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脱先送り思考とクリティカルビジネス 〜ソーシャル シンポジュウム2023〜

問題の先送りはダメ。
そんなことは誰も分かっていること。ただ、それには段階があり、程度の差によってダメさ加減にも差が生まれます。最近、コマシな方?の先送り思考の人に出会う機会が続いて、ひょっとして、この国では問題の先送りはそんなに問題ではないと思っている人って結構多い、もしくはそれが当たり前になりつつあるのではと以前から危惧を感じていました。そんな中、先日、大阪で行われたソーシャル・シンポジュウム2023で基調講演に立たれた山口周氏にこれからスタンダードが変わるとの示唆を頂き、希望の光を見た気がします。

先送り以前の問題


最悪は問題が起きた時に何の対処もせずに見過ごすこと。これでは問題はどんどん大きくなってしまいに手がつけられなくなってしまいます。明らか破綻への道を一直線。そんなバカな奴はおらんやろ、との声が聞こえてきそうですが、実は顕在化しつつある問題に気が付かず見過ごしてしまうことは往々にして起こります。また、問題に気が付いたとしても、人は対処の方法やアイデアを持たない時には思考停止に陥ったり問題を棚に上げたまま忘れてしまったりもします。
異変や違和感に気づいて対処を繰り返すのも根本解決にはならず、問題の先送りの一つのバリエーションに過ぎないのですが、対処さえしない、できない、もしくは問題に気付くことさえも出来なければ話になりません。最悪です。

人に罪なし

しかし、流石にこんな人が多くいるわけではなくて、誰しもうっかりすることはあるし、対処が遅れて炎上するのはヒューマンエラーが起こるレベルでの出現率はしょうがないのかも。と思いたい。また、対処の方法が分からずに思考停止になるのはその本人だけの問題ではなく、問題に直面した際に気軽に相談出来る場を作れていない環境に問題があるのではないかと思っています。人に罪なし。です。
少し甘っちょろいですが、人の在り方や人格を否定した所で全く問題は解決に進むことはないし、全てを完全に解決、対処出来る人などこの世にいないと考えれば、世の中で起こる様々な問題に対して一人で立ち向かうのではなく、補完し合うしかないし、それが組織や社会の存在意義といっても過言でないと思っています。

対処サービスが蔓延

「こましな方の先送り」とは問題→対処を行うのが当たり前でそれが出来ることに満足してしまう人を指しています。まるでモグラ叩きのゲームをやり続けるが如く、問題や課題に対する対処を延々と繰り返すのを胸を張って推奨する人があまりにも多い気がしてなりません。それは、表面的な集客や採用といった対処のサービスや商品を提供するビジネスが世に溢れかえっていることからも明らかです。
人の在り方、人格を攻め立てた所で解決策は見つからないですが、事業における在り方は非常に重要です。何のためにその事業を行うのか?との問いに対して、社会や地域に溢れかえる課題を一つでも解決する、企業と社会の共有価値を創造するのがそもそも事業としての存在を許される所以です。
今だけ、金だけ、自分だけが良ければ良いとの在り方では持続可能な事業にならないのは自明。にもかかわらず、課題の根本に目を向けず表面的な対処を提供するサービスや事業所があまりにも当たり前に存在しています。もう既に、違和感を覚えなくなってしまっている感さえもあります。

やり方の学びこそが先送り思考

ビジネスにおける最大の問題は倒産リスクであり、その原因の99%は売り上げの低下でキャッシュが焦げ付いて起こります。経営者はこの恐怖から逃れるために様々な手を打つのですが、それが対処的な手法に偏るといつまで経ってもリスクから逃れることは出来ません。
売り上げを安定的に上げ続けたい。これは経営者全員の切なる望みであり、経営者となった時点から背負う責任でもあります。この責任を全うする為に経営の勉強に足を運び、学ぶのですが、これがそもそも、本質に根ざしていないものが圧倒的に多く、早く、安く、うまくいく手法ばかりが世に溢れかえっています。ありがちなのは成功事例をベンチマークして自社で再現しようと取り組めますよとのノウハウ提供の勉強会。しかし、成功事例は単純なフレームで再現されることは稀で、会社や地域性、事業所が持っているリソースによっても成果の質は大きく変わります。そして、ドッグイヤーと言われるほど、時間の流れが早くなったいま、うまくいきましたー。と喧伝される成功事例は一瞬にして陳腐化します。結局、表面的な対処を繰り返すことにしかなりません。

根本的なアプローチは在り方と教育

他社の猿真似をしたところで問題の根本解決にはならず、単に問題の先送りにしかなりません。にもかかわらず、クライアントの問題の根本に対して何のアプローチもせずに成功事例のフレームを引っ張り回してコンサルフィーをせしめる経営コンサルタントの会社が幅を利かせたりもしており、呆れるを通り越して憤りさえ感じます。
他社とは違う自社独自のロジックで安定的な売り上げを作れるようになるべきなのは自明ですが、世界に名を知られる大企業ならまだしも、地域ビジネスに取り組む中小零細規模の事業所に大したリソースがあるわけではありません。コアコンピタンスどころかUSPさえ見出せない企業が殆どなのは残念ながら厳しい現実です。
結局、中小零細規模の地域企業が持つリソースは人しかありませんが、企業は人なりとの有名な言葉通り、事業を行うにあたっての最大にして最強のリソースは人であり、その才能を最大限開花させることでクライアントとの強固な関係を築くことができます。商売の基本は信用と信頼であり、そこにいる良き意図を持つ人を活かすことこそが自社独自の強みを見出すのにつながります。その意味で、企業における問題の根本解決は在り方を正すことと教育に行き着くと思うのです。

最大の問題さえも先送り

売り上げの方程式は顧客数×販売単価×購買頻度の式で表されます。売り上げを高める方法としては3つのアプローチがある事になりますが、やはりキーポイントは顧客数であり、会社の命運は集客にかかるのと誰しもが考えると思います。しかし、多くの客が殺到すればビジネスは成功するように思いますが、薄い利益しか残らない、もしくは客は来るが比較検討だけして他所で購入する客ばかり集めたところで事業は破綻します。
例えば、飲食店にUber eatsで注文が殺到し、それを必死でこなしたところで、売り上げの30%の手数料を取られたら赤字になる可能性があります。スニーカーを店頭に見に来て、試着した後、Amazonで買う方が安いと手ぶらで帰られたら靴屋は潰れます。本来、集客は質が非常に重要で、それが販売単価と購買頻度の掛け算につながるのですが、それを担保する集客サービスは殆ど存在しません。対処的な目先の集客は事業を疲弊させるばかりにもかかわらずです。事業所の最大の問題でさえ先送り思考がスタンダードになっていると私が感じる所以です。

クリティカル・ビジネスへのシフト

では、事業における根本的な問題解決のアプローチを具体的に示せばどうなるのか?その答えを先日、大阪で行われたソーシャル・シンポジュウム2023で基調講演に立たれた山口周さんが示されました。クリティカル・ビジネスとの新たな概念で、私が世話人として参加している経営実践研究会の学びの中心に位置づけられている「問いを立てる」ことの重要性を非常にわかりやすく、鋭い切れ味で説明されました。マーケティングは重要で効率的な概念ではあるが、今の企業はマーケティングの奴隷に陥ってしまい、新しい問いを立てられないが故に、新しい商品やサービスを生み出すことができなくなった。時代の流れを俯瞰してみて、山のように積み上がっている社会課題に向き合って、疑問を持ち(=問いを立て)、現状に対して批判的な視点を持ち、人の幸せ、より良い社会を実現するのだと理想を掲げてビジネスに取り組むべきとの、言い換えればCSV的(共有価値の創造=社会課題解決型モデル)なソーシャル・ビジネスへのシフトこそがこれからのビジネスで持つべき視点だと口にされました。

在り方、教育がエコシステムを構築する。

山口周さんが講演の冒頭で、これまで自分が世に送り出してきた概念を実践されている団体こそが経営実践研究会だと言われました。私は8年ほど前からデザイン思考、UXデザインの学校に足繁く通っていた頃から山口周さんの著書を読み続けており、彼の著書に大きな影響を受けた結果、現在、その学んできた概念のアウトプットの場として経営実践研究会で中心メンバーとして活動しています。大ベストセラー「ビジネスの未来」の中にあった「
意味のイノベーション」という言葉は大手企業のデザイナーが集まるUX界隈でも大きく取り上げられていました。そこでもその入り口として抽出されたのは「問いを立てる」ことであり、人の心に触れる、人の幸せとは何かを考える、事業自体で社会の課題を解決するエコシステムのデザインでした。
このような思考や哲学が世に浸透するようになれば、現在、蔓延している今、金、自分を優先して本質的な問題を先送りしてしまう現状に陥っている
日本が企業から在り方を見つめ直し、教育に目を向けて、生きるに値する社会への変革に一歩進むのではないかと感じました。本物の時代がいよいよ近づいてきています。

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建築業界の最大の課題、職人不足問題の根本解決を目指し、職人育成のキャリア教育の高等学校を全国に普及させる活動を行っています。

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