駄作⁇⁇ 『曲がれ! スプーン』 で、昔 泣いていた気がする話。
映画の話です。
役者は、感想を言わずに
以前、テレビのバラエティ番組で、ゲストの女優さんに「ご自身の出演作なのに、どうしてもっと面白そうに宣伝しないんですか?」と司会者から尋ねられた様子を見たことがあります。おそらく何気ない流れからだったのですが、すこし特殊な質問です。しかし、それ以上に面白かったのは、その女優さんの回答で、「個人的に面白いと思っても、それを理由に宣伝に力を入れることはありません。また、面白くないと思っても、宣伝を控えることもありません。私が面白くないと思っても、それは一人の価値観であって、どこかにその作品を大切にしてくださるファンの方がいるからです。」という主旨の内容をスラスラと話し上げたのです。驚きました。
あくまで作品は、作者である監督と鑑賞者のためのものであって、役者はその要素でしかないというプロとしての矜持がここにあります。
つまらない映画ってなんですか?
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さて、世間でつまらない映画としてよく語られる『曲がれ!スプーン』の話をしましょう。
つまらないのには、理由があって、原作の舞台演劇ならではのテクニックが使えないこと、面白くないギャグを言い続けること、長澤まさみファンの心にアプローチしていないこと、等が挙げられます。
本作は、エスパーという超能力者がたくさん登場する話ですが、総じて、「舞台→映画」のへ作り替えが上手くいっていないんです。(アダプテーション)
原作では、舞台上の現実の役者には、超能力がないだろうと疑う気持ちと、でも少し信じてみたくなる気持ちがスリルとして機能しています。しかし、映画ではCGが使えてしまうため、茶番に見えてしまうかもしれません。舞台らしいオーバーなギャグや笑いも映画では好みが分かれるでしょう。舞台なら、リアリティラインの低さが魅力になっても、映画なら、もっと現実的な社会ドラマが見たくなるかもしれません。また、
長澤まさみのかわいい映画ポスターなのに、実際の主人公はおっさんエスパーたちで、長澤まさみになかなか感情移入できないのも、きっとガッカリ要素だったのでしょう。(あと、全然可愛く演出されてない笑 )
でも、こんな映画でも大切な映画になるんです。
ゲイの中学生にはちゃんと刺さった
🥄世間ではダメダメ映画でも、僕にはしっかり大切な作品になりました。
エスパーであるために、隠れて生きていて、自意識を拗らせて、認めてもらいたくて、でも怖くて、それでも誰かを助けたい。そんな気持ち悪いおじさんたちにちゃんと感情移入できたんです。先ほど、ボロクソに書いたつまらないギャグだって、そんなダメなおじさんたちの自己表現なんです。長澤まさみが可愛くないのも、長澤まさみには悩みがあったり、いろいろあって疲れているからなんですね。世間では、つまらない映画でも、ちゃんと監督が伝えたかったことを思いっきり、受け止めていました。
最後に、最高の挿入歌を紹介しておきます。
https://sp.uta-net.com/song/38900/
忌野清志郎さんとのバージョンが素晴らしいけど、YouTubeのやつがどういうアップロードかよく分からなかったので、自力で調べて。
ということで、以上、拗らせてるマイノリティに見てほしい映画。『曲がれ! スプーン』でした。
/ 悲しい気分の時も 僕のこと
/ すぐに 呼びだしてほしいよ ねぇ おねがい
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