書くことも、話すことも、聞くことも、すべてことばと向き合うことだった。 (企画メシ7)
ライターとして働いてきた私。書くことは好きだけれど、話すことは苦手だと思ってきた。コピーライターの阿部広太郎さんが主宰する連続講座「企画でメシを食っていく(企画メシ) 2021」。第7回目の講師はRadiotalk代表の 井上佳央里さん。事前に出された課題は、音声配信サービス「Radiotalk」での生配信だった。
苦手なものに、向き合う機会
実は数年前にも「話すこと」に向き合わなければと思ったことがある。友人に誘われ参加した女性向けの連続講座で、最後に受講生全員がスピーチをする機会があった。終了後、同席した講師から「みんな内容はよかった。あとは話す練習が必要」と言われた。それ以来、書くだけでなく、話すこともできるようにならねば、という気持ちは自分の中にあった。
苦手だと思っていると、向こうからやってくる。まさかラジオ配信に挑戦することになるとは思わなかったが、企画メシに参加するときに、課題は全部出すと決めていた。でも一人でできる気がしない。そこで、一緒に取り組んでくれる仲間を探した。「チームの企画」の課題で同じチームになったまっきーと配信に挑戦した(こちらについてはまた別の機会に)。そして、ライターの春花さん、soyokaさんと3人での配信「ライターのお茶会」。配信したのは課題提出締切の前日だった。
(配信した番組はアプリから聞くことができます)
当たり前は当たり前じゃなかった
ライターとして働いた年数は長くなったけれど、今でも「うまく書けた」と手ごたえを感じることもあれば、思うように書けずに苦労することもある。書く仕事に誇りを持っているけれど、一方で「書くことは誰でもできる」とも思う。
今回ライター同士で企画に取り組んだのは、春花さんが呼びかけてくれた「ライター部」の中で3人で話したことから。春花さんにはライター部初回でも誘ってもらったのだが、いやいや私は話すほどでは、と遠慮した。今回も役に立つことを話せるかな、と思ったのだが、3人で話すので、お誘いに乗ることにした。やってみて自分が一番勉強になった。
3人それぞれ「書く」仕事だけれど、共通点もあれば、違うところもある。soyokaさんも春花さんも謙遜するけれど、綿密な準備や仕事の進め方が参考になるし、仕事に向き合う真摯な姿勢を尊敬する。2人の話を聞いて、背筋が伸びるような気持ちになった。
ラジオを聞いてくれた人から、うれしい感想ももらった。講義の後、阿部さんにいただいたメッセージを、噛みしめるように読み返している。
自分の中では当たり前だと思っていても、
それはぜんぜん当たり前ではなくて、
ライターの世界に興味がある人にとっては、
知りたくてたまらないことだったりする。
それぞれが、それぞれの現場で、
培ってきた経験を、すごく大切にしてほしいし、
胸をはってほしいし、これからも、
自然体で、自分を開いて、
伝え続けてほしい。
ああ、これは、企画メシが始まるときにもらったメッセージと同じだ。
勝手に自分を見くびらない。
最初の企画メシの講義の後に、自分でnoteにも書いていた。
「私なんか」と「私だって」のはざまでもがきながら、書き続けてきた。「自信とは、自分を信じること」。
最終講義を前に、また自分と向き合っている。
話すことも大事にしたい
ラジオ配信の最後に感想を語り合い、思わず「話すことは苦手で」と口をついて出た。
阿部さんのメッセージには続きがある。
ライターって、
もくもくと書くだけじゃないよね。
話すことも愛してほしいなと思いました。
書くことが好きだし、書くことの方が得意。そう思っていた私は、話すことを苦手と決めつけて、ないがしろにしていなかっただろうか。
宣言して、自分に追い風を
今回の講師の井上さんは、企画メシの卒業生。企画を実現するために心がけていることをお尋ねすると、企画生だったときに「ラジオの企画をやっていきたい」と宣言し、今につながっているという。起業してからは、「追い風を仕込みに行く」。自分の背中を押すものをいかにつくれるか考えている。だから企画が形になって動いていくのだと思った。
私にはずっと、うまく言葉にできていないことがある。「自分の仕事」の解釈だ。阿部さんの本「それ、勝手な決めつけかもよ?」でも紹介されている。「企画メシ」の初回の講義でも、オンラインで聴講した阿部さんの他の講義でも、何度か取り組んだワークだ。
数年前、書くことにこだわる私に対して、「なぜ”書く”なの?」と訊かれたことがある。その時もうまく答えられなかった。企画メシの最後に、言葉にできればと思っている。そして、自分に宣言して締めくくりたい。
書くことで気づくことがある
ラジオ配信で、「書くことで気づくことがある」という話もした。確かに、書くことで見えてくるものがある。
企画メシでは、講義の後に「感動メモ」と称して、講義で心が動いたことを書き残す。今回、私はこんなメモを書いた。
書くことも話すことも聞くことも、
「ことば」に向き合うことだと気づきました。
メモを書きながら、自分でもはっとした。そうだ、「ことば」にまつわることをしたい、と思っていたのに、私が考えていた「ことば」は、ずっと「書く」ことばかりだった。
ラジオ配信の最後に、春花さんがこんなことを語ってくれた。
言葉を紡ぐことで救われることはあるし、
前に進めることもあると思っています。
本当にそうだなあ、とこの文章を書きながら思う。noteに書いておいたから、企画生になったばかりの時の自分の気持ちを思いだせた。とりとめのないものになってしまったけれど、この文章も、未来の自分のために書き残しておこう。
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