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日常生活をストーリーに変える「リズム遊び」活動──写真で知ろう!小規模保育【遊び】
子どもと共に楽しむリズム遊びとしてスタートし、「お散歩」「お昼寝」など日常生活のシーンを組み込む、一つのストーリーとして形になったリズム遊び活動。毎回子どもたちの反応を見てディティールを変えていく工夫が、0〜2歳児の表現の幅を広げることにつながっています。
<もりのこ第一・第二保育園/東京都町田市>
【園児数】19名×2園
【保育者数】19名
(2024年6月時点)
■ ねらいと配慮
6年目を迎えた当園では、リズム遊びを学んできた保育士の経験を生かし、開設当初からリズム遊びに取り組んできました。慣れない職員もいたため、まずは子どものいない場所で、保育士自身が楽しんで歌い、踊ることからスタート。そこから、子どもの前でもやってみる経験を少しずつ重ねていきました。
歩いたり、ちょっと走ったり、といったリズム変化のために曲数を増やすなか、次第にそれらをつなげて、ストーリーづくりを模索していきます。数年かけて、「園からお散歩に出かけて、たくさんの動物に出会いながら目的地に着き、お弁当を食べ、飛んで帰ってくる」という独自の型ができあがってきました。
とはいっても、毎回必ず同じことをやるわけではなく、都度都度、子どもたちの話を聞きながら内容を細かく変えていきます。大事にしているのは、子ども自身が「やりたくなるリズム遊び」であること。そのために、まずは歌う大人が豊かに表現すること、子ども一人ひとりの興味関心を見守ることを意識してきました。
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■ 振り返り
ストーリー仕立てのリズム遊びは現在、0・1歳児でおよそ15分、2歳児で20分くらいの内容で行っています。月に1回、大々的にみんなで行うほか、日常の中で、外遊びの準備運動のようにやることもあります。
季節の歌で始まり、「どこにお散歩に行こうか? お弁当持っていく? お茶も持っていく?」と子どもたちと相談しながら、途中で動物と出会ったり、自分たちも動物になったり。「なべなべそこぬけ」などのわらべ歌も組み合わせつつ、ところどころテンポを変え、コマになって身体を回したり、どんぐりになって部屋中を転がったりもします。急に「ジュース飲みたくなっちゃった? じゃあ飲もうか」など、子どもの発想も取り入れたアドリブも加えることもよくあります。
もちろん、輪の中に入らない子、動かずじっとしている子もいますが、無理に誘うことはありません。別のおもちゃで遊びながらも、耳で聞いて参加しているかもしれない。そんなふうに捉えながら、ふと「やってみようかな」という表情を見せたり、ちょっと揺れてみたりする瞬間を逃さないようにし、子ども一人ひとりの感情や発想を大切にしてきました。
基本的なストーリーができあがっているからこそ、子どもたちは繰り返しを期待したり、細部の微妙な変化を楽しんだりしてくれます。その子が今何に興味を持っているかにきちんと目を向けることで、同じ内容のパートでも毎回異なる表情をしていることも見えてくるようになりました。
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活動を重ねていると、子どもの表現力の豊かさに驚くことも多くなりました。「ひらいたひらいた」で、何も言わなくても子どもが、すぼむときに目をあわせながら小さい声で、開くときにはゆっくり大きな声で表現をする瞬間に、鳥肌が立ったこともあります。
また活動中の変化にとどまらず、園庭遊びで「あ、トンボだ!」と気づいたところから、手を広げてくるくる走り合う姿が生まれる場面も。数人の子どもが自然と歌を口ずさみ始めたところから、気づけば大きな輪ができていることもあり、リズムが一人ひとりの内側に沁み込んでいるんだと、保育の中での連続性を度々感じてきました。
■ 「小規模保育」としての視点
当園は19人定員の2園が隣接しており、両園の間に、園児たち全員で遊べる広い空間を有しています。合同での迫力あるリズム遊びも展開できるなど、活動に幅を持たせられるのは、当園の一つの特徴かなと感じています。
一方で、小集団で家庭のような環境であるからこそ、保育士と子どもの距離も近く、一人ひとりをゆとりを持って見ることも可能です。例えば「鳥になって空を飛んで帰る」という場面では、子どもの「もう1回!」にたっぷりと応えられる余裕もある。何より、日常の延長でストーリーが展開できている点に、日々の「生活」を大事にする小規模保育園の特徴がよく表れている、と考えています。
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【園情報】
もりのこ第一・第二保育園(社会福祉法人貴静会)
https://www.morinoko.org/
東京都町田市鶴間1-16-1
定員各19名
小規模保育事業A型・管理者設置あり