見出し画像

メルボルン生け花フェスティバルCEO放談(7):成功の秘訣(上)

2019年度メルボルン生け花フェスティバルについての雑感です。終わってみると、その特徴がはっきりしてきます。


2種類の日本文化紹介イベント

海外での日本文化紹介イベントには、ターゲットとする来訪者によって2種類あるように思います。

ひとつは、メルボルンの場合、従来から行われている「ジャパン・フェスティバル」「各種生け花展」など。主催者、紹介者は主に地元の方々で、地元の方々に向けて文化紹介をなさる。基本的にローカルなイベントです。

もうひとつは、例えば、国際レベルの日本人アーティストが日本文化紹介をする場合。観客は地元の方々に加え、国外からの方まで迎えることがあります。会場も一流となります。メルボルンの場合ですと、州立劇場、ナショナル・ギャラリー、リサイタルセンターなど。

つまり、ローカル・イベントか、国際イベントかという大まかな区別があります。

メルボルン生け花フェスティバルの難題

私達がターゲットにしたい層は、富裕層の方々(という表現は誤解を招きますが、まあ、とりあえず仕方ないですね)。従来、生け花を十分訴求できていない層です。

この方々は、国際イベントの日本文化紹介イベントに行くことはあっても、ローカルな日本文化紹介イベントには行きません(もちろん、例外もあるでしょうが)。

つまり、富裕層の方々に生け花を紹介したいという場合、「国際イベントでなければいけない!」ということです。

メルボルン生け花フェスティバルの最大の特徴は、特別な予算もない、スポンサーもない、知名度のあるアーティストもいないという呆れた状態で、国際イベントを目指したという点にあるのだと思います。その実現ほぼ不可能な課題を、チームワークで、そこそこ達成してしまった。そこを私は「奇跡だよなあ」と感じてしまうのです。

次回予告

次回はミッションの明確化の過程をお話しします。どんな活動であれ、使命をきちんと固めない限り、成功などあり得ません。

私たちの場合、はじめから明確なミッションがあったわけではありません。ただ、次々に訪れる困難にあたふたと対処しているうちに、だんだん形成されていったのです。

見出し画像:グレゴリヤン・ブラザース新保逍滄とのコラボ。メルボルン・リサイタル・センターにて(2019年)。メルボルン生け花フェスティバルのメイン・イベントのひとつとして開催され、チケット完売を達成。


いいなと思ったら応援しよう!