器用貧乏は早死に憧れる。
会社なんてすぐ辞めちゃった。
今から歌を作って、一年後にデビューします。
嘘です。でも常にそんな気分。
失敗はしたくないだろう。
「失敗をたくさんしておけ」
なんて22歳の若造に言うのだ。
「はあ、がんばります」
とはっきりしない返事をしながら
焼酎を喉に通す。
「いい飲みっぷりだ」
「はい!たくさん失敗します」
「失敗したくないっすよー」
「失敗するまで、がんばります」
これなのか。
そんなことを1秒も考える暇はなく、
言葉は勝手に口から出る。
自分がそんなとんでもない失敗をするとは
想像もつかない。
失敗しないように、生きているとは思わない。
と強がるけど、
きっとそう生きているように見えている。
この種の思考の流れで
脳の隅っこに引っ張り出されるのが
「いわゆる佐々木」だろう。
向見ずで、無鉄砲で、命知らずで、怖いもの知らず。
終いには、「明日は明日の風が吹く」
なんて平気で声に出すだろう。
明日は今日の風が吹くよ。
憧れながらも
少し馬鹿にして、安心して。
別に明日どうなろうといいじゃんか。
失敗恐れず、恥を恐れ
後先考えず、やっちゃう。
やりたいことはやりたいと言う。
やりたいことはやっている。
別に明日死んでもいいくらい。
10年後のことより、今に必死で、
ハチャメチャやって、死にたいんだ。
なんで人はそうなれないのか。
自信過剰だからなのだ。
自分とは何者かで、何かを為すと考えている。
だから、臆病で、後先考える。
自分のなかで捨てられないものが多すぎる。
捨てられるものが多くて、
自分の欲しいものに真っ先に飛びつける人。
そんなに人間に憧れて、
一時的にそんな人を演じたりもする。
だけどなれない。
なりたいけどなれない。
佐々木になりたいけど、
佐々木にならないから、
だからここにいる。
佐々木にはなりたくない。
でも心のなかの佐々木が、
消えきらない希望を動かしつづける。
佐々木インマイマインということか。
ところで自分は、
器用貧乏?でもない。
実は、
男性のホモソーシャル映画が
少しだけ苦手に感じたりする。
そういう女性多いのでは?
苦手というか途中でやめてしまいそうになる。
なんか置いてかれてる感あるんです。
だから心の奥底で共感できない感じがして。笑
でも見ちゃいます。苦手だけど好き。
苦くてクセになるって感じ。