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新刊『変わる縄文 遺跡発掘作業員のわたしが追いかけた1万年』のこと

縄文がブームです。そんな縄文界にいよいよ乗り出します。どうしましょう。震えますね。

幸運な事にデビュー作の「考古遺跡発掘ワーク・マニュアル」が版を重ね、2冊目を出したすぐ後に編集さんから、縄文をテーマに、と提案がありました。
本を読んだり、遺跡・博物館に行ったり、先生方に会ったり、、、色々アプローチしましたが、かかること二年。しかも、それだけではただの歴史マンガになってしまいます。どうしたら、私じゃなきゃ描けない縄文に辿り着けるか、、、、悩みました。51歳、女、駆け出し漫画家、しょうこ。

結局、週末縄文人さんの書籍「週末の縄文人」を読んで、これだ。と、目が覚めました。

↑とってもいい本です。

私自身の縄文体験は(漫画の中にも描いたのですが)山梨県の梅之木遺跡に泊まった夜の火おこし程度。週末縄文人さん達ほど、真摯に土器や石器作りに向かっていないわけで。
そんなことでは『縄文』を語る資格はないのではないか、と悩みましたが、ハタ!と気がつきました。『命』のことなら誰にでも語る権利はあって、私は4人の子供を産み、育てた経験から、そのことについてたくさん考えてきた。その視点からの『縄文』なら描ける、と思いました。
しかも、四人目は助産師さんが間に合わない自宅で、家族が取り上げるという超自然出産!これはまさしく縄文的な経験です。

https://tanulabo.thebase.in/items/28851008

↑その時の体験談は同人誌でまとめてあります。

でも、それを露骨に出したら、ただのイロモノルポ漫画になってしまう。
あくまで軸は『縄文』で!

遺跡発掘調査事務所で働く主人公の「しょうこ」が、各地の博物館や遺跡を訪ね、先生達に会って、最新の縄文に触れていきます。その中で立体的に見えてくるのは、高度な社会性の中で営まれてきた縄文人達の生きるための戦略。
「豊かな自然の中で暮らし、戦争(部族間の争い)が無く平和な時代」と語られることの多い縄文時代ですが、私にはそんなふうには感じられません。生きることに必死で、他者と争う暇などなかった人たち。「平和」と言いますが、医療も薬もない中で乳幼児などはたくさん死んでいったようなのです。それ、平和?

昨今の縄文ブームは、モノが豊富にある成長前提の経済社会の限界を肌で感じている人々が理想郷を縄文時代に投影したブームだと思います。

そんなことより!!
発掘されてわかってきた事実の面白さに気づいて!!!という思いを込めて描きました。「ものすごい情報量で、簡単に次のページに行けない。」とお友達から感想をいただき、思いを込めすぎたかナ。でも縄文って色々な要素が絡み合っていて描くのに本当に技量が求められたんですよ!

出来上がった本をお届けすると、何人かの専門家の先生達が「よく描いたね」としみじみ言ってくださいました。先生方は専門書や論文、私はマンガではありますが、生み出す苦しみを知っているもの同士、深いところで労ってくれたようで、救われた思いがしました。

そんなわたしの描いた縄文世界です。こちらから、試し読みができます。
縄文好き、よくわからないけど気になる、という、あなたの本棚に加えていただけたら最高の喜びです。





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今井しょうこ@考古遺跡発掘ワークマニュアル📖
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