ミシュランガイド2019に掲載された関西の“大衆店”
飲食店に従事する人にとって“ミシュランガイドに掲載される”のは、ひとつの目標であり憧れではないでしょうか。今年10月に最新の「ミシュランガイド京都・大阪+鳥取2019」が発売されましたが、その中には高級な会席やフレンチ店以外にも、焼鳥や串カツ・居酒屋など、関西らしさ溢れる“大衆店”に分類されるお店もたくさん掲載されました。
今回はそんなミシュランガイドに掲載された関西の“大衆店”をご紹介。繁盛店のポイントを探っていきたいと思います。
1.居酒屋 ながほり(一つ星)
居酒屋でミシュランガイドにはじめて掲載されたことでも知られている「居酒屋ながほり」。大阪玉造の住宅街にひっそりと佇む、決して良いとは言えない立地ながら、連日多くの人がわざわざ足を運んでいます。
旬の鮮魚を中心とした創作料理と日本酒が味わえます。お店の看板メニューである「活毛ガニのジュレ添え」をはじめ、「蒸しアワビ肝添え」「サバ寿司」「うまい野菜山椒あんかけ」「塩つくね焼にんにくチップ添え」ほか、お酒によくあう趣向を凝らした料理がズラリと並びます。また、店長のつかず離れずの絶妙の間合いでの接客、料理に合わせてセレクトされた食器、上品で清潔感ある店内。これらがいわゆる居酒屋価格で楽しめるとあって、正に関西の居酒屋の最高峰とも言うべきお店です。
2.wasabi(一つ星)
関西で“大衆酒場”と言えば真っ先に思い浮かぶのが串カツ。そんな串カツもミシュランに掲載されるお店はひと味もふた味も違います。ミシュランガイドでは今年も様々な串カツ店が掲載されましたが、その中でも圧倒的な個性を放つのが、大阪・法善寺横丁に店を構える「wasabi」さん。
お店に足を踏み入れると、まるでオシャレなダイニングバーに来たかのような落ち着いた空間で、提供される串カツも、従来の串カツの概念を覆すものばかり。一串ずつ盛り付けやソースを変え季節感や素材感を感じさせるだけでなく、衣には粉と卵黄、メレンゲ、ミネラル水、ビール、オリーブ油だけに留め、パン粉も生パン粉を使い食感を軽くするなど、女性オーナーならではのきめ細やかなこだわりと配慮が感じられます。
3.焼鳥 市松(一つ星)
焼鳥も“大衆酒場”の定番メニューといったイメージがありますが、「焼鳥 市松」さんは焼鳥と言うよりも、鶏を使った会席料理のようなワンランク上の料理が味わえるお店です。
メニューは焼鳥と創作料理を交えた全20品の比内地鶏コース6,500円のみという潔さ。こだわりの薬味で味わうお造りから始まり、コースの合間に出てくる肝の低温煮はとろけるように柔らかな食感ながら、まるでフォアグラのように旨みが凝縮した逸品。更にメインの焼鳥は一串ずつ提供されますので、それぞれをじっくり味わうことが出来ます。表面はパリッと、中はしっとりジューシーに焼き上げたねぎま。ほぼ生の状態に仕上げたちょうちんは、口に含むとプチっとはじけ、濃厚な黄身の旨みが広がります。また、焼鳥に合う日本酒やワインも店長が実際に口にし納得したものだけを置いていて、他では味わえない品ぞろえもポイントです。北新地にありながら、1人1万円以内でおつりがくるリーズナブルな価格も魅力です。
4.大阪まんぷく堂(ビブグルマン)
ミシュランガイドのビブグルマンに掲載されたこちらのお店。酒にあう肴を少しづつ提供して頂けます。内容はその日によって変わりますが、鰹の薄切りにカラシ和えにしたキャベツを合わせたり、サーモンをいくらのソースでヅケにしたり、セコガニを柿のソースで食べさせたりと、店長の遊び心とセンスが光る、大衆酒場の域をはるかに超えた料理の数々。長屋をリノベートした趣きある外観も期待値を更に高めてくれます。
5.酒肆 門(ビブグルマン)
梅田のお初天神通りを一本細い路地に入った先にある「酒肆 門」さんは、“隠れ家”という言葉がピッタリ当てはまる居酒屋です。目にも鮮やかな「お造り盛り合わせ」に、サクッと揚げたアナゴに山盛りのねぎを合わせた名物「ねぎあな」に、〆サバにパンと意外な組合せながらもクセになる「サバサンド」など、工夫を凝らした料理が楽しめます。昭和の時代にタイムスリップしたかのような、大衆感ある雰囲気も「くつろげる」と評判です。
まとめ
今回はミシュランガイドに掲載された“大衆店”をご紹介しました。どのお店も他では真似できないような強いこだわりと個性を打ち出されていて、料理に対する想いは“高級店”も“大衆店”も差は無いように感じます。
飲食業界での転職を考えている場合も、店長の想いやこだわりがアナタのやりたいこととマッチするお店を選ぶとより良いと思います。そういった意味でも、ミシュランガイドをお店選びの参考として利用してみてはいかがでしょうか?