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論語の簡易版? 論語抄 書評
論語抄との出会い
年末、実家に帰省した際、既に亡き祖父の部屋でこんな書物を発見した。
論語は既に目を通していたが、論語抄という書物は初めて目にした。
祖母から祖父が生前よく読んでいたという話を聞き、持って帰ってみることにした。
論語抄って何?
論語抄とはどんな書物なのだろうか。100ページもない小さな本であり、史跡足利学校という日本で最も古い学校で販売されている物のようだ。後書きには下記の記載があった。
論語の中から短文で しかも、できる限り孔子の思想を伝えるもの、そして、現代の我々の、日常生活の指標になる内容のものを選んだ。(論語抄 p80)
論語本編は岩波文庫のもので400ページ相当とボリュームには大きな違いがあり、確かに現代には通じない箇所も多く存在していた。
論語を読んだのも1,2年ほど前だったので、復習も兼ねて読んでみることにした。
論語抄から特に覚えておきたい3つの気づき
今回は孔子の思想を伝えるものを選抜された論語抄の中から更に私自身が論語の思想をより伝えると感じた短文を3つチョイスした。
それに対する自分の評論を下に記載してみたので、よければ読んでいただきたい。
学歴ともに優れた君子と言われる人物は、全てを自分に求め、自分を責めるが、学徳なく器小なる小人は、全てを他人に求め、責任を他人に求めるものだ。(論語抄 p70)
>他人は変えられないが、自分は変えられる。エッセンシャル思考に通じる部分がある。自身が影響を及ぼせる範囲と及ぼせない範囲を認識し、影響できる範囲に焦点を絞る。自分の行動は心持ち次第で変わるが、他人の行動を変えるのは難しいことだろう。また他人を責めないだけでなく、自分を責める。これは反省を通して、行動を変容させることの大事さを謳っている。『他人は変えられないが、自分は変えられる』と言うメッセージだろう。
『学歴ともに優れた君子は、素晴らしいことを言ったからといって、すぐにその人の価値を認めるような事はしない。また、価値のない人だからといって、その人の言うことを全て無視するようなこともしない。(論語抄 p71)』
>言葉以上に実践することに努めよ。インプット&アウトプットとの関係と同じように言葉(インプット)では現実世界は変わらない。現実世界が変わるのは行動(アウトプット)をした時のみだ。言葉以上にその人の行動が全てを物語る。『言葉以上に実践することに努めよ』と言うメッセージだろう。
『自分に社会的地位がないことを悩む必要はない。それよりも、地位に立つための人間性がないからで在ることを、悩むことだ。また、世間の人が、自分の真価を認めてくれないことを悩むことはない。それよりも、人から認められるだけの行いをするよう、心がけることだ。(論語抄 p27)』
>地位の有無、認められないといった表面上の価値、つまり枝葉の部分でなく、根っこの部分に焦点を当てろと言うことだろうか。根っこがしっかりしていれば自ずと結果はついてくるものという孔子のメッセージだろうか。『枝葉ではなく根っこに目を向ける。』
総括
論語抄は個人的にとてもおすすめできる書物であった。
論語だと長くて読む気になれないが、孔子の思想を知りたいという方には打って付けである。論語自体、内容が具体例の羅列であり、孔子の思想を学ぶにはボリュームが大きいと感じていたので、そこをまとめてくれる論語抄の存在は孔子の思想を学ぶのに最もハードルが低い書物なのではないだろうか。足利学校で100円という低価格で販売されており、郵送でも販売しているようなので、気になる方は購入してみてはいかがだろうか。