「Sonic Sisters」バージョンアップ後記
前回の記事の末尾でも若干触れていた拙作「Sonic Sisters」のバージョンアップ作業が一応完了したので、またここで製作後記を書いておこうと思います。
まず、バージョンアップに至った動機ですが、年明け早々にリリースした「WINGED GEAR New Version」が思った以上に好評だったので味を占めた、というのが現金ながらも正直なところで、やはり遊んでくれた人の反応は製作のモチベーションになるのだなあ、というシンプルな事実を痛感しました。また、コロナ禍の自粛期間、何かみんなを楽しませることできんかな、と思ったのも大きなきっかけの一つだったりします。
本作については「WINGED GEAR」のソースをベースにして作っていたこともあって、画像処理部分の現行環境への書き換えなどの作業自体は「WINGED GEAR」でのノウハウがそのまま使えたため、思った以上にスムーズに進みました。
しかし「バージョンアップ版ならではの付加価値」をどう付けるか、には頭を悩ませました。
「WINGED GEAR」のときは、本編のゲーム自体に感じた不満点を解消し、より遊びやすい方向にバージョンアップしていったところ、結果的にそれが新たな付加価値となりました。一方「Sonic Sisters」においては、背景が寂しい、背景が一瞬でパッと切り替わるのがイマイチ、といった絵や演出周りの不満点はあったものの、ゲームバランスや内容それ自体は自分の中では完成形で、もうこれ以上いじる必要を感じていなかったのです。
となると、新たな価値としては「新しいゲームモード」をつくる方向に必然的になってくるわけで、従来のゲームモードはそのままに、新たな「アレンジモード」を作るのが最適解だろうという結論に。
アレンジモード、何を変えようか……ノーマルモードが割とストイックな内容なのでやっぱアイテムジャラジャラ系かな……アイテムを沢山出すにはどうすれば……と考えをめぐらせ、とりあえず「敵弾を相殺してアイテムに変える」というギミックを導入することに。そこでまず、単純に自分のショットで敵弾を相殺できるようにしてみたところ……
つまらない。
自分のショットで敵の攻撃が全部消えてしまうので、敵の体当たりにさえ気をつけていればほぼ無敵なのだ。しかし一方で、敵弾が大量に出る箇所では単純に大量の敵弾に打ち負けて防戦一方というシチュエーションも。ラスボス最終形態に至っては敵の弾幕に自分のショットが消されるばかりで、ボムを使わなければこっちのショットが全く敵に当てられないという始末。ゲームバランスとしても破綻している有様でした。
これじゃダメだ、どうしたもんだ、とさんざん頭を悩ませた挙句「そうだ、壊せる弾と壊せない弾を作ればいいんだ!」ということに思い至り、試行錯誤の末、雑魚敵は破壊不可能な撃ち返しを、ボスは破壊可能弾と破壊不可能弾を織り交ぜる、自分のショットには耐久力(敵弾1発を消すと一定ライフを消費、飛距離とあわせて一定数ライフを消費することでショットが消滅)を導入することで、ゲームバランスを取りつつノーマルモードとは異なる立ち回りを要求するゲーム性ができたのでした。
しかし、敵弾を破壊してアイテムに変わるというギミックを導入するものの、まだ思い描いた「アイテムジャラジャラ」には程遠く、そこで導入したのが「敵に撃ち込むだけでアイテムが出る」というもの。さらに接近すればするほど多くのアイテムを出すようにすることで「スコアを稼ぎたい奴は前に出ろ。」と無言のメッセージを送り、撃ち返し弾の対処にスリルが生まれることとなり一石二鳥、おおむねアレンジモードの骨格が形作られるに至ったのでした。
幸いにもアレンジモード、遊んでいただいた方からは好評で、中にはノーマルモードよりも気に入ってプレイしてくれてる方も居たりして、やはり今の時代、STGにはストイックさだけじゃなくて何らかの外連味は必要なのだな、ということを改めて感じさせられました(無論、基本がしっかりしたうえでのスパイスとしての「外連味」でなければならないのは当然ではありますが)。
あと、アレンジモード作成にあたっては、プレイヤーキャラクタのバランスをどうするかも悩みました。特に弥生は、ノーマルモードにおいては足の速さを活かした切り返しがアドバンテージだったものの、アレンジモードでは撃ち返し弾をくぐろうとして細かいコントロールがしきれず事故死するというケースが多く、相対的にサニーの使いやすさが一層アップするというダイヤグラムの変動(ゲーメスト風表記)を引き起こしているような気がします。しかしこれはこれで、アレンジモードならではのキャラの相性であり面白さでもあると思い、このまま残すこととしました。
じゃあルアンはどうなのよ、というご意見については……あの遅さが気に入っているので、そのままです。元々、ルアンというキャラは「究極タイガー」の自機や「ソニックウイングス」のAV-8といった機体をモデルに、「幅の広いショットを駆使して敵を捌きつつ、ギリギリの動きで敵弾を切り返す鈍足キャラ」を作りたかったので、あれでいいのです。ボムに発動までのタイムラグがあるのも、発動後の無敵時間が一切ないのも、すべてはそうあるべくして仕込まれたものなのです。プレイヤーにはそれを承知の上で「トロい!トロい!!」と嘆きながらプレイしていただきたいのでありますw
とまあ、いろいろと書き連ねましたが、15年の時を経て生まれ変わった「Sonic Sisters New Version」、当時を知る人は懐かしく、初めて知る人は新鮮味をもって楽しんでいただければと思います。興味のある方は下記リンクページからどうぞ~
https://www.freem.ne.jp/win/game/22895
(2020.6.8追記)エリア1背景に登場する「牛くん」は2013年公開の拙作「OSP RAID」に登場させるために身内が作ってくれたのですが、世界観に合わない等の理由でお蔵入りとなっていたものです。7年の雌伏の時を経て今回登場と相成りましたが、待ち時間が長かったせいもあって、若干自己主張が激しいようですw
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