肩周囲筋のトレーニングは関節位置覚を向上させる
こんばんは。
今日もお疲れ様です。
今日は少し前の論文にはなりますが、関節位置覚に関してになります。
関節位置覚とか絡んでくると、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、内容的には非常にシンプルなので、ぜひ読んでみてください!
抄読論文
【肩のトレーニングと関節位置覚】
固有受容感覚(動きを感知する感覚)は体の位置や運動を認識する能力であり、筋、腱、関節などからの情報に基づいています。
この感覚は、特にスポーツ選手にとって、正確な運動の実行と怪我の防止に役立ちます。
肩の固有受容感覚は肩を安定させ、正確な動作を行うために特に重要です。
身体活動が固有受容感覚に影響を与えることが示されていますが、筋力トレーニング特有の効果については明らかでありません。
筋力トレーニングが固有受容感覚、特に関節位置覚(JPS;Joint position sensory)にどのように作用するかを明らかにすることはスポーツのトレーニングを中心に非常に重要なことです。
本研究の目的は8週間の筋力トレーニングプログラムが肩のJPSにどのような影響を与えるかを評価することにあります。
【方法】
研究には90人の男性が参加しました。
平均年齢は20.8歳、身長177.2cm、体重72.6kgでした。
参加者は3つのグループに割り当てられました。
GroupⅠは週3回、8週にわたるトレーニングを行い、内容としてベンチプレス、ラットプルダウン、ショルダープレス、シーテッドローの4種目を行いました。
トレーニング強度は8-9MRで高強度の設定であり、すべての種目を同様の負荷量で行いました。
GroupⅡは同様の内容を負荷量を変化させて行いました。
ラットプルダウンと、シーテッドローは12-13MRで行いました。
GroupⅢは上肢に対するトレーニングを行いませんでした。
JPSの測定は図のようなポジションで行い、機械で行った関節運動のポジションを、目隠しの状態で再現するというものでした。
その誤差を測定結果として表しています。
【結果】
結果として、GroupⅠはトレーニング期間終了後の測定で、大きく有意に誤差が減少、つまり位置覚の改善が得られました。
GroupⅡも改善が得られましたが、GroupⅠに比べると改善度合いは減少していました。
【考察】
結果より、筋力トレーニングが、特に高負荷のトレーニングが関節位置覚を向上させることが示されました。
筋紡錘の感度向上や、神経筋制御能の向上といったメカニズムを通じて、位置感覚が向上できたと考えます。
その中でも同一負荷を与えている方が位置覚にとって有利に働くことも示されました。
これは、筋のバランスと協調性を考慮したトレーニングが、固有受容感覚の改善に重要であることを示し、精密な運動制御を求められるスポーツ選手やリハビリテーションを受ける患者にとって、重要な指針となるでしょう。
【どのように活用するか】
肩の障害はスポーツにとって、避けては通れないものになります。
特に野球や私の愛するハンドボールなど、投球動作を必要とするスポーツにとっては、肩は死活問題になります。
その障害を起こしやすい要因として、固有受容感覚の低下は挙げられます。
本研究では、肩の筋力トレーニングにより、それが向上するという結果を導き出しており、障害予防に対して非常に重要なエッセンスとなります。
ただ、ただ、ただですよ、注意しなくてはいけない点があります。
批判的吟味としてこの論文を見た場合、測定バイアス、特に関節位置覚の測定に関しては、大いにバイアスが生じている可能性があります。
一つは学習効果です。
感覚検査ではよく問題になりますが、測定に関する学習効果が残っている場合です。
本研究では8週間以上の測定間隔が空いているため、残りにくい可能性はありますが、そこへの対処というところは明記されていません。
もう一つは比較的アナログな測定方法ということです。
測定精度が十分でない可能性があります。
これらの面を踏まえて、結果は解釈する必要があります。
結果があまりにもクリアすぎるところも気になります😅
そのへんも踏まえて解釈するにしても、良い結果なので、ある程度は受け入れてもいいでしょう。
つまり、臨床応用する場合は、関節位置覚を測定しながら、肩周囲のトレーニングを行うことは有効かもしれません。
関節位置覚の測定は難しいですが、臨床的には可能な方法でアナログでもいいので行っていく必要があるでしょう。
スポーツ選手だったら、定期的にメディカルチェックとして行っても良いかもしれません。
その中で、どのようなトレーニングをすると関節の感覚が良くなるのか、色々検証しながら進める必要があるかもしれません。
本研究の結果は一つの結果であり、個体差もかなりあるかもしれません。
それも踏まえて立ち回る必要があるでしょう。
ということで、非常にシンプルな論文ではありますが、活用できるところは活用していきましょう!
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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