クラシックギター成長記 第1章 2018-2021年
今回は、僕がクラシックギターを本格的に勉強し始めた時期〜大学を卒業
までのストーリーを書きたいと思います。
大学受験
僕がクラシックギタリストになりたいと思ったのは、高校2年生の時だった。
クラシックギタリストになるためには、クラシック音楽を深く勉強しなくてはいけないと思い、音大を受験することを心に決めた。音大の入試に必須の科目であるソルフェージュ(音楽理論)はピアニスト山口友由実さんのもとで1年間学んだ。
そして音大に入学することが出来た。
初リサイタル
当時習っていたギターの先生、ギタリストの森井英朗さんから、高校を卒業する節目として、
「初リサイタル」を開いてみないかという話をいただいて、自主企画でリサイタルを開催することになった。
2018年3月14日
初リサイタル
当時の写真
この当時の自分にとって、1時間以上のプログラムをたったひとりで弾き通すのは、とても大変な事だったので、本当に成功出来るのか少し不安もあった。
だが、当日は会場は満席。
席が足りなくて困るくらいだったので、僕は嬉しくて興奮した。
<プログラム>
(前半)
ファンタジー / ヴァイス
ソナタk.322 / スカルラッティ
練習曲17番opus.6-11 / ソル
3つのカタルーニャ民謡
・盗賊の歌
・アメリアの遺言
・聖母の御子
前奏曲1番 / タレガ
ロジータ / タレガ
椿姫の主題による変奏曲 / タレガ
(後半)
スブルビオ / モスカルディーニ
スクリャービンの変奏曲 / タンスマン
Woven Harmony / ヨーク
大聖堂 / バリオス
(アンコール)
ニューシネマパラダイス / モリコーネ
閉演
アンコールの前に一言感謝を伝え、
僕の大好きなニューシネマパラダイスのテーマを弾いた。
もちろん楽しかったが、
本番を終えた自分の頭の中には、「初めてにしては良かった」というフレーズが浮かんだ。
それは、音楽という芸術を表現する者にとっては屈辱的な言葉だった。
中学高校時代にライブハウスで演奏していたエレキやフォークギターとは、比べ物にならないくらい、クラシックギターの本番は難しい。
プロの演奏家なら、たとえ千人、一万人の聴衆の前であっても、緊張に負けない。
公なところに出る前に、もっとたくさん本番を経験して、実力をつけなくてはいけない思った。
これの気持ちがきっかけで、
自主企画コンサートシリーズは4年間続けることになる。
音大に入学
毎回ソロだとつまらないし、次の演奏会は他の楽器とデュオをやりたいと思っていたので、音大に入ったらすぐ他の楽器を専攻している友達を探した。
2019年3月16日
フルートとのデュオコンサート
東京オペラシティ近江楽堂
当時の写真
この時は、ウィーンやドイツへの留学を検討していて、コンサートの2日前までヨーロッパにいた。移動時間も長かったので、あまり練習が出来ず、帰りの飛行機では楽譜をずっと睨みつけて頭の中で練習していた。
僕は時差ボケになっていて、前夜もあまり眠れずに本番を迎えたが、
音大で約1年間必死に練習した成果が出た。
譜読みの能力、演奏精度、音色などが際立った。これらの能力は昭和音楽大学での先生であるクラシックギタリストの熊谷俊之さんから学び、僕の演奏は少しずつ磨かれていった。
大学では同じギター科の友達も出来て、音大の忙しい生活の中でも楽しいことがいっぱいあった。
熊谷俊之先生とギター科の仲間たち
初めての挫折
このまま頑張っていこうと勢いづいていたが、
この後、僕には多くの不幸が待っていた。
まず「ヨーロッパの音楽大学への留学するという夢が絶たれた」
入学しようと思えば出来た状況ではあったが、
僕にとって魅力的なものではなかった。
目標を見失った僕に、次に襲いかかってきた出来事は、祖父の「死」だった。僕はその時人生で初めて「死」というものに直面した。
その他にもいくつか不幸(省略)があり、さらに2020年に入ってからから「新型コロナウィルス」が世界的に拡大し、演奏活動も出来なくなってしまった。
それらの出来事は僕にとって大きな衝撃で、今までのように純粋に演奏家を目指すことが出来なくなっていた。
まるで自分は深い森の中に迷い込んでしまっていたようだった。
しかし、その絶望的な暗闇の中で、そこに希望の光が小さく輝いていた。
ザ・ギターレッスン
2020年8月頃
コロナ禍によってクラシック音楽家のほとんどが演奏活動が出来ない中、
福田進一先生のレッスン番組が企画されていた。それが「福田進一 ザ・ギターレッスン」。
僕はレギュラーの生徒として出演することになっていた。
その後、この番組が僕を大きく成長させた。
更なる成長のために
更なる成長のために、僕は新しい楽器を購入することにした。
そして出会った楽器は、あの銘器イグナシオ・フレタ だった。
ヴァイオリンで「ストラディバリウス」という楽器は1番の別格な銘器だ。
フレタ は、「ギターのストラディバリウス」と言われている。
銘器というのは、弾き手がその楽器に合う弾き方を模索しないと楽器の本領を発揮出来ないもの。
フレタを弾き始めてからの1年は、免許取ったばかりの人がF1を運転しているような気持ちだった。
2020年12月18日
ソロリサイタル
紀尾井町サロンホール
フレタに少し慣れてきた時に
本番で試したいと思っていたので、
自主企画のリサイタルを開催した。
今回からは、コロナ禍での演奏会ということで会場の客席を半分に減らす演奏会が始まった。
公演の後半は、ヴァイオリンとの二重奏を演奏。
<プログラム>
~前半~
涙のパヴァーヌ/ ダウランド
BWV998 / バッハ
モーツァルトの魔笛の変奏曲 / ソル
南のソナチネ / ポンセ
~後半~ 二重奏
アルペジオーネソナタ / シューベルト
アンダルシアのロマンス / サラサーテ
(アンコール)
戦場のメリークリスマス / 坂本龍一
銘器を弾きこなすためには、今まで弾いていた自分のスタイルを変えなくてはいけなかった。
スタイルをがらっと変えたら、色々難しい問題に直面する。今回はその問題に向き合ってた。
大学卒業に向けて
大学卒業が控える4年生の時は、周りの友達がみんな就職活動に追われている。
僕の周りには音楽の道に進まない友達がほとんどの中、僕はひとり「毎日演奏がさらに良くなるアイデア」を考えていた。この半年はひたすらフレタで演奏精度を上げる訓練をしていた。
音楽家は孤独だ。
2021年7月10日
ソロリサイタル
プリモ芸術工房にて
2021年7月は新型コロナウィルスの感染者人数が再び急激に上がり始めた時期だった。
お客さんも知り合いだけになる中、僕は最後までくじけないで演奏することが出来た。
<前半>
蛙のガリヤード / ダウランド
涙のパヴァーヌ / ダウランド
アンダンテ・ラルゴ / ソル
エレジー / メルツ
<後半>
グラナダ / アルベニス
朱色の塔 / アルベニス
アラビア風奇想曲 / タレガ
大聖堂 / バリオス
(アンコール)
ノクターン1番 / メルツ
愛の歌 / メルツ
最後の演奏会
自主企画の演奏会を始めてからの
この4年間は、「自分の音楽性とは何なのか」を常に追い求めてきた。
今現在は、少し自分の世界を見つけられつつあると思う。
次の演奏会は、
クラシックギター成長記の第一章で
最後の演奏会。
クラシック音楽家にとって演奏会は、毎回「特別な感情」にさせられるものです。
「その時どんな感情であっても、自分が演奏家であるなら、その瞬間に生まれる演奏に魂を込めなくていけない」
それをこの4年間で学びました。
自主企画シリーズの最後の公演では、誰もが一度は聴いたことがある
あの名曲「アランフェス協奏曲」を弾く。
2021年12月5日
ピアノとのジョイントコンサート
武蔵小杉サロンホール
<大島祥自主企画シリーズ>
全公演
2018年3月14日
2019年3月16日
2020年12月18日
2021年7月10日
2021年12月5日
今考えてみると
コロナウィルスの影響で、
ちゃんとお客さんを呼べたのは、最初の2つの公演だけでした。
どれか1つでもお越しいただいた方々、ありがとうございました。
これから
僕はこれから一生をかけて
演奏活動を続けて行くつもりですが、
この4年間というのは、僕にとって重要な期間でした。
これからは新たに自分のやりたいことを始めるつもりです。
「どういう活動なのか」
それは僕のこれからの行く末を見ていただけたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊