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老人は走り出す。
単なる健康維持の為ではない。
夢のため、子どものような馬鹿げた目標のために走り出す。
それでいい。
いつの間にかその老人の走りには、若い世代が感化される。
そ…
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#挫折
長編小説『老人駅伝』⑩
十一月九日。流石に昼間でも寒さを感じ、朝は言うまでもない。布団から出れなくなる季節だ。残念ながら、老人となった私には関係ないがな。暑かろうか寒かろうか目が冴えてしまい、動き出すしかないから。
私はベッドから降り(妻はもう起きて走ってやがった。あいつ、やばすぎないか)、ジャージに着替えた。水を飲み、その場で軽くジャンプ。もう痛みは全くない。私の足の痛みは、怪我と呼んでは怪我に失礼なレベルの些細な