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(終焉)あけましておめでとうございます②

あらすじ
初日の出を見るために、徹夜をして登山をするのはもうやめよう

新年早々不毛な時間

山に登るという現実から目を背けるために、神社で初もうでを終えた後、僕たちは24時間営業の我が故郷、すき家へと足を運びました。流石大晦日、すき家は深夜とは思えない程混んでいて、従業員の皆様には感謝と謝罪の気持ちしかありません。

僕は安定のネギ玉牛丼を食べました。美味しい。

僕たちは七人で行動していました。基本的に登山をするのは僕とサイコパスとデブの三人で、他の四人は傍観者の立ち位置にいるわけですが、傍観者の彼らでさえ、僕たちの登山を笑いのネタにはしつつも、登山反対派です。寒くて眠い状態で歩いて山に登るなど、頭がおかしいと思っています。当然ですよね。
僕とデブも登山反対派ですから、つまり登山肯定派はサイコパスのみ。6対1の圧倒的不利な構図なのです。

しかし、サイコパスは持ち前の狂気で、絶えず「じゃあ登らなくてもいいのか?」とプレッシャーをかけてきます。何より、彼の主張で一番強力なのが、去年、デブは登山にドタキャンした、ということです。そうなんです、去年デブは酒を飲みすぎて、登山開始の直前に俺は無理だと言い出したのです。

サイコパスはこう言います。「去年終わりにするのがふさわしかった。大学四年間と共に歩んだ登山を綺麗に終わらせられる可能性があったのは去年だ。しかしデブは酒をしこたま飲んでドタキャンをした。このまま終われると思っているのか?」

とまぁこんな感じです。これには僕もデブも、傍観者たちも口を閉ざすしかできません。デブにはまごうことなき罪悪感がありますし、僕もまたデブの昨年の罪をみすみすの逃すのはどうも気が許せません。僕たちは友人ですが、必ずしも仲良しこよしで関係を築いているわけではありません。当然サイコパスが絶望に陥れば僕たちは大喜びをしますし、去年デブが山に登らなかったのならば、僕たちはなんとかして登山の苦しみをデブに与えようと画策します。

そう考えると、行く……しかないのか。

数時間後、山に向かって歩いている自分がいることをどこかで感じながら、でもそれを認めたくない僕たちは、「行きたくない!」「それでいいのか?」「いい、行かない!」「絶対後悔するぞ」「皆で楽しく過ごそう」「でもデブは前回行ってないんだぞ!」「確かに……」と不毛な会話をすき家で延々と続けました。新年が始まって早速無意味な時間を過ごしたというわけです。行かないならさっさと誰かの家に行って飲み会を開けばいいだけですし、行くならさっさと家に帰って仮眠をすればいいだけです。

あぁ、行くんだろうな……

続く

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