーズのニューヨークシティすべてをドロっと溶かして固めたような歴史的名盤「Livin’ Proof」から数年後。ギャングスターファウンデーションの恩恵から離れた裏路地で、かつての2人が紡ぐ漆黒のゲットーネスハードコア讃歌。変貌を遂げた2ndアルバム「A Tear For The Ghetto」からのシングルカット、暗くて寒くて切なくて。でも俺はこの時期の方が遙かに好き。
Group Home “Livin’ Proof” (1995)
ジャズピアニストRamsey Lewis「Collage」で聴けるフェンダーローズをまるでモールス信号のように。サビ部分ではWu-Tang「C.R.E.A.M.」でのInspector Dechのフックをコスリ入れたり。”Leave it up to me while I be living proof”と”Life as a shorty shouldn't be so rough”って。プリモ史上最高トラック。あと何気にB1の「Supa Dupa Star (June 1994 Demo Version)」が大事。
Group Home “Make It In Life” (1999)
ギャングスターファウンデーションの大注目株として、プリモプロデュースで作り上げた歴史的傑作「Livin’ Proof」から4年。気付けばプリモの手を離れて制作していたセカンドアルバム「A Tear For The Ghetto」からの12インチカットが本作。マーヴィン・ゲイ「Life is a Gamble」ネタの表題曲も悪くなかったけど、個人的には兎にも角にもバックサイドのAlchemistプロデュース「Stupid Muthaf*ckas」がとにかくかっこいい!ネタもクソもない、船の汽笛みたいなホーンがひとつ、ストリングスが一音、以上。超ド級ミニマルブーンバップにリリックも緊張感強め。まじでGH史上1番好きな曲。
Group Home “Supa Star” (1994)
プレミアチルドレン(ギャングスターファウンデーション)のNutcrackerとLil’ Dapが飛ばした最大のヒットシングルがこのデビュー作。"ヒップホップ史上最も売れたシングル"とか本当かどうかは別としても、まぁとにかく神懸かってかっこいい。5th Dimension「He’s A Runner」からはじまって、Cameoの「Hangin’ Downtown」を組み替えた上ネタにJB「Funky President」をビートに。プリモの真骨頂がここに。
Group Home “Suspended In Time” (1996)
プレミアと故グールーの秘蔵っ子としてギャングスターの作品や同じ派閥のジェルー・ザ・ダマジャの作品にも度々顔を出してきたNYを代表するデュオ・グループホーム。インクレディブル・ボンゴバンドの「Pipeline」で聴けるティロリーンって柔らかいオルガン?エレピ?をピッチダウンしたネタにかっつんかっつんのキック&スネアはプレミアらしさしかないが、この曲を含んだ彼らのデビューアルバムは東海岸のヒップホップを代表する名作になった。声質は好みが別れるかな、なんだろ、でも雰囲気だけは超絶一級品。
G-Side “Relaxin’” (2011)
南部も南部、アラバマ州最大の都市ハンツビルにて99年に結成された2人組がヒットさせたテン年代インディーヒップ良曲を7インチで。古き良きダーティサウスへのメランコリックな夢見心地メロウを背中に、あっち特有の煌びやかなシンセティックサウンドも手伝ってか、チキチキゆうのにしっかりチルくてしっかりレイドバックってゆう。すべてが現行シーンにアジャストされた新時代のサザンヒップ。
Guru feat. Lil’Dap “The Way It Iz” (1997)
ヒップホップドキュメンタリーとして公開された映画「Rhyme & Reason」のサントラから正規のリリースでは無いホワイト盤12インチ(通常は白ラベルなんだけど、これはホワイトのブートでオレンジ色、さらにマジックで書き込み)。歌い手はギャングスターのグールーに、feat.にグループホームのLil’Dap。ネタはさすがはギャングスターファウンデーション、フルート奏者ヒューバート・ロウズ「La Jean」のフルートをフックに使用。ドラムはサンフランシスコのロックバンド、Sons of Champlin「You Can Fly」から。メロウの対極地、悲哀に満ち溢れた哀愁系ソロウSorrowなトラック。
Guru’s Jazzmatazz feat Angie Stone “Keep Your Worries” (2000)
実はファッション工科大学に通ってた我らがマスターオブセレモニー。ヒップでジャズする相方とは違い、ジャズでヒップする彼のストリートソウルな側面が遺憾無く発揮された3rdアルバム「Guru’s Jazzmatazz」から。哀愁コーラスを歌うAngie Stoneに全部持ってかれちゃう愛しさと切なさのドラマチックRnB。EPMDのDJ Scratchプロデュース。
Guru’s Jazzmatazz “Keep Your Worries / Lift Your Fist” (2000)
Guruのもう一つの顔であったJazzmatazzが、00年リリースの3rdアルバム「Street Soul」より2曲を12インチカットした1枚。フロントサイドはディーヴァAngie Stoneが儚くフックを歌い上げるそばからGuruがジェントルな声で語るように寄り添っていく、切ない系RnBデュエット。ちなみにプロダクションはEPMDからDJ Scratch。そしてバックサイドの「Lift Your Fist」は、演奏も含めプロデュースがフィラデルフィアから大所帯、Roots様御一行の登場。GuruとBlack Thoughtのツーエムシーがエモいので是非。
H-
Hard Knocks “Nigga For Hire” (1991)
Wild Pitchメイドのブロンクスハードコアシット。盲目のソウルマンClarence Carter「Looking for a Fox」で聴ける鬼ほどかっこいいブルージィベースラインをワンループ。バックサイドもJB「I Got To Move」をワンループ。3'Da Hard Wayとしても知られる2人(マイクにHardhead、スクラッチにStoneface)唯一のアルバム「School of Hard Knocks」より。
Headnodic “Now A Daze / The Drive” (2005)
ボストンのジャズヒップクルーMission(現在はカルフォルニアでCrown City Rockersを名乗る)からトラックメイクを担っていたブーンパップマジシャンHeadnodicソロシングル。ハンガリーはブダペスト出身のジャズギタリストGabor Szabo(ガボール・ザボ)による超絶究極極上メロウ「Gloomy Day」で聴けるアコギとエレピのメインメロディーをループしたバックサイド「The Drive」がマスト。歌うはコロラドのチームThe Procussions。当時、入荷日に買った思い出エモさポイントもあり、なんだかとても大好きな1枚。
Heltah Skeltah “Operation Lockdown” (1996)
西のAlkaholiksからE-Swiftが手掛けた東のブーキャンクラシック。レペゼン・ブルックリン、個人的には彼らの作品で1番好きな12インチ。ジャズギタリストのジョージ・ベンソン「Theme From Summer Of 42」で聴ける美しいハープをネタにしたダークスピリチュアルなトラック。バックサイドはDa BeatminerzのMr.Waltがプロデュースしたこちらはなんとなく正統派ブーキャン。
Heltah Skeltah “Therapy” (1996)
Boot Camp Clik一派の秘蔵っ子Jahmal Bush (Rock)と故Sean Price (Ruck)で成るヘルタースケルターが、同年にリリースしたデビューアルバム「Nocturnal」に収録していた代表曲をシングルカットした1枚。ビブラフォン奏者ミルト・ジャクソンとベース奏者レイ・ブラウンのビッグバンドによる「Enchanted Lady」で鳴るエレピ(ジョー・サンプルが弾いてる)を使って柔らかくしなやかなネオソウルトラックに仕上げたのはBeatminerzのBaby Paul。メロウなコーラスはクレジットによるとLisa Eagle-Eyeによるものだが、Vinia Mojicaが歌ってるという認識もあったのだが。。さて、所謂LPバージョンはA3で聴けて、A1はブーキャンの長Buckshotがリミックスしたもの。ちなみにB3には個人的に彼等で1番好きな曲「Operation Lockdown」のスキットにあたる「Lock Down Skit」が収録。
Hi-C “Skanless” (1991)
コンプトンクラシックとして知られる1枚だが、なかなか見つけるのが大変。DJ Quikもプロデュースに携わっていて、ゴリゴリなオールドスクールからG系な感じまで。ビリー・スチュアートをまんま使ったメロウ名曲「Sitting In The Park」が大好きすぎる(Junior DelahayeのWackies名盤「Showcase」にもカバーがあるね)。ちなみにHi-Cは正真正銘ブラッズ系のギャング。
Hieroglyphics “The Last one” (1998)
西海岸カリフォルニア州オークランドのハイエロといえばDel The Funky HomosapienやCasual、DominoにSoul Of Mischiefらを擁するスーパークルー。そんな彼らのファーストアルバムにして代表作である「3rd Eye Vision」からの12インチカット。ギャングスタでもないLAニュースクールでもない独自のウェッサイはハイエロならでは。バックサイドの「Oakland Blackouts」はメロウなのにドープでまじでかっこいい。
Hieroglyphics “Powers That Be” (2003)
オーストリアのアヴァンジャズRoland Kovacによる「Bottle Ghost」イントロ部分をピッチあげて使ったサスペンスフルな趣きがよい。メンバーでもあるドミノがプロデュース、歌うはカリフォルニア州オークランド随一のエムシー陣。バックサイドはクインシー・ジョーンズとレイ・ブラウンにアントニオ・カルロスジョビンがオーケストラを組んだ「Go Down Dying」を使ったスピーディーなマイクリレーが聴ける。
Hieroglyphics “You Never Knew” (1998)
西はベイエリア・オークランドの芸達者を集わせたハイエロ一派がポッセ総動員で放つこれぞハイエログルーブな12インチ。ソウルクイーンことパトリース・ラッシェンの歌声(「Didn’t You Know」からのサンプリング)をフックに持ってきたスイートメロウな表題曲は90s後期でありながらも古くからのヒップファンらにもきっと満場一致でクラシック認定だろう。
Hi-Fidel And DJ Crucial “The 10th Wonderful / Rainbow Beach” (2002)
地元ミズーリ州セントルイスの伝説クルーAlps Cruをリミックスしたことでアングラヘッズには名の通るDJ Crutialが、隣のイリノイ州シカゴのアングラソロマイカーHi-Fidelとタッグを組んだプロジェクト。アングラの二乗。01年にCDのみでリリース(ヴァイナル化希望)されたアルバム「Traveling Between St. Louis And Chicago」でも確認できるが、とにかくCrutialの哀愁ソウルメロウを主軸とした燻され系ブーンバップトラックがまぁじでかっこいい。前述したアルバムにも収録されている表題曲は、インプレッションズ最初のリードシンガーJerry Butler「Yes, My Goodness, Yes」(Bobby Womackとの共作)で聴けるヴィンテージかつグルーヴィーなギターリフをまんま使っており、まじ、控えめに言っても最高、天才、天最高な神トラック。
The High & Mighty “Dick Starbuck Porno Detective” (2000)
エムシーHighことMr.Eonと、トラックメイカーDJ Mighty Miがタッグを組んだペンシルバニア州フィラデルフィアのユニット。2人が99年にRawkusからリリースしたファーストアルバムからの12インチカット。A3に収録されてる「Top Prospects」にはDilated PeoplesのEvidenceと、Likwit Crewから孤高のソロマイカーDefariが参加したAlchemistプロダクションのトラックが聴ける。全曲暗くてクール。
The High & Mighty “Dirty Decibels” (1999)
フィラデルフィアの2人組がNY最深部を牽引するレーベルRawkusで放ったデビュー作「Home Field Advantage」からシングルカットした1枚。トラックメイカーDJ Mighty Miによるヘヴィなギターリフ(ネタはサイモン・ハスリー「Hammerhead」冒頭部分をまんま)が組み込まれたハードトラックに、エムシーHighことMr.EonとゲストのPharoahe Monchが唾吐きながらマイクリレーするダーティな骨太ミクスチャーチューン。ちなみにMos DefとMad Skillzが参加するRawkusアンセム「B-Boy Document」のラジオバージョンがバックサイドに収録。
The High & Mighty feat Mos Def, EL-P, Mike Zoot “B-Boy Document” (1998)
後にRawkusを代表するユニットにまで成長するフィラデルフィアのHigh&Mighty出世作。稀代のラッパーが揃いに揃った超絶豪華なマイクリレーは聴きごたえ十分だし、タイトル通りヒップホップを見事に体現してみせたかのようなオールド風B-Boy賛歌にはリスペクトしかない。ブルックリンズ・ファイネスト我らがMos Defのターンは鳥肌もの。
Hillfiguz “Up On Prospect / Boom!” (1996)
ボビートじゃないほう、ストレッチが運営する安心安全クオリティのDolo Recordsより、ブルックリントリオHillfiguzからセカンドシングル。表題曲はドイツのディスコグループSilver Convention「You Turned Me On」ネタで、原曲頭出しで聴けるファンキーなチョッパーリフ(これがまた最高にかっこいい)をまんまループしたスロウブーンバップ。インストを是非。
Hi-Tech “All Time Einstein” (1997)
スーパープロデューサーHi Tekじゃない方のHi-Techは、ブロンクス(後にヨンカースへ引越し)のスーパーマイナーエムシー。アングラ好きには名盤認定されている「Book of Life」でタッグを組んでいたDJ Shokと再び共に作り上げた12インチ。Hi-Tech作品が好き即ちShokが好きなのよ。ミニマルの先にある何処となくシニカルなブーンバップトラックが最高に好き。フロントで聴けるキラキラなピアノネタなんか特にそう。ただ、必聴はバックサイドの「The Music」で、JBの「Baby, Here I Come」をチョップしてて、Shokワークス1位かも。
Hi-Tech “Book Of Life” (1996)
みんなが知ってるRawkusのHi Tekもアングラだが、こっちのHi Techはもっとアングラ。綴り違いでこうも違う、誰が知ってんだか、ブロンクスのマイナーエムシーが人知れず放った本作は彼のセカンドシングル。プロダクションはこれまた超絶マイナーキングDJ Shok(ベルギーの再発レーベルBack 2 Da Source Recordsから彼のキャリアをまとめたLPが出てる、欲しい!)で、チル&メロウな表題曲もいいが哀愁感半端ない暗いカップリングも聴きごたえある。
Hi-Tech “24/7” (1996)
ブロンクスからヨンカースに引っ越したエムシーHi-TechとDJ Shok。僕の地元の隣町。世間的にはまったく評価されてない本作だけど、どう聴いたってかっこいい。というのも本来この2人だと同年リリースの「Book Of Life」が傑作とされてるが、正直こっちの方がトラックはかっこいい。プリセットかな?と思うぐらい、狂気じみた単調どミニマルビートに、薄過ぎて聴こえぬワントーンのピアノが仄かに鳴るだけ。淡々とスピットしてる彼が正気で、こちら側がおかしいのかな。不安になるほどかっこいいぜ。そして、バックサイドは例の「Book Of Life」続編が収録。トラックはShokからJaybizに交代。サイレントなヒップが聴きたい夜に。
Homeliss Derilex “Cash Money” (1996)
いきなりあのダミ声でダラダラビルヨーって、ゲッゲッゲッダマニー。メソッドマンの声ネタをたっぷりスクラッチしたその名も「Cash Money」は、カリフォルニアのサウスベイからめっちゃ声が可愛いエムシーGrandとトラックメイカArchitectのユニットによるストーンズスロウ作品。ちなみにバックサイドに収録「Operations」が極上チルなスムースジャジントラックで、正直こっちが必聴。
Homeliss Derilex “In The Mix / Raise It Up / Unite” (2004)
カリフォルニアのサウスベイから、かつてはストーンズスロウからのリリースも経験している実力派ユニットによる同年リリースのアルバム「Raise It Up」からのシングルカット。表題曲はPlanet Asia、RascoそしてTurbinを従え、ソウルフルでヴィンテージなギターリフネタでジリジリと燻し攻め立てるスモーキーなハードボイルドサウンド。注目はバックサイドの「Unite」で、ジャズピアニストAhmad JamalによるSpinnersのフィリーソウルクラシックをカバーした「Ghetto Child」で聴ける美しいエレピをループさせたソウルジャズなトラック。煙たいし、チルだし、レイドバックできる聴き心地抜群の良曲。隠れた名曲ね。
Hoodratz “Bootlegga” (1993)
地中奥深く、アングラをいききったようなクイーンズの超絶マイナーデュオ。スチャダラサマージャムと同ネタだった「Murdered Ova Nuttin’」が変態メロウフリークにハマりがちだが、Onyxの獣道真っしぐらなこちらもジャケのまんまメンチ切ったようなバウンシングハードコアで最高。ドラムはLonnie Smith「Spinning Wheel」だね。A2にまさかのIrv Gottiリミックス。
Hoodratz “Murdered Ova Nuttin’” (1993)
アングラと呼ぶにはマイナー過ぎるか、知る人ぞ知るクイーンズハードコアの2人組Hoodratz唯一のヒットシングル。スチャダラパー「サマージャム95」とまったく同じネタでもある、ヴィブラフォン奏者のボビー・ハッチャーソン「Montara」ネタを使ったA2のリミックスがとにかくとにかくとにかく最高にメロウで、これは是非おすすめしたい。
Hoodratz “Sneeke Muthafukaz” (1993)
クイーンズからLamont LakeとMark Eason(どちらかがDoh Dohという名前でトラックメイク、どちらかがDingbatという名前でラップしている)、2人によるマイナーユニット唯一のフルアルバム。先行シングルとしてリリースされていた代表曲「Murdered Ova Nuttin’」をはじめ、全曲Onyx風な跳ね跳ねぶんぶんまるベースラインとホーンにエレピと耳障りな甲高いラップ。それでいて速くもなく遅くもない、ミドルテンポなトラックばかり。総じて諸々ハードコアの獣道一直線だが、どうやらまったく売れず評価も低い。今だからこそか、再評価でクイーンズのレアグルーヴ感あり。
Hurricane “The Hurra” (1995)
ジャケデザインがX-Largeってのがまず良い。良すぎる。かつてはBeastie BoysのDJでもあったクイーンズのDJ Hurricaneが自らプロダクションとマイクを握ったソロアルバム。ビースティファミリーとゆうことで、レーベルはGrand Royalだし、A3とB7にはちゃっちかり連中が参加。B7「Stick’em Up」に関しては奴らプロデュースで、Fatback Band「Put The Funk On You」の地を這うベースラインを軸にしたファンキンミクスチャーサウンド。ハリケーンとビースティらによる大合唱スティケマッ!スティケマッ!がたまらんっ。
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