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【13回転職履歴→2社目】青カビ地獄の古着倉庫スタッフ〜その2〜

好きなことを仕事にしたい、好きなことで生きていきたい。誰しもが思い願う理想の人生。そんな夢を追いかけている全ての人に捧げる、一人の男の転職記。スキルアップ、キャリアアップしたい!そんな転職やキャリア形成で迷っている人にとって何かヒントになるかも?

ニートから脱出するべく、ファッション、カルチャーが好きということで、原宿や高円寺の古着屋に履歴書を持参するもことごとく不採用。好きを諦められない、クリエイティブな世界で生きていきたかった20代前半の僕の転職2回目の続き。

古着が好きなら店舗スタッフじゃなくても?!

どこの古着屋も受からず、かなり凹みました。
このままどうなるんだろう?学生時代の友達は皆社会人としてしっかりとやっている、それなのに自分ときたら…

そんな時、たまたま無料の求人情報誌に古着屋倉庫のスタッフ募集が掲載されていたのです!凹んでいる僕のとってはまさにラッキー求人!

古着屋スタッフじゃなくても古着に携われる仕事からの何かチャンスがあるはず!と謎のポジティブ、まさに勢いだけで履歴書を送付。人は追い込まれるとポジティブになるということがこの時分かりました、そうならざるを得ないのかもしれません。

履歴書送付後、数日経つと電話がかかってきて、面接もなく採用とのこと。え、そんなんで良いの?と思っていると、そのまま電話口で『●月●日、8時に草加駅まで』と初出社日時と集合場所を言い渡されました。

だいぶユルいな、と前職のスタイリストアシスタント時代のがんじがらめな毎日に比べると、もしかして楽なんじゃないか?とか考えたりして。好きな古着に毎日囲まれた仕事ができる!ここをスタートにこれから這い上がっていくぞ!とやる気に満ち溢れたまま、初出勤日を迎えました。

シャンクスよりも海賊している老人

住んでいた場所からはかなり遠い、埼玉県草加市。
駅に到着し指定の場所で待っていると、何人かがそこに集まってきました。同じ職場で働くことになる同僚でしょうか。するとマイクロバスがやって来て、職場まで遠いので迎えに来たというのです。え?ここからさらに距離があるの?

何やら怪しい雰囲気が既に漂っていました。

バスの中は知らない人だらけ、もちろん全員無言です。このまま変なところに連れていかれるんじゃないか?少し不安な気持ちになっていたところで到着。町外れのコンテナがいくつも並んだ、ドラマに出て来そうな原っぱとプレハブとコンテナだけの場所。ここが僕の新しい職場…

岩井俊二監督の映画、スワロウテイルの舞台のようだと思ったのを今でも鮮明に覚えています。とにかく思っていたのと違う!!!

すると、社長だか会長だか、とにかく偉いという人がやってきました。よく見ると片腕がなく、シャンクスよりも海賊っぽい怖い老人。僕達に説明を始めました。何もしていないのに最初からかなり怒っています。

お前はあっち!(怒)
お前はこっち!(怒)
さっさと行け!(怒)
怠けるなよ!(怒)

これはヤバいところへ来てしまった、そこにはクリエイティブなんてものは存在していません。理不尽に怒る海賊老人がいるだけ。廃品業者やリサイクル関連に怖い人がいる噂は聞いていましたが、よく考えてみると古着もそうじゃないか!!!

またしてもそこには理不尽が…
などと勘げている暇はありません。海賊老人に怒鳴られないように、担当の業務を教えてもらうことに。僕の担当はコンテナから出されたとんでもない量の古着の中から売れそうなものをピックアップする業務でした。

ヤバい!死ぬ!ここにいたら死ぬ!

山のように積まれた古着の中から、良さげなものを探して選り分けるという目利きが役に立つ業務でしたが、あまりにも服がボロいものが多すぎて、宝探し感はゼロ!ゴミの中からまともなゴミを探すような感じです。

自分が思っていた古着の倉庫業務と全然違う!
とか思いながらもこの仕事の初日です。少しでも結果を残そうとがむしゃらに古着をピックアップしまくりました。キレイなもの、汚いもの、マシなもの、ダメなもの、すると手が青くなっていたのです!!

え?!何これ?服の色落ち?

不思議に思い、教えてくれていた先輩的な人に聞くと、『それ青カビだから』と言われたのです!!!


どこかしらの外国からコンテナに積まれて船で運ばれる古着の山、そんなかで熟成発酵した青カビが服についていて、僕は古着を次々とピックアップしていたのでそれが手に付いていたのです!ヤバい…ここは確実にヤバい…


古着のバイヤーはこんな思いをして古着を買い集めているのか?
古着屋の店員達はこんなカビ服の選別などしているのか?
多分してない!!だってここは無理矢理商品になるゴミを探し出す場所。
(当時はそう思っていました。実際には古着屋の買い付けなどではそういうこともあるらしい)

というよりも、
こんな青カビまみれの場所に毎日いたら、確実に病気になる!そのうち死ぬ!ここは間違いなく健康に良くない!良いわけがない!

もう古着がカビのへばりついたゴミにしか見えません。1ミリもテンションが上がるポイントがない。作業は無心でやるしかない。とにかく早く夕方になれ!時間よ早く過ぎろ!そんな気持ちで初日はピックアップしまくりました。そしてやっと夕方になり、業務終了。手は青鬼のように真っ青になっています。カビで!!!

それを石鹸でゴシゴシ洗い流しながら
ここにいたら死ぬ!!!

海賊老人は明日もちゃんと働けよ!と偉そうにしています。帰りも草加駅までマイクロバスです。バスを降りて同じ年くらいの若い女性と話しました。

『今日ヤバかったですね!』と話しかけると、
「アタシ、明日行きません。今日で辞めます。あんな仕事無理です」

でしょうね!!!
あぁ、そうだよな、それが当たり前の感覚だよな、ブラックというよりもブルーな職場環境、そこで働くことでどんな未来があるんだろう?その女性と話して思いました。帰りの電車の中で、明日どうする?明日どうする?とずっと考えていました。

心と体に正直に、初日で辞める!

結局、僕はその仕事を初日だけ行って、次の日の朝電話して辞めることを伝えました。

早すぎだろ!と思う方もいらっしゃると思いますが、僕は古着が好きだけどカビがついた古着は別に好きじゃない!何よりも青カビで喘息になったり、体を壊したくない!本気で初日の帰りの電車でそう思いました。

怒鳴られながら、青カビを手につけながら、心を無にして服をピックアップする、そこに意味を見出せなかった。辞めたことに一切後悔はありませんでした。若気の至りとはいえ、ノリで選んだ仕事は結局このような結末を迎えたのです。

しかし、最初の仕事であるスタイリストアシスタントは給料は0円でしたが、今回はとりあえず日給7,000円ほど出ました、それでも安すぎる!!

とにかく収入0円から脱出できたけれど、1日にニートに逆戻りしたのです。しかし僕は大きな気付きを得ました。20歳でそこに気付けたのはかなり今後の人生において大きかった。

それは

仕事は業種ではなく、
職種で選んだほうが良い
(場合がほとんど)


ということ。
ファッション業界に入ったからといって、やりたかったファッションの仕事が出来るわけではないし、旅行が好きだからと言って旅行業界に入れば世界を飛び回れるわけではない。業種と職種を混同せずに仕事を選ばないとエラいことになる!ということに気付いたのです、てに青カビをつけた甲斐がありました。


さあ、またしてもニートに逆戻り!
ひとまず青カビ古着屋倉庫スタッフ編は終了です!
1日で仕事を辞めるという、とんでも展開でしたが今後どうなるのか?乞うご期待!

続く…

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