Shoso Shimbo
オーストラリアで生け花を教える難しさについて。試行錯誤を繰り返し、文化受容と文化変容の問題まで考えることに。
海外で日本文化を紹介する楽しさや大変さを紹介。資金も実績もない状態からチームワークと工夫でメルボルン生け花フェスティバルを国際イベントにしていく過程をお伝えできればと思います。
新保逍滄の自己紹介です。メルボルン生け花フェスティバルCEOとして活動しています。
外国人の生け花 外国人の作る生け花の多くには、独特ものがある、と感じてきました。もちろん、全ての作品において、ではありませんが。 この独特のものは何だろう? それは、時に不協和音のようにうるさく感じられます。花が花であろうとすることを邪魔しているようにも感じられます。 俳句と川柳 最近、「古池や蛙とびこむ水の音」という有名な句についての解説で、「優れた俳句は無我の境地を目指している」という話を聞き、とても面白いと思いました。 この句は英訳がとても難しいそうです。私
2024年度の開会式での私の挨拶を日本語訳して紹介します。AIを使っての日本語です。オリジナルはこちらです。 見出し写真:いけばな松風家元、塚越応駿氏、いけばな松風の皆様、ベトナムからの出展者ほか。最終日の生花バトル花合せ終了後に。 皆様、本日はこの特別な日にお集まりいただき、誠にありがとうございました。今日、皆さんは本当に特別な出来事に立ち会っていらしゃいます。 生徒たちに、「いつか日本や世界中の方々がこのフェスティバルに参加してくれるよ」と話したとき、彼らは当初、不可
なぜ生け花か? 海外でもっと多くの方々に生け花を楽しんでいただきたい。 そんな思いを共有してくださる方は多いと思います。 しかし、なぜか? 生け花にどんな価値があるの? という、その根拠については様々な意見があることでしょう。 親善のため、文化紹介のため等々。 生け花の価値 私の場合、生け花は癒し、あるいは心理療法的な効果があるから、もっときちんと多くの方々に受け入れていただきたい、というのがひとつ。 そして、もうひとつは生け花は、自然観の変容をもたらし得るので
2024年9月5日から始まるプログラムが公開されました。国際的なゲストをお招きする4つのメイン·イベントと工夫を凝らした各種イベントを予定しています。各イベントの概要は以下の通りです。 日本からの出展者募集中です。 1、「生け花パフォーマンス:はなだよりナイト」 メルボルン生け花フェスティバルから生まれた香水シリーズ、はなだよりコレクションの発表会を兼ねた新保逍滄による生け花パフォーマンス。クラシックギターの巨匠スラバ·グレゴリャンを招いて。なお、はなだよりコレクション
生け花の新しい可能性をメルボルンから提案! メルボルン生け花フェスティバル・2024 2024年9月5日より開催 国際的な音楽家、陶芸家に加え、日本、ベトナム他諸外国から華道家がメルボルンに集結。多彩な生け花関連イベントを開催。日本からの華展出展者募集中。 概要 2024年9月5日(木)から8日(日)まで和·メルボルン生け花フェスティバル(CEO:新保逍滄)がメルボルン·リサイタル·センター他、メルボルン各地で開催されます。 日本では1996年には450万人だった
賞金額が少なくても 賞金額の少ない分、これを意義のある賞にする工夫を考え、あれこれ手を回します。オーストラリアの陶芸では最高峰のヒロエ・スウェンさんに協力を求めますと、快く審査委員長を引き受けてくださいました。これでなんとかなりそうです!オーストラリア史上初(おそらく)の花器賞の発進です。 困難打開策、一言で言えば ここで私が見つけた教訓はこうです。ある予算内で二進も三進もいかない場合、ひとつの試みとして、あえて予算を拡大してみること。資金不足の問題は、より多く遣って
「メルボルン花器賞」はメルボルン生け花フェスティバルの新しいプログラムとして2022年から始めたものです。まだ、うまくいくのかどうかは不明の段階で書いたブログ記事を以下に紹介します。 実は、この企画、資金不足という私たちにとっては現実的な難題を一気に解決してくれただけでなく、来場者倍増、陶芸露店市開催、さらに2024年度にはオーストラリアで最も著名な陶芸家、ヒロエ・スウェンさん(オーストラリア勲章、旭日双光章受賞)から「メルボルン生け花フェスティバル内で個展を開きたい」とお
オンライン花展、花信(Hanadayori)について、その発想の原点をお話しします。やがてこのHanadayori はフェスティバル開催時以外の時の私たちの重要な活動となります。 さらに、この企画にちなんだ香水が発売され、その売り上げがフェスティバル運営を資金面で援助し、さらに香水のローンチのためにベトナムで生け花パフォーマンスを行うというところまで発展します。 さらに、そのパフォーマンスがベトナムの有力紙の文化欄やベトナム航空の機内誌にまで紹介されるという成果を生みます
州外、国外からの出展者をお呼びするには? このフェスティバルの大きな特徴のひとつは、生け花展に外部からの出展者を募集したということ。 現状:メルボルンには生け花をやっている方が少ない。 理想:多くの出展者を迎え、この花展をフェスティバルと名のつくものにしたい。 現状と理想の間に大きなギャップがあります。 解決策は、メルボルンの他から出展者を迎えればいい! しかし、どうしたら州外、さらに海外、日本から出展者をお呼び出来るのか?これは難問です。 出展者にとっては旅費やら
「成功の秘訣」として、総括的な話をしてみたいと思います。先に公開した2019年度の開会の挨拶をもう少し掘り下げた内容になります。 メルボルン生け花フェスティバルの目標 メルボルン生け花フェスティバルの目標は、一言で言って「生け花人口の拡大」。もっと多くの人に生け花の魅力を伝えたい、ということ。 もちろんメルボルンでも従来からそのような努力は続けられてきました。しかし、生け花展を開催しても、見に来てくれる方は限られているようです。日本に興味のある方々、つまりすでに生け花に
2019年度メルボルン生け花フェスティバルについての雑感です。終わってみると、その特徴がはっきりしてきます。 2種類の日本文化紹介イベント 海外での日本文化紹介イベントには、ターゲットとする来訪者によって2種類あるように思います。 ひとつは、メルボルンの場合、従来から行われている「ジャパン・フェスティバル」「各種生け花展」など。主催者、紹介者は主に地元の方々で、地元の方々に向けて文化紹介をなさる。基本的にローカルなイベントです。 もうひとつは、例えば、国際レベルの日本
海外で日本文化を紹介する「大変さ」と「楽しさ」を、アレコレ語っていこうと思います。前回に引き続き、2019年初回開催のメルボルン生け花フェスティバルについての分析です。 当地の生け花イベントとしては、前代未聞と言えるほどの観客動員数。企画したイベントの全チケット完売。とりあえずの成功を収めたこのイベントについて、過去のブログ記事を要約して紹介します。 最大の成功要因 私見では、今回の最大の成功要因は運営委員チームの機動力。これに尽きます。彼女たちへの感謝は私のスピーチで
海外で日本文化を紹介する「大変さ」と「楽しさ」を、アレコレ語っていこうと思います。まずは、2019年初回開催のメルボルン生け花フェスティバルについて、数回にわたって分析しつつ、報告していきましょう。 続いて、ウェブサイトに書ききれない、その後の変革、そして、今後の予定まで紹介できればと思います。 来訪者からのコメント まずは、初回開催後いただいたメッセージをいくつか紹介します。積極的にコメントを依頼したわけではないのですが(実は、そこまで配慮が回らないほどスタッフ全員働き
第1回メルボルン生け花フェスティバルの開会式(2019年9月)での私のスピーチを紹介しましょう。オリジナルは英語でしたの、AIに和訳してもらい、加筆修正しています。 ごあいさつ 皆様、おはようございます。Wa: Melbourne Ikebana Festivalへようこそ。特に、私たちの特別ゲスト、ビクトリア州文化教育相ティエン・キュー博士代理、ヤラ市議のダニエル・ングエンさん、和太鼓竜胆、いけばなインターナショナル代表のトリッシュ・ニコルズさん、ようこそいらしゃいまし
自己紹介(3):学術論文の書き方(上)の続きです。拙論が成立した過程を説明していきます。 トピックは自由花運動 戦前、生け花の世界では、西洋藝術の影響で自由花運動が起こります。生け花の歴史上、とても大きな変革です。これをテーマに論文を書こうという場合、自由花運動をいくら詳しく調べ、記録していってもそれはただのデータの集積でしかありません。 そんなものはいくら内容が詳細であっても、中学校の自由研究レベルであって、大学レベルの論文ではありません。もちろんそれも無意味ではあり
自己紹介(2)を書いた後、もう少し付け加えたいことが出てきました。 管見ですが 諸事情あって学術論文を読む機会がよくあります。国際いけ花学会の副会長ですし、ある国際学会の査読委員もしばらく担当したことがあります。 学問の世界は広大ですが、私の専門とする領域は非常に狭いものです。教育心理学(博士号)、日本学(修士)、美術(修士)といった文系の中の小さな分野です。その狭い分野の経験しかない者の管見に過ぎないのですが、日本語の文系の論文はもっと面白く、ワクワクするようなもので