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この世界はいったいなんなのか(筆者:あおいみかん)
「この世界は、いったいなんなのか?」
あなたにもきっと、そんなことを考えたことが、一度ぐらいあるのではないだろうか?
ぼくは、ずっと考えてきた。
そして、それに答えてくれる本に出会った。
その本の名は、
『夢を叶えるために脳はある ─「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす─ 』(著:池谷裕二)
この世界の謎
この世界はいったいなんなのか?
なんのために、人間は存在しているのか?
作っては壊して、作っては壊して。
毎日たくさんの命が誕生し、毎日たくさんの命が死んでいく。
ぼくもいつか死ぬ。
そして、ぼくの生きてきたことは、いずれなかったのと同じことになる。
必死でお金を稼いだり、選挙をしたり、戦争をしたり……。
いったい、人間はなんでこんなことしているんだろう?
生きるために命を育て、殺して、食べて。
いったい、なんのために生きているんだろう?
今までは、答えが出ないまま、なんとも居心地の悪い感情を抱えるしかなかった。
本の中で語られたこと
①脳がアノテーション(注釈)して再構成した世界
脳をもつぼくたちが、現実だと信じているものの正体とは、五感から送られてきた電気信号を解釈し、アノテーション(注釈)することで、脳が再構成した世界だ。
しかも、脳が外から入ってきた電気信号を、どのように解釈し、アノテーション(注釈)しているのかわからない。
それを聞いて、ぼくは、今まで全く疑うことのなかった、目の前に広がる世界に、疑問を持つことになった。
②人間の存在理由
なぜ、脳を持った生命が生まれ、進化してきたのか。
特にヒトは、なんのために生きているのかを、「エントロピー増大の法則」を使って説明する。
それは、とてもスケールの大きな話でもあり、また、なんとも言えない虚しさを感じさせるものでもあった。
③この世界の一つの仮説
君らが、そう、いまここにいる、君ら自身が、未来人がシミュレーションした仮装であるという可能性はないかな。
そう問いかけ、そして、それは「システムの素子はシステムの挙動を知覚できない」ために、証明することも、否定することも、原理的に不可能としている。
この「脳」で考えている以上、その枠の外には出られないということだ。
たとえば、ゲームをしているとして、画面の中のキャラクター自身は、ぼくらが作った仮想空間のなかにいて、ぼくらに操られていることに気づくことはできないということと同じだと思う。
④夢と現、どっちが本当の世界なのか
夢と現実については、『古今和歌集』に僕の好きな歌がある。
世の中は 夢か現か 現とも 夢とも知らず ありてなければ
詠み人知らず。この歌集が編まれたのは西暦でいえば、だいたい900年頃かな。平安時代だね。いまから1000年以上前に、だれかかはわからないけれど、こんな歌を詠んだんだ。
この歌は、本書の中で何度か引用される。
「詠み人知らず」に、壮大な物語を感じた。
もしかして、その「詠み人」が、この世界のことを知っている存在なんじゃないか、なんて考えたりした。
さりげなく、この世界のヒントを残したのかもしれない。
答え
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結局「わからない」。
それが答え。
だけど、この本を読む前の「わからない」と、読後の「わからない」は同じではない。
僕らが講義を通じてやったことは、メビウスの輪を1周まわってくることだ。あれ、2周だね。1回まわると、反対に来る。でも、もう1回まわると、元に戻ってくる。でもさ、裏を巡ったことがある人とない人では、たとえ同じ場所にいても、考え方や見え方や心構えが違う。
今までは、ただ漠然とわからなかった。
でも、今は、可能性や仮説など、今まで持ち合わせていなかった、考えるための材料を手に入れた。
だから、「わからない」ことには変わりないけど、もがいても何も掴むことができない、霧の中にいるような、あの「わからない」とは違う。
読後、ぼくは、ほっとした。
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