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想定外を楽しむ方法

弁護士をしていると本当に多くの”想定外”に出合います。そもそも、依頼者の多くはトラブルを抱えて相談に来ており、依頼者にとって想定外という事態から始まっているので、仕事柄やむを得ない部分もあります。

弁護士になりたてのころは、案件で”マジか!”と思うような想定外の出来事が起きると面を食らってしまい、動揺してしまうこともありましたが、今では、”あー、そうですか。では、対応を考えましょうか”と冷静に対処できるようになっています。

これは、想定外に慣れてしまったからということもありますが、想定外への対処の方法論のようなものが自分の中に確立しているからという側面が大きいと考えます。そして、誤解を恐れずに不謹慎なことをいうと、想定外が起きると少しワクワクします。弁護士の腕の見せ所だからです。

ケーススタディとして、取引先で、プレゼン用のパワポ資料のプリントアウトを頼んでおいた部下が資料を忘れてきてしまったという事例を想定して、想定外への対応を考えてみましょう。

<目次>
・想定外へのシンプルな対応①=事実関係を把握する
・想定外へのシンプルな対応②=コントロールできるものに集中する
・想定外へのシンプルな対応③=そもそもに立ち返る
・結語

想定外へのシンプルな対応①=事実関係を把握する

想定外の事態が起きた際、まずしなければならないことは、事実関係の確認です。事実が固まっていない段階で、対応策を検討してしまうとあらぬ方向に進んでしまいます。事実関係さえきちんと把握できれば、自ずと対応策が見つかることがほとんどです。

部下が忘れてしまったのは取引先用資料なのかどうか(手控用資料が複数部ないか)、データがあるかどうか(データがクラウドにあれば通信ができるか、会社にアクセスできる社員がいれば送ってもらうことができないか)、会社に戻って持ってくる時間があるかどうかを把握する。実はほかのメンバーが余部を持っていたりするかもしれません。

想定外へのシンプルな対応②=コントロールできるものに集中する

事実関係が把握できたら、その中でコントロールできることがないかに着目し、想定外の影響を最小限にするように努めましょう

忘れた部下を怒鳴りつけても貴重な時間が失われるだけです。コントロールできることに目を向けましょう。会社に社員が残って入れば、連絡して持ってきてもらうようにする、取引先の担当者に連絡して事情を説明し、パワポをデータで送って印刷してもらうことが可能か、又はプロジェクタに映してもらうことが可能かを確認するなどが考えられます。

想定外へのシンプルな対応③=そもそもに立ち返る

事実関係を把握し、コントロールができることを見つけて対応を進めたら、一つ呼吸をおいて、そもそもを考えると突破口が見えてくることがあります。

そもそも、プレゼンでは何をしたいのか。それはパワポ資料がなければ実現できないものか。結局パワポはプレゼンの補助資料でしかなく、重要なのはプレゼンで伝えたい内容です。であれば、内容が伝わる他の方法を考えることもできます。

資料なしでプレゼンする、ホワイトボードを借りてプレゼンする。パワポ資料はプレゼンした内容の参考資料として後で配布するなど。実は、プレゼン資料を忘れたことは、そもそものプレゼンの目的からしたら大したことではなかったりすることに気づけます。

そして、残された時間を使って、今できることに最大限集中すれば良いのです。この例でいうと、ホワイトボードを借りることが考えられますね。②のコントロールできるものに集中するということです。

結語

いかがでしたでしょうか、想定外への対処法。結局は、キホン(≒コントロールできるもの)に立ち返ると、突破口が見えるということを伝えたかったのです。なかなか良い事例が思いつかず、伝えづらいのがもどかしいのですが、大抵の想定外は、①事実関係を把握する、②コントロールできることに集中する、③そもそもを考える、の方法で上手く対処できますよ。

そして、想定外への対処法が確立したら、想定外が起きても動じることなく、イキイキと想定外に立ち向かうことができます。解決したときの達成感もひとしおです。是非試してみてください(いい事例があったら教えてください。)。

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弁護士 加茂翔太郎
法律書よりビジネス書が好きな弁護士。弁護士業務や弁護士になるまでに培った経験をなるべく言語化して共有したいと考えております。皆様からサポート・リアクションをいただき本当に感謝しております。励みになります。