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【M-P】 600 HIPHOP VINYL RECORDZ -CLASSICS OF THE 90’s n 00’s- BY SHOTAHIRAMA
M-
Madlib “Slim’s Return” (2003)
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オックスナードのビートコンダクターが、ブルーノートの秘蔵音源をフルコースで調理してみせたアルバム「Shades Of Blue」から1枚。ピアニスト、ジーン・ハリスの「Book Of Slim」を真っ黒なソウルジャジンビーツに仕上げた表題曲はアルバムでもハイライトになるほどの名曲(KRS-Oneの声ネタ入ってくるとこ好き)。その他ドナルド・バードやホレス・シルヴァーを使ったトラックなど、A1以外は実はアルバム未収録なので是非。
Madlib “Tracks From Shades Of Blue (Madlib Invades Blue Note)” (2003)
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カリフォルニアの片隅オックスナードから世界へと躍進する彼の、謂わばそのきっかけともなった怪作「Shades Of Blue」から1枚。老舗ブルーノートから正式に使用許諾が降りた膨大な秘蔵マスター音源を、彼独自の発想で甦えらせた真のジャズヒップホップとはまさに読んで字の如しな内容。個人的にはバックサイドのドナルド・バードネタ「Steppin’ Into Tomorrow」が好きだが、Madlib本人がヴィブラフォンまでもを扱うボビー・ハンフリーネタのA1がハイライト(地元の旧友MEDもエムシー参加してる)。
Mad Lion “Carpenter” (1997)
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イーストコーストのラガヒップ先駆者、Mad LionがKRS-Oneプロデュースでリリースしたサードアルバム「Ghetto Gold & Platinum Respect」からカットした12インチ。表題曲を差し置いて、個人的にはバックサイドの「New York」が凄い好き。イタリアのシンセ奏者ジョルジオ・モロダー「Chase」から抜いた耳にやたらと残るイタロディスコなベースラインがめちゃくちゃかっこいい。是非、インストを。
Mad Lion “Point Blank” (1995)
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ロンドン生まれのブルックリン育ち、ラガそな奴らは大体友達。ブラストマスターKRS-Oneのフックアップもあり、ラガとヒップホップをフュージョンさせるラガヒップムーブメントで成功した1人。そんなMad LionがKRS-OneのレーベルFront Page Entertainmentから95年にリリースした1枚は、同時期にレゲエヒップレーベルWeededからリリースされる彼の代表作にしてデビューアルバムともなる「Real Ting」発売に先駆けたプロモ盤。
Da Mad Scientist “Never Fear” (1994)
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90sアングラディガーには馴染みのあるゴキブリラベルといえば、クイーンズのRoach Music。Wild Pitchからのリリースでも知られるデュオBrokin English Klikその片割れJean Jasmin aka Phaseが別名義を名乗って発表した12インチ。鍵盤が3つしか鳴らない陰鬱な世界にやたらと深く入るキックとスネア。というか暗い、とにかく暗い。クイーンズダークサイド、由緒正しきハードコア。夢見が悪くなるぞ。
Mad Skillz “Ghost Writer” (2000)
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後にSkillzと改名するフリースタイル出身の超絶スキルフルラッパー。90年代後半のデビュー時からバックワイルドやディラ、ラージ・プロフェッサーら豪華プロデュース陣で固めてきた彼が今作では当時絶頂期だったティンバランドを迎え入れ制作。正確には裏面の「Together」がティンバ作。表題曲はジャズドラマーのトニー・キンゼイ「Virgin Land」から幽玄なフルートを抜き取った哀愁感半端ないしっっぶい作品。声がエミネムに似ていると感じるのは僕だけかしら。
Mad Skillz “Lick The Balls” (1998)
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生まれはデトロイトだが、拠点はバージニア州リッチモンド。名物フリースタイラーが88年にヒットしたSlick Rickの名曲をカバーした1枚。95年頃の彼がピークなのだろうけど、バックサイドのギターをチョップしたトラック含め、やっぱ声めちゃくちゃかっこいいし、凄いスキルの持ち主よね。
Mad Skillz “Move Ya Body” (1995)
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かつてビギーがこの曲の完成度に嫉妬したとかいう逸話も納得のクラーク・ケント(ビギーやJayZの兄貴分)プロデュースによる超絶メロウクラシック。ジェフリー・オズボーン「Only Human」ネタをまんま使い、ほんと隅から隅まで虫歯になっちゃうぐらいの甘たるい極上スイートチューン。バックサイドにはDITCからBuckwildがプロデュースした曲を収録。彼の絶頂期。
Mad Skillz “The Nod Factor” (1995)
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デトロイト生まれだが、リッチモンドを拠点に東側のアーティストらと客演絡みで名を馳せた凄腕ラッパー。声は甲高いが、とにかくラップが上手い、上手すぎる。口がまわるまわる彼のデビューアルバム『From Where???』からの12インチカットはブルースギタリストのジョニーギター・ワトソン「Superman Lover」をネタにBeatnutsが、裏面はLarge Professorがプロダクションを担当。
Maestro Fresh Wes “Fine Tune Da Mic” (1993)
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ホーン鳴らせたら右に出るものはいないな、DITCの魔術師Showbizが手掛けた12インチはトロントでは永遠に色褪せることの無いカナディアンヒップのマスターピースに。ホーンのネタは分からないんだけど、重戦車みたいなブレイクビーツはバージニアのファンクバンドBill Deal & the Rhondelsの「Tuck’s Theme」からで、ほんと頭振るならヘルメットを推奨する。踊り疲れる1枚、最高に天最高な1枚。
Mannish “Jive U The Mann” (1995)
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針落とした瞬間、テーブルがターンする瞬間、壊れたんかなってぐらい妖しい低周波が。なにこの夢遊感あるSE。ロサンゼルスからJekillとJive、2人によるしどろもどろ吸って吐いてなブリブリトースティングは中々の鬱感。スクラッチはジュラシック5のDJ Nu-Mark。渋い、渋過ぎる。バックサイドはもっとビートがはっきりしているも、それでもなかなかダークでドープ。LAのアザーサイドと書いていた記事をネットでみたが、確かにな。ほんとにくらーい1枚。
Mannish “Tasha’s Room” (1996)
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LAのデュオMCsマニッシュがジャズピアニストBob Jamesの「Feel Like Making Love」ネタを使った彼等にしては随分と爽やかメロウな表題曲。95年にリリースされた唯一のアルバム「Audio Sedative」からのカット。例の如くジュラシック5のDJ Nu-Markがスクラッチで参加しながら、バックサイドの「Speaker Time」ではプロデュースまでしている。
Man They Call Lux “The EP” (1996)
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Ram Squad Raw名曲「Keep It Real」をプロデュースしたDJ Mizeryが手掛けるフィリーヒップのさらなる名作12インチ。オージェイズがフィラデルフィアで録音したフィリーソウルクラシック「Family Reunion」冒頭部分をループしたシックなトラック、やたらオールドスクール調なラップと、サビ部分ではがっつりコーラスが入るRnB好きにも薦めたい1枚。フィリーズアングラはハマるとだいぶ危険な沼だ。
Mark B & Blade “Run The Sphere” (1998)
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ロンドンのトラックメイカーで、16年に亡くなってしまったMark Bのシビアで攻撃的なドラムンビートを堪能出来る1枚。ぶんぶんどんどんずんずん、センス良き。あっちじゃレジェンド扱いのエムシーBladeも霞むぐらいトラック良い。ブレイクビーツ系を好む子にお裾分けしたい。あ、レーベルはNinja Tuneで知られるDJ VadimのJazz Fudgeだ。なるほど。
Mary J. Blige “Real Love” (1992)
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デビューアルバム「What’s The 411?」からの12インチでビルボードを席巻した大ヒット曲。マイアミの歌姫ベティ・ライト「Clean Up Woman」で聴けるあのカッティングギターをループした通称"ヒップホップミックス"にはどことなく初々しい故ビギーがラップで参加(デビュー前だった)してるなど、アルバムバージョンよりミックスバージョンの方が断然好きとかどうとかって話はきっとみんな30年前からしてる。
Masai Bey “Paper Mache” (2002)
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ニューヨークのオレンジ郡にあるミドルタウンにて結成されたプロダクションチーム、The Weathermenの一員であるMasai BeyがエムシーとしてDef JuxからEl-Pプロデュースでリリースした12インチ。カリフォルニアのサイケロックバンドThe Electric Prunes「Wind-Up Toys」で鳴る不穏なギターリフをアクセントに、終始アブストラクトな音響が飛び交う。反復運動を繰り返す機械仕掛けなハードコアサウンドは一聴してすぐにEl-Pだと分かる。バックサイドはMasai Bey本人がトラックメイクで「The Beginning」にはIndelible’sとスプリットをリリースしていた沖野修也率いるBMSが参加。
Mass Influence “Analyze” (2000)
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Yall So StupidのH2OとSpearhead Xが在籍しているアトランタのアングラヒップ4人組(ジャケ裏には4人の顔と名前が記載されてるけどDiscogsだと5人いるなぁ)。ジャズフルート奏者ハービー・マンの「Sudan」を使った神秘的な表題曲がかなり良くて、バックサイドのインストを聴いてると心が浄化される。ちなみにスクラッチをしてるのはブルックリンからCompany FlowのMr.Lenというサプライズ。アトランタのジャズヒップをどうぞ。
Masta Ace “Me and The Biz” (1990)
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マーリーマール率いるジュースクルー出身のレジェンド・オブ・ブルックリンが、勿論マーリーマールバックアップで制作したデビューアルバム「Take A Look Around」からの12inchカット。表題曲はロンドンのアフロファンクバンドCymande「The Message」をまんま。個人的にはバックサイドの、JBのシャウト”I Got Ta!”が炸裂する「Talkin’ Loud & Sayin’ Nothing」ネタのファンキーシット「I Got Ta」が大好き。
Mathematics “Respect Mine” (2003)
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ウーのサーガを紡いでいく正当後継者からばりばりウータンサウンドな12インチカット。どこからどう聴いてもウータンなのに、RZAとまったく違う感じ。これでいいのか悪いのかはさておき、結局この曲めっちゃかっこいい。レイクウォン、メス、カパドンナがマイク参戦。特別レイクウォンのフックやばい。
Meaty Ogre / Sketch “Blanket Of Ash / Break Even” (2004)
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イリノイ州シカゴを拠点に活動するビートメイカーMeaty Ogreによるエレクトロニカテイストなスローモーションビートをフロントサイドに、バックサイドでは同じくシカゴのローカルビートメイカーSketchことDavid Castilloによる超絶ファットなブレイクビーツが収録された誰も知らない7インチ。どちらのアーティストも僕と似たようなゼロ年代以降のブーンバップマインドを感じれて、非常に好感の持てるダブルサイダーだった。ていうか、めちゃくちゃかっこよかった。アブストラクトなインスト7インチを探してる方は是非。
Medaphoar “In Rhymes We Trust” (2001)
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Madlibファミリーの一員として、ゼロ年代ストーンズスロウを語るうえでも欠かせないカリフォルニア・オックスナード(Dudley PerkinsもLootpackもみんなオックスナード)を拠点に活動する現行の人気エムシー。M.E.D.名義よりも何年か早くリリースしているので実質彼のデビューシングル。プロデュースは当然Madlibで、スクラッチはLootpackからDJ Romes。そして!ネタはアルファボーイズスクール出身でレヴォルーショナリーズの一員としても活躍したStudio Oneサックス奏者Deadly HeadleyことHeadley Bennett「35 Years From Alpha」をまんま!Roots Radicsによるビートもオルガンも、多分Bim Shermanのコーラスもそのまんま。ちなみにこれ、On-U作品だったからエイドリアン・シャーウッドの魂が少なからずとも乗っかったMadlib渾身のダブトラックプロダクション。
Medaphoar “Place Your Bet” (2002)
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LootpackやQuasimotoなどの作品にも顔を出すカリフォルニアの人気エムシーM.E.D.ことMedaphoarがMadlib(本作ではThe Beat Conductor名義)プロダクションで、PBW率いるストーンズスロウからの7インチ限定シングルとしてリリースした1枚。ネタはフランスSF小説「オム族がいっぱい」のアニメ映画化であるルネ・ラルー監督「ファンタスティック・プラネット(原題「La Planète sauvage」73年公開)」のサントラ。カルトな効果音の合間合間に差し込まれるのはJB’s「More Peas」で、違和感ありそうな対比もこれがまた不思議とMadlibらしい燻製サウンドに仕上がる燻し銀のスキル。因みに、スクラッチはLootpackのDJ Romesなのでそれも聴きごたえあり。
Medaphoar “What U In It For?” (2003)
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カリフォルニアンエムシーM.E.D.ことMedaphoarが、地元Oxnardの仲間Madlib及びLootpackクルーを結集させた最強プロダクションチームにてストーンズスロウよりリリース。表題曲は変に癖っ毛のあるノイジーシンセティックサウンドを上ネタにした変わり種ロボティックビーツで、プロダクションはMadlib弟Oh Noによるもの。肝心のお兄ちゃんはお兄ちゃんで、裏面にて相変わらずズットズレテルズでズットヨレヨレのノンクオンタイズビーツ。Medaphoarには悪いが、みんなには両サイドともに彼等兄弟のビート集としてインストを楽しんでいただけると嬉しいな。因みにスクラッチはLootpackのDJ Romes。
Melomaniac “Yesterday / I Got This” (2007)
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Jazz Liberatorzを輩出するフランスKif Recordingsからパリジャントラックメイカーズ3人組の2ndシングル。フロントにはFondle’Emリリースで知られるDa NuthouseのDave Ghetto、バックサイドにはLightheadedのOthelloがマイク参加する王道ジャズヒップ。
Method Man “Bring The Pain” (1994)
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個人的にはウータンで1番最初に認知したラッパーがこの男「C.R.E.A.M.」での"ゲッダマニー、ダラダラビルヨー"ね。メソッドマン、記念すべきファーストシングルは勿論RZAプロデュース。ネタはシカゴソウルのインプレッションズからリードシンガーだったジェリー・バトラー「I’m Your Mechanical Man」で聴けるビートと上もの。元ネタが良いのもあるが、最早ウータンでしかない沈んだキックと渇いたスネアがハマりにハマったこの暗すぎて、煙たくて冷たくて会いたくてみたいな雰囲気ってのはRZAが凄いのか、メスが歌うからか。バックサイドの「P.L.O. Style」も
アル・グリーン「Look What You Done For Me」で鳴るホーンをピッチダウンして真っ黒にしたドロドロウータンで最高。
Method Man “I’ll Be There For You” (1995)
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ウータン一族から最もポピュラーでスター性すら持ち合わせていたメソッドマンのグラミー受賞曲。自身のデビューアルバム『Tical』に収録されていた「All I Need」にコーラスを入れて再構築したもので、トラックメイクは総帥RZAによるもの。そしてメスと抱き合うように歌うのは女王Mary J。サビ歌詞の”You’re All I need to get by”はマーヴィン・ゲイとタミー・テレルのデュエットソングからの引用。パフダディミックスが一応ハイライト。大体両手広げてるジャケ。
MF Grimm “Get Down” (1996)
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一時期はカリフォルニアでも活動していたが、ストレッチとボビートのフックアップもありクイーンズシーンのアングラ注目株へと成り上がったパーシー・カリーのMF"メタルフェイス"Grimm名義でのデビューシングル。教科書のようなブーンバップだが、浮遊感半端ないエレピ?が妙にドリーミーな雰囲気を作っていてやたらエモい。それでいてスキルフルなラップがハマって(ラップかっこいいいい)、静かなるドープ。ストレッチのレーベルDolo Recordsより(ちなみにボビートのFondle’Emからも3枚ほど出してる)。"Get down〜"の声ネタはArtifacts「C’mon Wit Da Git Down」からとみた。
M.F. Grimm “Landslide (Remix)” (1999)
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NYCのシン仮面エムシーGrimmと時を同じくFondle’Emにて活躍していたトラックメイカーDJ Eliメイドの表題曲もいいが、いや、いいってか相当にいいんだ。やばめに良いんだ。A1のリミックスもいいがB2のオリジナルがめちゃくちゃいいんだ。が、世間の相場はB1「Tick, Tick」よね。鉄仮面自らメイクしたBPMが絶えず変転してゆく謎トラック。タンテが壊れたかと思った。
MHz “Rocket Science” (1999)
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エムシーCopywriteや、後にDef Juxなどでも活躍するトラックメイカーRJD2が在籍するオハイオ州コロンバスで結成されたアングラクルーThe Megahertz通称MHz。彼等が99年にFondle’Emからリリースした12。なにはともあれRJD2メイドの表題曲!ネタは不明だが、エレクトリックでブルージーなギターリフをキックとスネアのみで展開させ、そのうえを高速でスピットしていくのは後にグループへ正式に加わるJakki The Mota Mouth。ミニマルなブーンバップとブルースネタがこれほど相性良くハマるとは。ジャズピアニスト、ジーン・ハリス「Rebato Summer」をネタにCopywriteのライムが冴えるA3も良いがこちらはメンバーであり08年に亡くなったCamu Taoによるプロダクション(彼もDef Juxからシングルをリリースしている)。
Mic Geronimo “Masta I.C.” (1995)
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クイーンズからの刺客ジェロニモが、DITC・Buckwildプロダクションでお届けする12インチ。ジャズピアニスト/キーボディスト、ジーン・ハリスの74年ブルーノート作品「Astralsignal」に収録されていた僅か40秒ほどの楽曲「Rebato Summer」で聴けるスペーシーなキーボードサウンドを浮遊させた、ダークながらも不思議と宙に浮く感覚がたまらない癖ありメロウトラック。ちなみに曲中で聴けるスクラッチは、The X-Ecutionersの天才ターンテーブリスト・故Roc Raidaによるもの。そしてJB「Funky President」ネタのバックサイドで聴ける「Time To Build」には、DMX、Ja Rule、そしてJayのZまでが参加。ジェロニモのまわりには人が集まってくるのね。
Mic Geronimo “The Natural” (1995)
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クイーンズのリリシストが放った同名タイトルのデビューアルバム(Irv Gottiやビートマイナーズがトラックメイクした名曲がわんさかの名盤)から2枚目のシングルカット。芳ばしいスモーキートラック。とにかく煙たい。バックサイドにはブロンクスのDITCよりBuckwildがプロデュース参戦した「Train Of Thought」が収録。
Mic Geronimo “Wherever You Are” (1996)
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群雄割拠だった95、96年のニューヨークでも特別クイーンズ地区にはレベル違いが多く集まっていたのはNasやモブディープを見れば分かる。Micジェロニモだってレペゼン・クイーンズなんです。前述したラッパーらに比べれば知名度は劣るし金も人気もない。けどこの曲大好きってのがいくつもある。Midnight Starの「Curious」を使ったリミックス版とBob Jamesの「Night Crawler」を使ったオリジナル版が聴ける、みんなはどっちが好きかしら。ジェロニモの代表作でメロウクラシックな12インチ。個人的にはDITCからO.C.が参戦したバックサイドの「Men VS Many」が煙たくて好き。
Mikey D & The L.A. Posse “Out Of Control” (1988)
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ラージプロフェッサーが抜けたMain Sourceに代わって加入したのがこのMikey D。そんな彼がむかーしむかし率いていたクルーによるランダムラップ名作。サックス奏者ルー・ドナルドソンによるジャズファンククラシック「It’s Your Thing」のベースラインネタを使った表題曲もいいが、Rufus Thomas「Love Trap」でのブレイクを使ったバックサイドもかっこよい。どちらもダブミックスと表記されたインストをまずは聴いてほしい。
Mikey D & The L.A. Posse “Taking No Shorts / Party Time” (2006)
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クイーンズの生ける伝説ラージ・プロフェッサーが抜けた後期のMain Sourceでも後釜ながら大活躍したMC Mikey D(彼もクイーンズ)が、80年代後半頃に組んでいたグループから奇跡の発掘音源。とにかく裏面の「Party Time」は最早テクノ、すんごい踊る。Incredible Bongo Bandの「Apache」ビーツと、フィリーソウル〜シグマサウンドを代表するバンドMFSBによるクラシック「Love Is The Message」のヴィブラフォンありきのビーツを合体させた超絶ハイテンションディスコファンク、インストは無心で踊ろう。
Misfits Of Madness “Explosions” (1994)
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フロントサイドに収録されてる3種のミックスが全部エグすぎて焦る。スピーカーがぶるんっと鳴るキックnベースがやたらと黒くタイトなA1、A2のスーパーグルーヴィンなベースライン(ネタ不明、誰か教えて!)は世紀の大発見だろ、格ゲーの効果音みたいに破裂するビートは最早戦慄ハードコアなA3。裏面はShowbiz&AG「Party Groove」ネタと同じ、オルガン奏者ジャック・マクダフ「Strolling Blues」で聴こえるサックスを使っちゃうとか。レアミドルだとか、ランダムラップだとか、総じてNYヒップの隠れたマスターピース。
Missin’ Linx “Exhibit A” (2000)
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元BeatnutsのFashionことAl’ Tariqが、アングラ好きはご存知ProblemzとBlack Attackらと共に結成した3MCグループ。注目はDr. Dre「Next Episode」と同ネタのデヴィッド・マッカラム「The Edge」をまるで同じ使い方でやりきった彼ら(てか、彼らが先)の代表曲B3「M.I.A.」で、実はこのトラックも元BeatnutsクルーであるV.I.C.だったりする。
Missin’ Linx “M.I.A” (1998)
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このフレーズ、鳴った瞬間猿でも踊るDr.Dre「Next Episode」でお馴染み、デヴィッド・マッカラム「The Edge」ネタを世界で1番はじめに使った1曲。クイーンズ屈指のラップスターAl’Tariq(Beatnuts)を筆頭に、ProblemzとBlack Attackら3人のヤバすぎるスキル。まぁとにかく、発明とも言えるこの神ネタよね。プロデュースもビートナッツファミリーのV.I.C.。最近7インチとして限定再発されてたね。
Mission: “Mission: 2” (2002)
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ボストンからカリフォルニア(オークランド)へと拠点を移し、バンド名もCrown City Rockersへと改名する前、最後のMission:名義12インチ。バックサイドの良曲「Tim&Dave」のインストは、05年に日本企画盤アルバムとしてウルトラヴァイブからリリースされた「Everything But The Album」のみで原曲が聴ける。
Mission: “One” (2001)
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ハイドアウト系統を中心に、当時タワレコなどで大流行していたジャジン〜演奏(バンド形態)系ヒップホップ、そこで出会ったのがカリフォルニアはベイエリアCrown City Rockersのファーストアルバム(確かP-Vineからのアルバムだったなぁ)。そんな彼等が、かつてMission:と名乗り結成の地ボストンで活動していた頃の所謂CCR前日譚作品が本作。ボストンで結成して、カルフォルニアに拠点を移したイーストにウエストなハイブリッドコンシャスヒップな訳だが、演奏技術含めその完成度は恍惚とする。バンド形態ではあるが、Headnodicという天才指揮者(トラックメイカ)がいるので、彼単体のブーンバップ作品にも耳を貸してほしい。
Mobb Deep “Get Away” (2002)
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クイーンズのハードコア通算5枚目のアルバム『Infamy』(Jay-Zとビーフしてた曲「Crawlin」が収録されてるやつ)からのシングルカット。UKプログレ、バークレー・ジェームス・ハーヴェストの「Taking Me Higher」をネタにバラードのようなナンバー。プロダクションはArtifactsの「Dynamite」をプロデュースした事でも知られるEz Elpee(ノリエガ作品も多く手掛けてる)。最早全盛期の面影はゼロ。
Mobb Deep “G.o.d. Pt. lll” (1997)
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アル・パチーノ主演映画「Scarface」冒頭で流れる「Tony’s Theme」から、ジョルジオ・モロダーによる暗黒街風なイタロシンセをワンループ。Havocもネタ上から爪弾いてるという緊張感あるストリングスと、1ヴァース目のプロディジー「In a project near you, I'll be right there I was brought up and taught to have no fear」での狂気。スカーフェイスすぎる。
Mobb Deep “It’s Mine” (1999)
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我らがクイーンズハードコアによる4枚目のスタジオアルバム「Murda Muzik」からシングルカットした12インチ。映画「スカーフェイス」のオープニングシーンで流れるジョルジオ・モロダー作曲「Tony’s Theme(通称アル・パチーノのテーマ)」にて、壮大なオーケストラシークエンスが突如一転して不穏なディスコテークなサウンドに爆発するパートがあるのだが、そこをごそっとまるっとループ。映画のイメージも重なり、妙に緊張感を生むクライムディスコ?ギャングスタディスコなQBサウンドがめちゃくちゃかっこいい。あ、一緒に歌ってるのはNasですぜ。
Mobb Deep “Survival Of The Fittest” (1995)
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クイーンズヒップを代表する傑作アルバム『The Infamous』から2枚目の12インチカット。デトロイトのジャズピアニスト、バリー・ハリスがトリオで制作した「Skylark」冒頭のピアノフレーズをピッチダウンしたネタ(ハヴォック天才)。切羽詰まった緊迫感溢れるグルーミー(憂鬱)サウンドに、只事じゃない2人のラップ。特別、頭の"There's a war going on outside no man is safe from"というプロディジーのラインは震える。ほぼ無双状態のモブサウンド此処に在りだが、個人的にはA2のリミックスで聴ける女性コーラスが混ざったヴァージョンが好きかな。ビート含め全体的にマイルドな雰囲気にモードチェンジ。
Mobb Deep “Temperature’s Rising” (1995)
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ナズと共にクイーンズ地区を代表するハードコアといえばハヴォックと故プロディジーによる高校の同級生ユニット・モブディープ。ディスコクイーンとして80年代に一世を風靡したパトリース・ラッシェンの「Where There Is Love」を使ったスーパーメロウなサウンドは凍てついたクイーンズにほどよく映える。プロデュースはThe Abstract名義のQ-Tip。
Moka Only “Is… Roncontour” (2001)
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カナダ・バンクーバーを拠点にカナディアンヒップのギャングスタサイドを体現してきたSwollen Members、その初期メンバーとして活躍し、現在はソロマイカーとしてもアングラマニアにリスペクトされるベテランエムシーMoka Onlyの2枚組フルアルバム。兎にも角にもDennis Coffee「Love Theme From Black Belt Jones」を使ったラテンヴァイブスクラシック「Live From Rio」が収録されているので、12インチが見つからない人は比較的安価で探しやすいLPで是非。
Moka Only “Live From Lio” (1999)
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カナダアングラに括るのは正直勿体無い、みんな大好きすぎるこの1曲。一時期は同郷ヴァンクーバーのグループSwollen Membersの一員でもあったMoka Onlyによる特大級クラシック。アメリカの空手アクション映画「Black Belt Jones」に提供されてるファンクギタリストDennis Coffeeの7インチ「Love Theme From Black Belt Jones」を使ったラテンファンクのノリをそのままヒップに落とし込んだご機嫌ソング。メロウでサマーなラテンヴァイブスをただただ楽しもう。
Molecules & Showbiz “Revenge” (2014)
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ブロンクストリオThe LegionからMoleculesが、そして我らDITCからShowbiz。やばいじゃん。日本企画のCDアルバムDITC「All Love」に一度収録されただけの95年録音のレアトラックを45で初アナログ化。David Axelrod「The Smile」終盤のピアノをピッチダウンしたShowらしい暗くて哀しいのにファットでドープなストロングハードコア。限定100枚のホワイトカラー。
Monster Island Czars “Run The Sphere” (2000)
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MF(メタルフェイス)の意志を継ぐエムシーGrimm、そして故Doomを中心としたNYCアンダーグラウンドコレクティブによるマイクリレー形式のジャズヒップ。速弾きされるエレピと、アコギにドラム、どっかのジャズバンドがライブ終盤にたたみかけてくるような、クライマックス感半端ないエモくスピーディなトラック。誰一人笑わない、超絶饒舌シリアスなマイクリレーが肌に突き刺さる、まじで結構衝撃的な1枚。見つけたらすぐ買おう。
M.O.P. “Firing Squad” (1996)
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ギャングスターファウンデーション属性なレペゼンブルックリンのハードコアユニットM.O.P.によるセカンドフルアルバム。ロバータ・フラックのバラード「Be Real Black For Me」をネタに使ったハード&メロウな人気曲「World Famous」も収録されているなか、ほぼほぼすべての曲がプレミアによるプロデュースっぷりとプリモファンはマストな1枚。00年代以降はRoc-A-Fellaからのリリースもあるようにやがてメジャーブレイクしていく紀元前的なM.O.P.が楽しめる。終始怒鳴られたい人はマスト。
M.O.P. “Rugged Neva Smoove” (1994)
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ジャケのまんま、魂剥き出しの怒鳴り散らし系ではトップ・オブ・ザ・トップ、キング・オブ・ハードコアM.O.P.。曲がった事が大嫌いな彼らのデビュー作「To The Death」に収録されていた人気曲にリミックスを加えた2枚組仕様ダブル12インチ。リミックスは勿論、ジャズ〜フュージョン系シンセサイザー奏者ジョー・ザヴィヌル「In A Silentway」を使ったDJプレミア。かっこいいなぁぁ。個人的にはハードコア過ぎた原曲よりも何倍もヒップホップで好き。
Mos Def “Ms. Fat Booty” (1999)
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何億回と聴いたかもしれないデビューアルバム「Black On Both Sides」から12インチカットされた1枚。アレサ・フランクリン「One Step Ahead」をチョップしてフリップしているが、アレサのダイヤのような声は勿論、スロウでソウルジャズな原曲の雰囲気をそのまんま継承したような粋なプロダクションがめちゃくちゃかっこいい。トラックはこの曲で名を馳せたクイーンズのAyatollahことDJ Kool G。バックサイドにはプリモプロデュースのこちらもアルバム収録曲「Mathematics」が。
Mos Def “The Universal Magnetic / If You Can Huh You Can Hear” (1997)
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NYの伝説的サイファー(フリースタイラー)であり、リリシスト・ラウンジ出身の2人組Black Starからご存知モスデフがソロ名義最初の12インチ。ニュージャージーのArtifactsやデトロイトのMad Skillzにブルックリンのブーキャンまで、この年代を広く支えてきた敏腕プロデューサーShawn J Periodが手掛けている。ジャケの腕組みモスがあざと可愛い。
Mos Def / Company Flow / Diamond “Next Universe / Patriotism / When It Pours It Rains” (1999)
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大人気コンピレーション「Rawkus Presents Sound Bombing」が99年に展開した全5タイトルの12インチシリーズ”The Singles”、本作はそのパート4。フロントサイドにはレーベルの看板を背負うモスがHi-Tekプロダクションで。バックサイドにはこちらも当時はRawkus印だったブルックリンのCompany Flow。そしてさらにDITCからDiamondも参戦、それぞれがインストも提供しているのでマジで申し分ない1枚。
Mos Def & Kweli Are Black Star “Definition” (1998)
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90年代後半のブルックリンにブラックスターあり。モスデフとタリブという当時ニューヨークで最も勢いのあったエムシー2人がタッグを組んで放ったアルバム「Mos Def & Kweli Are Black Star」から最初のシングル。KRS-One率いるBoogie Down Productions「Remix for P Is Free」からのライムやビート使いが有名だが、原曲を遥かに凌ぐタイト&ソリッドなビートに勢い増し増しのラガフロウは盟友Hi-Tekプロデュースあってのもの。加えて本作のモスデフが無双状態。Rawkusレコーズ、即ちブルックリンのヒップホップインディシーンを世に知らしめた意義ある一枚。
Mos Def & Pharoahe Monch feat. Nate Dogg / Eric Sermon feat. Sy Scott “Oh No / Battle” (2000)
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91年に発足後、今もなおアンダーグラウンドと密にあり続ける偉大なるイベント(溜まり場)「リリシストラウンジ」へ大きな愛を込めたRawkus主宰のコンピアルバム、そのVolume2からシングルカットされた1枚。フロントサイドは2人のニューヨーカーに、ロングビーチからNate DoggでプロデュースはRockwilderという東西アッセンブル。バックサイドはEric SermonとSy Scottといういかにも強そうなチームDef Squadで勝負。
Mos Def & Talib Kweli “Another World Remix” (1999)
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ブラックスターの2人が98年にジャパンオンリーでリリースした日本企画盤を、イギリスのBlind Sideがリミックス盤としてリリース。オリジナルと同じく、イギリスのCreatorsがプロダクションしたトラックをアメリカはカンザスのビートメイカーJoc Maxがミックス。そして唐突だが、バックサイドにはMos DefをはじめとするRawkusアーティストを多くプロデュースするShawn J Periodが、Matt FingazとRoyal Flushに楽曲提供した音源が収録。
Mountain Brothers “Paperchase” (1996)
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Rootsの登場以降フィラデルフィアにおけるヒップホップが地元だけに留まらず、例えばその後のジャズヒップムーブメントを語る上でも欠かせないタームになっていると考えるのは僕だけじゃないはず。そんなフィリーヒップのクラシックとして挙げられる1枚が本作。同じ大学の仲間たちで作り上げた(中国系アメリカン)極上のジャジンヴァイブス。バックサイドの「Ain’t Nuthin」も強烈にスムージーで、美メロと美エレピが存分に味わえる満腹感パンパンのダブルサイダー。
Mountain Brothers “Self:Volume 1” (1999)
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フィリー産90sアングラを語る上で欠かせない名曲「Paperchase」を収録した中国系アメリカ人トリオ(ペンシルバニア大学の同級生らしい)によるファーストLP。後にカニエやBahamadiaとも絡んでいるCHOPSが在籍してることでも知られてるね。彼らの特色でもある生楽器を多用したジャジンヴァイブスなヒップに同郷のROOTSを想起させるも、なかなかオリジナリティ溢れるギミックが随所にあってクール。それでいてキュート、楽しい1枚。
Mr. Attic “Add Rhyme & Mix - A.R.M.” (2019)
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カナダアングラの聖地オンタリオ州トロントで、カナディアンヒップにフォーカスした作品を7インチメインでリリースするChuku RecordsからLPがリリース。で、この人。トロントのレジェンドDa GrassrootsからトラックメイカーMr. AtticがサンプラーEPS-16を使い、27タイプのビートをコンパイルするサウンドコラージュ集。どれも1分弱のレングス!やべーな。B14には、Jake OneとGeneral Principleを運営するArcee(勿論トロント)がマイク持って参上。
Mr Complex “Stabbin’ You” (1999)
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DJ Spinnaを中心にShabaam SahdeeqやApani BらとPolyrhythm Addictsのメンバーとして活動していたクイーンズのアングラMCがまさにグループ活動と同時期にRawkusからリリースした12インチ。ブンブンに乱打されるスネアとホーンがあれこれ組み替えられながらスウィングしてバップする、かなり派手目なサウンドメイク。プロデュースはMethod ManやScarfaceなどデフジャムな作品に携わるLee Stoneによるもの。バックサイドにはクイーンズの先輩、ファロア・モンチが登場。
Mr. Complex / Old World Disorder “Divine Intervention / NIP” (2000)
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JigmastasのDJ Spinna率いるPolyrhythm Addictsの構成員Mr. Complexが、東京はMary Joy Recordingsからリリースしたスプリット12。地元クイーンズの先輩ファロア・モンチによるブレードランナーみたいな世界観系オケも良いが、正直Spinnaプロデュースによるアブストラクトなバックサイドのほうが強烈。歌うはJigmastasにも顔を出していたマイナーユニットOld World Disorder。OWDの片割れSkam2?ことKwesi C.T. OgbourneはATCQ「Beats, Rhymes And Life」のあのジャケをイラストしたヴィジュアルアーティストだったりする。
Mr.Len “What The F….? / Straight” (2000)
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ブルックリンヒップホップの突然変異、チームCompany FlowのトラックメイカーMr. Lenが01年にリリースするソロアルバム「Pity The Fool」から2曲をシングルカットした1枚。オーセンティックなビートパターンなのに、それぞれのパーツにまったく違う音色を持たせることで、アナログなヴィンテージサウンドとロービットなデジタルサウンドが入り混じるクレイジーなラグドビーツに。Co-Flowらしさはしっかりと。マイクを握るのはフロントがMr. Liveで、バックサイドはThe ArsonistsのQ-UniqueとどちらもFondle ’Emでお馴染みブルックリンマイカーズ。ブルックリンショーケースな1枚。
Mr.Lif “Front On This” (2000)
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ゼロ年代以降、ボストンのアンダーグラウンドを中心に、ジャンルや地域に囚われずシーンを越境した活動が印象的だったドープエムシーMr.Lif。そんな彼がカンパニーフロウのEl-Pによる運営でお馴染みDef Juxからリリースした、まさしくCo-Flow直系なド変則ダウンビート作品。プロダクションはDefファミリーのpaWL。踊れるもんなら踊ってみろ的なあれ。
Mr.Live “Relax Y’self” (1996)
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Five Deezとのコラボで名前は知っていたブルックリンのラガエムシーが、ボビートのプライベートレーベルFondle’Emよりリリースした12インチ。O.C.も使ってたカリフォルニア産ファンクバンドBrothers Johnson「Tomorrow(クインシー・ジョーンズがプロデュース)」ネタをメロウに仕上げた表題曲。エレピかな、フュージョンっぽい元ネタがやけに浮かしてきやがるまさにリラックス'ヤ'セルフな1曲。
Munk Wit Da Funk “I Been Here I’m Stayin” (1995)
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フィリークラシック。デバージ「I Like It」を使ったデビューシングル「I Blame My Neighborhood」と、そのリミックスを収録した特別盤。ちなみにHill Top Remixと題され、デバージ縛りで同グループの「All This Love」を使用。表題曲はギャングスター「The ? Remainz」でのGuruの声をループネタに使ったジャジーヴァイブスなトラックが聴ける。
Munk Wit Da Funk “I Blame My Neighborhood” (1995)
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フィラデルフィアのローカルグループOne WayのメンバーMunk Wit Da Funkによる人気作。世界遺産級の超絶メロウネタDebarge「I Like It」を使った最初のヒップホップトラックだとか、ほんとかな。フィリーっぽいソウル感漂う、とか言いたいが、ネタのデバージはモータウン直系のデトロイトだし、もうほぼカバーに近いようなトラック。まぁ、細かいことは気にせず。
Mysterme & DJ 20/20 “Playtime’s Over” (1994)
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92年のアングラクラシック「Bust Your Rhymes / Unsolved Mysterme」を生んだユニットAll City Productionsで、King Techと組んでいたエムシーMystermeが新たな相棒DJ 20/20とタッグを組みリリースした1枚。ウィルソン・ピケット「Get Me Back On Time, Engine Number 9」で聴けるシャウトにJB「Funky President」のブレイクビーツが合わさるファンキンシット「Kickin’ Wicked Styles」が良い。同年発売のフルアルバム「Let Me Explain」が20年にベルギーのブリュッセルTaha Recordsから再発されて再評価がはじまってる。
Mystidious Misfitss “I Be” (1995)
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Cella Dwellasを同時期に輩出しているブルックリンのヒップホップ特別警戒区域であるフラットブッシュから、3人のダンサーがラップしてみた案件。まずは真っ先に我等がBuckwildミックスを是非。わちゃわちゃと掛け合う喧騒な3人を統率するラグドなスネアに、薄暗いオケ。Buckwild節ともいえるトラックに大満足。ジャケも良いね。
Mystidious Misfitss “Upside Down” (1995)
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ブルックリン・フラットブッシュからRubberband、Mushmouth Market、Messiah Peekabooら3人のダンサー(EPMDのバックダンサーだったり)がマイクを投げまわすダンサーズクラシック。表題通りダイアナ・ロスのディスコヒッツ「Upside Down」(Chicプロデュース)ヴォーカルをまんまフックに使ったスウィートグルーヴが心地良いRnBテイストのニュースクールトラックはGrand Pubaやバスタの作品でお馴染みLatiefによるもの。奴らの騒がしいマイクリレーと一緒にフックをみんなで歌いながら踊る的な。ちなみにバックサイドのリミックスはよりスネアが強調されてて、ニュージャック好きにも喜んでもらえるかも。
Mystik Journeymen “Escape Fireber” (1996)
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Living Legendsの一員でもあるBFAPとPSCという2人のエムシーが、カリフォルニアはオークランドで結成したユニット。ジャケ右上に"逃亡"って漢字がある他、裏ジャケでは富士山を登頂している2人の写真があったり、あげくにはレコーディングは祐天寺のスタジオらしい。フロントサイド冒頭で日本人の男女に絡む?音声が挿入されていたり、バックサイドではLamp EyeのRinoが日本語でマイクを握る。危ういドープ感と時折照らしてくるメロウネスが同居する深く奥まで入るブーンバップ(表題曲のインストやばい)。かっこいいぜ。プロデュースは最早日本代表、DJ Quietstorm。
N-
Nas “Nastradamus” (1999)
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4枚目のスタジオアルバム「Nastradamus」からカットされたタイトル曲。表題曲はL.E.S.によるプロダクションで、なによりネタがかっこいいのよね。JB’s「It’s The JB’s Monaurail」でのブレイクダウン、控えめなミドルテンポビーツにニワトリの鳴き声みたいなカッティングギターがくっそかっこいいのだが、これを抜き取ってループすると妙にキャッチーで耳に残るフレーズになるから不思議。バックサイドはMobb DeepからHavocを召喚し、1910年代の教会音楽マイコラ・レオントーヴィッチュ「Carol Of The Bells」のフレーズをピアノで弾いたミステリアスなQBサウンドトラック。
Nas “One Love” (1994)
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やっぱりどうやったってかっこいいNas『イルマティック』期の名曲12インチ。プロデュースはトライブのQ-Tipで"ワンラブワンラブ〜"と囁くような甘たるいコーラスは彼。さらにPhifeの家で作ったとかいう逸話も、これぞトライブコールドナズ。ネタはヒースブラザーズの「Smiling Billy Suite」。ハスキーボイスの少年がクイーンズを、ニューヨークの全部を、ヒップホップのすべてを牽引した恍惚的な瞬間が記録されている。ちなみにバックサイドに収録されてるリミックスはHydraレーベルからGodfather Donが担当。
Nas T Howie “Attic” (1996)
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Frankensteinが好きな人にはお馴染みカナダのKnowledge Of Selfから96年にリリースされたマイナーエムシーNas T Howieの12インチ、これがめちゃくちゃ良くて。淡いアコギに浮遊感あるシンセと一瞬だけ響くピアノ、女性のハミングがフックになるRnBタイプのスロートラック。厳かで神秘的ですらある表題曲を、待ってました、B1でFrankensteinがドえらくミニマルブーンバップスタイルにアレンジ。こりゃまた好き者にはたまらんな。スルーしがちな1枚を是非お忘れなく。
Natural Resource “I Love This World” (1997)
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ターンテーブルにAggie、歌い手にはOceanとジーン・グレーが当時はWhatWhatという名義で在籍していたブルックリンのアングラトリオによる2枚目の12インチ。伝説級のファーストシングル「Negro League Baseball」に比べればだいぶ地味な印象だが、いやそれでも雰囲気も存在意義も特別な気がする。チルで、コンシャスで、ジーン・グレーの声がそこにあるだけで無敵。とにかくブルックリンアングラコレクターはマスト。
Natural Resource “Negro League Baseball” (1996)
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当時は恐らく誰も知らなかったブルックリンの3人組(紅一点のフィーメールラッパーWhatWhatは後のジーン・グレー)が96年にひっそりとリリースした誰も知らない筈の1枚。しかしその完成度の高さに、個人的にはコンシャス系アングラヒップブーム、あくまでもマイブームはこの12インチから始まったと言っても過言ではない。メロウとジャジーの混ぜものから産まれるヒップホップで優雅に舞うピアノ。寄せては返してループする。名曲此処に在り。
Nature “For All Seasons” (2000)
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90年代ではない、次世代のクイーンズ"スピッター"としてQBサウンドを体現するNatureによるファーストアルバム。ピアニストAllan Hawkshaw「Towards Tomorrow」で聴けるフルートを使ったアンセム「The Ultimate High」はこのアルバムに収録で、 “All my niggas from the projects light one up”のフックが凄まじくかっこいい。あと「Young Love」も哀愁あってよい。
Nature “The Ultimate High” (2000)
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NasやAZを擁したQBスーパーグループThe FirmのメンバーNatureからソロシングル。イギリスのピアニストAllan Hawkshaw「Towards Tomorrow」で聴ける冒頭のフルートをワンループ、ビートは4つ打ち!超絶かっこよスモーキーなトラック。プロデュースはJay-Zワークスでお馴染みSki師匠。勿論親友Nasも一緒に歌ってくれてるよ。”Light one up and stay high”ってフックが好き。
Naughty By Nature “O.P.P.” (1991)
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ニュージャージーの2MC1DJトリオThe New Styleが、クイーン・ラティファに見出されTommy Boyと契約。さらにはグループ名を変更してから最初に出した1枚が記録的大ヒットシングル。こんな嘘みたいな話ある?ジャクソン5「ABC」を使ったトラックも嘘みたいだが、最早別に細かいことはどうでもよい、楽しくみんなで歌って踊ってそれで売れる、セルアウトなんて言わせておけ。一周まわってリスペクトだ。
Nice & Smooth “Boogie Down Bronx / BK Connection” (1997)
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メロウならぬソロウなグルーミートラックがめちゃくちゃかっこいいんだよなぁ。ブロンクスレジェンドの2人が97年にリリースした4枚目のアルバム「IV : Blazing Hot」からタイトル曲をシングルカットした12インチ、そのプロモ盤。なので本作には「Boogie Down Bronx / BK Connection」のみが収録。プロデュースはEasy Mo Beeで、ゲストエムシーには彼自信が所属するブルックリントリオRIFことRappin’ Is Fundamentalが登場、悲壮感漂う哀愁トラックの中かっこよくマイクリレーをキメる連中が最高。古き良きブロンクスとブルックリンの最強コネクション。
Nick Wiz & U.G. “Do You (Know Who You) / Da Rawness” (2000)
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ブルックリン・フラットブッシュユニットCella Dwellasから片割れU.G. にソロマイクを托したのは、ユニットのプロデューサーでもある我らがNick Wiz。兎にも角にもA3とB3のインスト。Nickのスタジオ名が由来の通称Cellar Soundsとも呼ばれるスピーチレスなトラックを正座して聴こうじゃないか。彼の専売特許であるハイハットは本作でも霧雨のように優しく静かで、明け方の疎なフロアに映える幽玄な響きは最早ヒップホップの域を越えたサウンドアートのレベル。大好きだ。
Nine Yards “Always Find A Way” (1999)
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ディアンジェロタイプのヴォーカルを3人並べたサウスロンドン産ヴォーカルグループ、彼らがリリースした唯一のアルバムから。とにかくB1収録のJay Deeミックスを是非。ミニー・リパートン「Inside My Love」ネタを使ったディラの完全ネオソウル仕様メロウビーツがめちゃくちゃに良い。時期的にはSV以降の、所謂Ummah型のディラワークス、隠れすぎた名曲。
The Nonce “Bus Stops” (1995)
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Project Blowedという当時西海岸では卓越したスキルを持った一派からSachと故Yusef(道端で死体として発見され、死亡理由は不明)という2人のMCからなるラップグループ。LAを拠点にしながらトライブの「Bonita Applebum」を想起させるイースト風インテリジェンスに包まれたスムースメロウなラップ。マイナーヒップの隠れたメロウ名盤。LAニュースクール発端の聖地となったGood Life Cafeで名を挙げたFreestyle FellowshipのAceyalone(エイシーアローン)がゲスト参加。
The Nonce “Mix Tapes” (1993)
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西のATCQだとか、ロスなのにニューヨークっぽいだとか。ウエストアングラではジャジン名盤認定のクラシック12。なんだかスローモーションで耳心地抜群な上ネタと、ぱっつんかっつんにジェントルにタイトなキック&スネア。ラップもスマート&スムージー、極め付けは口ずさみやすいフック"ミックステイプっ"。Gファンクが流行りだすウエストにいながら、ぶれずにスキルだけで勝負する彼ら。最高にかっこいい。収録曲もなんだか多い。
The Nonce “Turnin’ It Out” (1999)
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LAはカリフォルニアからProject Blowed一派を代表するグループNonce。彼らの作品群がどれもこれも印象的なアートワークが施されたジャケであるのに対し、本作ではジャケなしの為スルーされがちだがこれもこれで稀代の隠れ名曲でしょう「The Greatest MC’s」が収録された立派なマストアイテム。Sachと故Yusef2人によるまったりメロウなラップ、まろやかなピアノ、膨よかなエレピ、やわらかいキックとスネアにまるでAORのようなアダルトさを感じる次元違いでリッチなウェッサイチリング。同時代の同ジャンルでは頭2つ3つ抜けてるイメージだな、Nonceって。
N-Tense “Raise The Levels Of The Boom” (1993)
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黄金期のNYCにて、ビッグネームどもに勝てずとも、誰に知られなくともアメニモマケズカゼニモマケズ。ときを経ても今なおマイナーヒップディガーの確かなリスペクトを勝ち得てる故Dion Blueによるワンループど真ん中直球系ファンキンニュースクールな人気曲。フックで繰り返し聴こえるコーラスは、ゴスペルグループTake6の「Spread Love」から。
O-
O.C. “Born 2 Live” (1994)
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元祖ティーンズソウル、元祖ファミリーソウルなんて呼ばれもあるシカゴのバークファミリーによるFive Stairsteps(華麗なるジャクソン家よりも先がこのバーク家)。そのメンバーだったケニー・バークがグループ解散後に出したソロシングル「Risin’ To The Top」からサビ部分を上手く使ったO.C.デビュー作(ピート・ロックも使ってた)。プロデュースは同じブロンクスからDITCのチームメイトBuckwild。誰もが大好き、誰もが持ってる一家に一枚なメロウど定番クラシックで説明しようがない。
O.C. “Time’s Up” (1994)
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通称"ブロンクスの最高機密"ことDITCからO.C.とBuckwildがタッグを組んで放ったクラシック12インチ。ヒップ界隈ではブレイクネタで重宝されているジャズドラマーのレス・デメールをばっちり使った事でも知られているが、本作ではデメールの「A Day In The Life」で聴けるベースラインをまんまサンプリング。黒いなぁ渋いなぁかっこいいなぁ。ラリー・クラークの映画『KIDS』で終盤、スティーヴンの家でパーティーをしている際にキッチンでキャスパーが女の話をダラダラ話すシーンにて流れてる曲がこれ。因みにパーティーシーンでは他にArtifactsの「Wrong Side Of Da Tracks」も流れてたりする。
OD feat Freestyle Fellowship “Can You Find The Level Of Difficulty In This?” (1999)
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90年代の西海岸オルタナヒップを牽引していたGood Life Cafeというフードマーケットを中心地としたオープンマイクシーン、その熱気と興奮を記録したコンピレーションアルバム「Beneath The Surface」から派生した1枚がこちら。コンピをプロデュースしたトラックメイカーODことOmidが掲げるプロジェクト名のもと、本作ではシーンの代表格であるFreestyle Fellowshipが登場。ジャズピアニスト、チック・コリア「Bliss」を使った妙な緊張感とミステリアス感ある魅惑のダークジャジントラックの中、AceyaloneからMikah 9、PeaceにSelf-Jupiterまで颯爽と駆け抜けてく西側90sのレジェンズフルメンバーによるマイクリレーをどうぞ。
O.G.C. “Bounce To The Ounce / Suspect” (1999)
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ブルックリンの東部ブラウンズヴィルを集合地に群がるあいつらからStarang Wonduh、Louieville SluggahとTop Dogで結成したBCC末っ子MCトリオのOGC。Duck Down全開の表もいいが、裏側「Suspect」が何故かクイーンズすぎて大好き。どうしてこんなにモブディープなの。そりゃHavocプロデュースだもんな!!Buckshotまで参加する夢のB1から是非(B2のインストやばいよ)。
O.G. Cell-E-Cell And The Inmates “Sucka Free” (1994)
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"サッカフリィ"って唾吐き捨てるみたいに歌うパンチラインがヤバいかっこいい。Cell-E-CellはLAのアヴァロンギャングスタークリブスの構成員(要はクリップス)なのでこれがほんとのウェッサイギャングスタ。シンセもベースラインも臭ぇほどにいなたいGファンク。ちょーかっこいい。プロデュースはReal Richie Rich。
One Way “Get Over It / No Ones Better Than You” (1999)
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Munk Wit Da Funkなどフィラデルフィアのローカルアーティストらが集うクルーOne Wayが、00年にCDオンリーでリリースする唯一のアルバム「Civic Minded」から先行でリリースしたダブルサイダー。プロデュースは同じクルーから3人組Militant Mind Stateが担当しており、表題曲のドス黒いベースラインにファンキーなピアノとカッティングギターはインストを是非聴いてほしい。バックサイドはぶりぶりのディスコファンクサウンドで、甘美なコーラスとクールなクラップになんだかサウスっぽさを感じる。レーベルは勿論、Illadelph Recordsです。フィリーヒップは沼が深すぎる。
Orfinz “Since Ya Wanna Be Down” (1995)
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あえぎ声がフックになってる色っぽいスローモーションならぬエローモーションなビートに、艶やかメローな女性ヴォーカル、男優っぽいMC。うしろでうすーくアダルトなシンセが鳴ってる感じもなんとなくウエストっぽさがあるんだけど実はニュージャージーっていうバリバリイーストなプロダクション。
Organized Konfusion “Somehow, Someway” (1997)
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スヌープの「Gin & Juice」をネタに超絶ミニマルなトラックを作り上げたのはレッドマンやメスと絡んでいたRockwilderだが、まぁさすがOKの2人(ファロア・モンチとプリンス・ポー)とにかくクール、とにかくヒップホップ、とにかくブラックでなんだかもうスタイリッシュ。隅々までかっこいい。90年代のクイーンズにいながらこのアンダーグランド感。リスペクト。
Organized Konfusion “Walk Into The Sun” (1992)
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クイーンズでSimply ll Positive MCsというグループ名にて活動していたPrince PoとPharoahe MonchがPaul Cに見出され世に出た名義がこちら。91年のデビューアルバム「Organized Konfusion」からカットされた本作は2つの人気曲を別ミックスでまとめたリミックスシングル。ザ・クルセイダーズ「Merry Go Round」ネタで組み立てたメロウ感増し増し新解釈ミックスの表題曲は個人的にはこっちの方がオリジナルより好き。バックサイドには、DITCから若かりしOCが参加していた事で語り継がれる名曲「Fudge Pudge」のリミックス。
Originoo Gunn Clappaz “No Fear” (1996)
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BCC第4の刺客、マイク片手に銃弾ばら撒く末っ子3人OGC参上。クラシック認定の1stからシングルカットされた本作のプロデュースは勿論あの兄弟。ロニー・スミス「I Want To Thank You」で聴けるソウルジャジンなベースラインをメインにしたフロントを兄Mr.Walt。The Gentle Rain「Lonely Jelly」からカウベル?が混ざるラウンジ風ブレイクビーツを抜き取ったバックサイドを弟のEvil Deeが。燻した煙で前が一才見えないほど、ビートマイナーズの良さが色濃く薫るスモーキンブーンバップ。
Outkast “Ms. Jackson” (2001)
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グラミーのベストラップパフォーマンスを受賞するなどこれ以上ない評価を受けた1曲。彼らの代表作「Stankonia」からのシングルカット。フックでの"I’m Sorry Ms. Jackson"というフレーズはAndre3000が当時付き合っていた(子供を授かりながらも破局)エリカ・バドゥのお母様ジャクソンへの謝罪の意を込めたフレーズだった事が数年後Vibe誌にてアンドレ本人の口から明かされている。
Outkast “Player’s Ball” (1993)
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みんな大好き愛されデュオ・アウトキャストのデビュー12インチ。ヒップなんてイーストかウエストのどちらかだった当時、不意にサウスからの刺客として今振り返れば音楽史的にも大きな事変となった本作。第3のヒップホップとか。Gファンクっぽい音色にTLCを輩出したLa FaceレコーズらしいR&B風のキャッチーなフック、プロデュースはスーパーチームOrganized Noize。誰も聴いた事がなかったニュータイプのメロウ。
P-
Pase Rock “Bullshit As Usual” (2003)
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エレクトロニカからポストロックまで、ヒップに固執することなく幅広い音楽性を披露するオハイオ州シンシナティ(Lone CatalysysのJ Ralwsとも勿論繋がりあり)のスーパーグループFive Deez。そんなクルーで核を担っていたメンバーPase Rockが03年に放ったNujabesプロデュースアルバム「Bullshit As Usual」からカットした人気曲。ネタはジャズフルート奏者ジェレミー・スタイグ(フルートネタといえばスタイグよね)が結成したジャズサイケバンドJeremy & The Satyrs「Lovely Child Of Tears」からフルートをわりかし長めの尺でまるごと抜いた哀愁系ジャズヒップ。これぞNujabes、これぞHydeoutプロダクションなトラック。
Pase Rock “Grey Matter” (2004)
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オハイオはシンシナティでLone Catalystsらと共にシーンを牽引したFive DeezからはるばるやってきたのはエムシーPase Rock。ネタはタートルズ「I’m Chief Kamanawanalea」からのドタバタうるさいブレイクも、"ピザ食うのはもうやめてGimme a beats and a あの例のフルートループ"ってみんな思うほど、フルートこそがハイドアウトプロダクション。フルートが乗っかった瞬間のグルーヴは唯一無二ね。
Peanut Butter Wolf “Tale of Five Cities” (1999)
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98年に自身が運営するStones Throwからリリースしていたアルバム「My Vinyl Weighs A Ton」よりシングルカットした1枚。表題曲はSide Aをまるまるたっぷり使ったトラックで、J5のCut Chemist、Beat JunkiesからJ RoccとRhettematic、東のX-EcutionersからはRob Swiftに、びっくりしたのはNinja TuneのKid Koalaまで参加した総勢11名もの偉人ターンテーブリストが披露してくれる超絶スクラッチサーカス。PBWのビートメイクも勿論だが、彼等の友情かなんかが紡いだのであろう長尺サウンドコラージュにただただ感動。ちなみにバックサイドには盟友Rascoがマイクを握る名曲「Run The Line」を45Kingがリミックスしたもの(マジくそかっこいい)と、ローフィネがリミックスしたものが収録。なんだかすんごいボリュームの1枚だな。。腹一杯。
People Under The Stairs “The Cat” (2000)
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惜しまれつつも2019年に解散してしまったLAの大人気ユニット、セカンドアルバムからの12インチカット。西海岸特有のチルいレイドバックなエレピに、渇いたカッツンカッツンのブレイクビーツ、仕上げはきっとジュラシックやFreestyle FellowshipもびびるだろうThes OneとDouble Kのシルクのように滑らかな掛け合い。これぞPUTS、心地良き、是即ちメロウ。
People Under The Stairs “Jappy Jap” (2002)
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西海岸からテスワンとダブルKによる(最近残念ながら解散してしまった)大人気デュオ。中古市場でも価格が高騰してるアルバム『OST』からの12インチカット。裏面の「Hang Loose」がドン・トンプソンの同名曲をまるまるっとまんま使いしているが(ラップがはじまるまではどっちがどっちか分からないぐらいそのまんま)この曲ほんと好き。
People Under The Stairs “O.S.T.” (2002)
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ファーサイドやジュラシック5の系譜を受け継いだインテリナードなウェッサイを牽引する西のゼロ年代といえば、テスワンとダブルKの2人から成る完全サンプリングスタイルのジャズヒップユニットPUTS。同タイトルの大ヒットアルバムから12インチカットされたトラックはラガMCのOdelがゲストでリードをとったラガマフィン系。PUTSにしてはややクセが残る1枚。
People Under The Stairs “Pass The 40” (2006)
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LAデュオPUTSが、P-Funkのジョージ・クリントンをレコーディングに招いたほど、ディスコやファンクなど70sサウンドへ傾倒したキャリア5枚目となったアルバム「Stepfather」からの12インチカット。これまでの彼らが披露してきたメロウでジャジンヴァイブスなヒップホップは姿を潜め、あるのはオールドスクールスタイルへのラブ&リスペクト溢れる彼等の原点回帰とも呼べるサウンド。ドラムプリセットのようなキックとスネア、スクラッチ、カットアップ。もたる2人の掛け合い。最初聴いた時はびっくりしたけどな。バックサイドはアルバム未収録のPUTSらしさ全開のジャジントラック。
People Under The Stairs “Tuxedo Rap!!!” (2006)
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P-Funkのジョージ・クリントンをスタジオに招き、ディスコやファンクなど70sサウンドへ傾倒したキャリア5枚目のアルバム「Stepfather」からカットしたシングル。マイケル・ジャクソン「Don’t Stop ‘Till You Get Enough」という世界的ヒッツを大胆にもネタとして使ってみせた意欲作。PUTS慣れしたジャズヒップマインドだった我々の耳には最初やや違和感があるかもしれないが、アルバム収録バージョンよりさらにディスコ感増し増しにしてみせたエクステンデッド版が聴けるのは12インチならではだし、ファンならばこそ、彼等の飛躍的な進化を快く迎え入れて最後まで楽しく躍ろう。
People Under the Stairs “We’ll Be There” (2000)
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つい最近ね、惜しまれつつ解散してしまった彼らの大人気曲。セカンドアルバム「Question In The Form Of An Answer」からの12インチカット。表題曲はジャズギタリストのハワード・ロバーツ「More Today Than Yesterday」ネタだが、かなり細かく抜いて作り込んでる。安定の丁寧さよね。
People Under The Stairs “Youth Explosion” (2000)
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ピアニストのギャップ・マンジョーネ「Boys With Toys」をわりかし難しい組替えをしながらも上ネタに、腹にドスンとくるキック&スネア、その対比たるや破壊力たるや、事前に構えておかないと首と腰やられる。恐らくみんなブチ上がる。途中ピート・ロックもサンプリングしてたサックス奏者トム・スコットの「The Honey Suckle Breeze」を差し込みながら、とにかく終始ネタもビートも尽きず踊れる。
Pete Rock & C.L. Smooth “The Main Ingredient Instrumentals” (1994)
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ブロンクス出身の偉大なるトラックメイカーPete Rockが、友人でもあるエムシーC.L. Smoothと組んだユニット。本作は彼等が世界的にも歴史的にも名声を得るきっかけともなったセカンドアルバム、のプロモオンリーで出回っていたインストバージョン、のジャケ付きブート盤。何盤であろうと才が溢れて止まらないピートロ、個人的にはロイ・エアーズ「Searching」を使ったC4が大好き。みんなはWhat’s your favorite joint?
The Pharcyde “Passin’ Me By” (1993)
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みんな大好きファーサイドのみんな大好き「Passin’ Me By」のこれがUKジャケ、かっこいい。クインシージョーンズの「Summer In The City」やウェザーリポート「125th Street Congress」を使いながら切ない恋心についてメロウにラップする、実は立派なラブソング。西側に蔓延していた東への嫌悪感やギャングスタ的なものとは無縁の所謂"LAニュースクール"を牽引した4人組が音楽史に残したスーパークラシック。
The Pharcyde “Runnin’” (1995)
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Gファンク"じゃない方"のウエストヒップを代表するスーパーグループ・ファーサイドを故J Dillaがミックス。スタン・ゲッツのアコギネタが彼らのキャッチーなマイクリレーと重なるとヒップ史に残る爽やかメロウが爆誕。そういえばディラの名前もこの曲で知ったなぁ。ジャケに使われている写真はB+撮影によるもの。
Pharcyde “Trust” (2000)
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LAオルタナティブのリーダーPharcydeがゼロ年代突入と共にドロップしたサードアルバム「Plain Rap」からリード曲「Trust」をカットした12インチ。60年代の電子音楽Perrey&Kingsley「Countdown at 6」のおもちゃみたいなサウンドを使ったゆるーいちるーいまたーりなオリジナルの何億倍も個人的には好みだったA1のリミックスが90sファーサイドを支えてきたJ-Swiftだという事で嬉しいし、まじでこっちのが遥かにかっこいい。弾みに弾む、ギア4thばりのバネ感最強カットアップビーツ。そしてカリフォルニア最強のターンテーブリストクルーBeat JunkiesからMr.Chocがスクラッチしまくる、なんてハイパーセンスなファンクチューンだことでしょう。かっけぇ!
The Pharcyde & Jurassic 5 / Ras Kass “Hard Times / Verbal Murder” (2002)
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LAのレーベルAvatarから02年にリリースされたコンピレーションアルバムに収録の2曲を12インチカットした本作。フロントはPharcydeからイマーニとブーティ・ブラウンが、ジュラシック5からはChali 2naとAkilが混合エムシーチームを作りパスザマイクを披露するメロウ&スムースな良曲。ファーサイドぽさもJ5ぽさも兼ね備えてなお、RnBテイストな女性ヴォーカルいれて、たまらんな。プロダクションはブーティが変名Frank Frictionにて。いい曲なのになぁ。まるで知られてない。裏面はリリシストRasが、我がLiving LegendsのElighプロダクションで歌う悲壮感半端ないダークトラック。Aサイドからバックサイドの温度差がエグい。
Pharoahe Monch / Sir Menelik “Mayor / 7XL” (1999)
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ニューヨークアンダーグラウンドからオーバーグラウンドまで、インディペンデントな音楽を支えてきたRawkusレーベルのショーケースシリーズ「Sound Bombing」第2弾全5タイトル”The Singles”そのラストを飾るパート5が本作。モータウンシンガー、ラモン・ドジャー「Shine」を早回しで使ったモンチサイド。そしてバックサイドにはSir Menelik(Grand PubaとSadat Xもマイク参加)だが、DJ Spinnaのお時間でした、言語化が毎度難しいスピナサウンド全開のぴよんぴよんびよーんな宇宙空間をどうぞ。
Phife Dawg “Flawless” (2000)
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声で分かるよね、後ろ姿でわかるよね、みんな大好き偉大なるファイブフッター。ソロアルバムからの2ndシングルは、Rawkus周辺から天才トラックメイカHi-Tekを召還。ハイテックらしさがファイフの存在感より勝る稀に見るスーパートラック(ビートの"抜き"がうまいんだよなぁ)、PVもかっこいい(屋根の上で歌うシーンはトライブを想起させてグッとくる)。バックサイドはピートロックによるジャジンヴァイブスな一曲。どちらもインストがやばくて非の打ち所がない、完璧な、個人的には正しくフロウレスな12インチ。ファイフへの愛を込めて。
Phoenecia “Odd Jobs” (1999)
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先進的で画期的な電子音楽を発信していたロンドンWarp Records、マンチェスターのSkamを筆頭にその波はフロリダ州マイアミにも押し寄せ、ヒップホップを吸って吐いたようなアメリカ産IDM/アブストラクト/エレクトロニカ系レーベルが次々と誕生。その最たる例がChocolate Industries(後にシカゴへ移転)、そしてSchematic。本作は後者を運営する2人がPhoenecia名義で01年にリリースするアルバム「Brownout」に収録していた「Odd Job」をリミックスした全4パターン入りの12インチ。リミキサーは前述したレーベルで活躍していたAutechre、リチャード・ディヴァイン、そして1番ヒップでブレイクビーツなリミックスを披露した我らがPush Button Objectsなど。
Pitch Black “Hold Me Down” (1995)
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ブルックリンのアングラシーンを支えていた奇才トラックメイカー達がゴロゴロ集まるドリームチーム"Da Beatminerz"から、リッチ・ブラックがプロデュースに名乗り出た12インチ。ややこしいけどグループ名はピッチブラックで、5人組。なんにせよ、ブラックもブラック、ドス黒いベースライン1本勝負のキック&スネア。煙たいワンループがドープでいなたい。
Polyrhythm Addicts “Not Your Ordinary” (1998)
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ブルックリンの名物トラックメイカーDJ Spinnaと、3人のエムシーズ(Shabaam Sahdeeq、Apani B. FlyとMr.Complex)がブレインフリーズなマイクリレーを展開する痛快なデビューシングル。チョップされたヴィヴラフォンに、ディレイがダブみたいにぶっ飛ぶホーン、ハウスみたいなベースライン。99年にアルバムを発売してから解散するも、07年にApani Bが抜けてTiye Phoenixが加入し再結成。
Polyrhythm Addicts “Rhyme Related” (1999)
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オールマイティでジャンルレスな活躍を見せるブルックリンの魔術師DJ Spinnaがかつて所属していたアングラグループPolyrhythm Addictsのデビュー作。Rawkusで活躍するエムシーShadeeqや、クイーンズの姫エムシーApani BなどSpinnaを中心に4人のヒップホッパーが魅せるトラックはどれも洗練されていてお洒落。黒過ぎないシティ感が花の90’sも暮れゆく99年リリースっぽいな、とか。A2にはクイーンズのOrganized Konfusionからファロア・モンチがゲストで参加。
Power Cut Crew “Powercuts” (1988)
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シャドウとカットケミストがタッグを組んだ人気ミックス「Brainfreeze」でも使われていたThe Vibrettesのディープ&ヘヴィファンキンブレイクビーツ「Humpty Dump」を、ブリストル代表DJ Powercutがクルー名義でミックスプレイした1枚。で、これはプロモ盤。というのも、バックサイドには本来89年にリリースされる「Powercuts 2」が収録されていて、まぁそれはそれで良きとして。2ではスライの「You Can Make It If You Try」をスクラッチで入れ込んできてかっこいい。
Powerule “Well Connected / Bright Lights, Big City” (1997)
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表題曲はディスコファンクグループKleeer「Intimate Connection」を使ったStretch Armstrongメイドの艶々アーバンメロウ。キラっきらのシンセティックソウルヴァイブスに腰をくねらせ、歌うはミドル期から活躍するレジェンドプエルトリカン3人組。ちなみにくっせぇファンキンブイレクビーツにダフったようなベースがバフバフ鳴るバックサイドはBeatnutsのV.I.C.がプロダクトしたもので、世間的には一応そっちがクラシック認定されている彼らの代表曲。
DJ Premier “Beats That Collected Dust Vol.1” (2008)
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インストだけをコンパイルした、捻りゼロのド直球な企画盤を本人のレーベルから。マイナーなトラックから未聴のトラックまで、王様のブランチビーツにお腹いっぱい胸いっぱい。プリモマニアはとりあえず持っておこう。
Primeridian “Zero Degrees Longitude” (2000)
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コモンやNo I.D.じゃない側のアングラシカゴを牽引していたAll Natural界隈の人気ジャズヒップトリオPrimeridian(TreeとVの2MCに、RaceがDJかな)。フュージョン系サックス奏者Tom Scottによる極上おやすみメロウ「Love Poem」ネタを使った反則スレスレの名曲「Mental Void」をフロントに収録した12インチ。実は96年にカセットオンリーでリリース済み。できるだけ静かにゆっくりと、寄せては返す的な揺蕩うエレピとリリコン(木管楽器みたいな電子楽器)が終始気持ち良い。また、ラップというよりは語りのようなコンシャスで穏やかな2MCの喋りが凄く良い。よいことだらけのシカゴアングラクラシック。
Procryptix “The Inkyfist Assassin EP” (1999)
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エムシーNabaistを中心に、ターンテーブルにはDJ PogoとトラックメイカーにSparkiで構成されるUKアングラトリオ・プロクリプティクスのデビューシングル。ちょい出しのジャジンネタも気怠い雰囲気を作っていてセンス抜群だが、それよりもビートよビート。ドロップの落差が激しいかっったいキックとスネアがめちゃくちゃかっこいい、キック後のスネアが叩かれるまでの無重力感、時間喪失感たるや。このダウン(憂鬱な)ビートはサンプルビルドではなく、実際にドラムで叩いているらしく、JazzバンドGary Crosby’s Nu TroopからRobert Fordjour(サックス奏者コートニー・パインやUKソウルシンガーOmarのライブでもドラムをやったり)がゲスト参加。バックサイド含め全6曲、すべてが最高にかっこいい。
Prodigy “Keep It Thoro” (2000)
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ナズもリスペクトしてたクイーンズのハードコアMobb Deepから今は亡きプロディジー兄さん。肌を刺すように凍てついた切迫感溢れるソロ12インチ(指と首全部にタトゥーをした最初のラップスターとネットに書いてあったの笑った)。サイプレスヒルのマグズが見出した当時はまだ新進気鋭だったアルケミストがプロデュース。バックサイドにはハヴォックが参加したリミックスも。
Prodigy “Rock Dat Shit” (2000)
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西の風雲児、誰も避けて通る事の出来ない敏腕プロデューサー・アルケミストと、泣く子も黙る東のJのZの縄の張り(Roc-A-Fella)で活躍していたBink!が全面バックアップ。Mob Deepの神童プロディジーによるソロデビューアルバム「H.N.I.C」からごっついジョイントを収録した12インチ。個人的にはバックサイドのアルケミストトラックが好き。Lou Bondの70年代ブラックフォーキーソウル名盤「Lou Bond」から「To The Establishment」で聴こえるベースラインを早回しで使ってる、これがめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ渋くかっこいい。ちなみにこのベースライン、さらに早回しで使ったのがOutkastで、「Wailin’」にて聴ける。
Pudgee “Money Don’t Make Your World Stop” (1996)
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クイーンズ生まれブロンクス育ちのプエルトリカンエムシーPudgee(Pudgee Tha Phat Bastard)、悪そなエムシーはもちろん、かしこそうなトラックメイカーまで大体友達。数々の作品に客演で顔を出しているフリーマイカーだが、実力や知名度とは裏腹に自身のフルアルバムは実質的には1枚のみ。本作はプロモ用カセットテープまでは作成されたが結局立ち消えてしまった幻のセカンドアルバム「King of New York」(Nick WizやBeatminerzらがプロデュース!)から先行でリリースされていた12インチで、表題曲はステファニー・ミルズ「What Cha Gonna Do With My Lovin’」を使ったメロウチューン。ちなみにベルギーの再発レーベルBack 2 Da Source Recordsが先のアルバムを再現した(全曲ではなかったのよ)リイシューを16年に発売している。
Push Button Objects “A Day In A Life” (1999)
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フロリダ州マイアミの神童、背中にでっかい電子音楽背負いながらヒップホップマインド100のトラックメイカーEdgar Farinasによるキャリア最高傑作。当時マイアミで繁栄したエレクトロニカとテクノを同時に鼻から吸って吐いたようなグリッチビーツを人が総じてアブストラクトやらIDMと呼ぶなら、その範疇におさめるにはちょっとヒップがホップ過ぎてたまらない1枚。ジャケ最高、6曲収録、オウテカが在籍するGescomや、Boards of CanadaをリリースするマンチェスターのSkamより。
Push Button Objects “Ghetto Blaster” (2003)
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フロリダ州マイアミを拠点に活動するトラックメイカーEdgar FarinasのPBO名義でリリースされたセカンドフルアルバム。ヒップホップのマインドを強く持ち、エレクトロニカからIDMを自身の領域とする電子音楽家ならではのアブストラクトサウンドがたんまり詰め込まれた2枚組。レーベルはシカゴのChocolate Industriesで、Prefuse73やFunkstorungなどを輩出してると言えば想像しやすいだろうか。本作には、ハイエロからDel Tha Funkee HomosapienとDefjuxからMr.Lifが参加した人気曲「360 Degrees」や、Anticonで活躍するDoesoneも顔を出すなど、羅列するワードすべてがまさにそれ。電子音楽のフィルターでヒップホップを聴きたい人にはまずもってこいな作品。ちなみにまんまとハマった人は、Edgar FarinasがDJ Crazeと組むKo-Wreck Techniqueなるユニットもチェックすべき。
Push Button Objects “360” (2000)
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スカムやスキマティックからリリースを続けていたフロリダはマイアミのエレクトロニカ・IDM系トラックメイカーがバチボコにヒップホップへと傾倒した1枚。ダーティでファンキーなダウンビートをグリッチ混じりに炸裂させた電子的なトラックはそれだけでも最高なのに、ハイエロ創始者Del Tha Funkee Homosapienと、Def Juxからの作品でお馴染みMr.Lifがラップで参加。そんでもってレーベルはシカゴのチョコレート。個人的には青春時代を思い出す。ど真ん中だったのよ。本作には別で2枚組リミックス盤が存在しており、そちらはEl-Pやスピナが参加。