畑を使った食育から、1・2歳児の「バス遠足」へ──写真で知ろう!小規模保育【食育】
子どもに“素材の味”を楽しんでもらいながら、保護者に料理への興味を持つきっかけを届けるため、10年前から取り組んできた野菜栽培。サツマイモの収穫では、一昨年から、郊外の畑までバスで出かける「イモ掘り遠足」も行っています。
<ほしの子愛児園/愛知県名古屋市>
■ ねらいと配慮
2011年に認可外保育園としてスタートした当園。開園して間もなく、畑を借りて季節ごとに、無農薬野菜を育てるようになりました。2015年に認可の小規模保育園になって以降も継続しており、現在は郊外に600坪ほどの土地を借りて、園の関係者がボランティアで栽培をしています。
そのきっかけは、当時1歳で入園してきた子どもの中に、離乳食から幼児食への移行がうまく進んでいない園児が少なからずいたこと。既成の離乳食が中心で、野菜などの“本来の味”を知らない子どもたちも多かったため、給食などの提供を通じて食材に触れる機会がつくれたらと考えました。
また、園の入り口に収穫野菜の販売コーナーを設け、保護者に野菜の旬を知っていただいたり、採れたものを家庭でも楽しんでもらったりもしてきました。(収益は保護者会の資金にしています)
園から畑まで、車で30分ほど離れているので、これまで収穫には子どもたちに関わってもらうことをしていませんでしたが、一昨年からはバスを借り、2歳児が「イモ掘り」に参加できる遠足を企画。昨年からはチャイルドシート(道路交通法上は任意)を購入し、1歳児も含めて食材を楽しんでもらう体験にしようと考えました。
■ 振り返り
普段、子ども同士で車に乗る機会のあまりない園児たち。今年の遠足のバスは、車窓の位置が子どもの目線にある車だったこともあり、移動中は外の風景に目を奪われながら、とても楽しそうに過ごしていました。
着いた先の園の畑は、もともと柔らかい土壌だったため、1・2歳児でも引っ張ればイモが抜けるようになっています。「重い、重い」と言いながらたくさんのイモを収穫し、みんなで喜び合う姿がありました。また収穫後は、近くの土手を何度も上り下りしながら、草や土の感触を全身で楽しむ様子も印象的でした。
収穫したサツマイモは、2本ずつ子どもたちが持ち帰るほか、給食の食材として使い、余ったものは入口の販売コーナーに。普段もそうですが、ここに野菜が並んでいると子どもたちはすごく興味を持ち、迎えに来た保護者に「うちで食べたい!」と積極的に話しかける姿が見られました。
また保護者には、いつもの野菜と同様に、子ども向けのレシピもお渡ししました。「さっそく蒸して、おいしく食べました!」という声と共に写真を送ってくださる保護者もいらっしゃり、職員にとっても喜びになっています。
イモ掘り遠足でもう一つ印象的だったのが、お弁当の変化と、それを喜んで食べていた子どもの姿です。もともと「料理が苦手で……」と相談くださっていたある家庭では、4月の入園時には子どもがまだ離乳食しか食べられない状態でしたが、そこから半年かけ、給食や上記のようなレシピを通じて少しずつ食の楽しさを共にしてきました。今回のお弁当でも、緑やオレンジの野菜をいくつか使い、形も工夫するなど、「子どもが楽しんで食べられるように」という保護者の願いが随所に表れていました。
■ 「小規模保育」としての視点
当園は小規模保育という形態の特性上、保育室と調理室が仕切りを1つ隔てた、同じ空間にあります。その中で、調理員が「ほら、ナスってこんなのだよ!」「カボチャ、こんなふうに切ったよ!」などと、子どもたちに食材の姿や調理の過程を話す風景が、日常的にありました。
そうした関わりがあると、子どもは「どういう料理になってくるんだろう」という期待感を持ち、結果的に給食もよく食べてくれます。保育室で「今日のお昼はなにかな?」といった話が投げかける機会も自然と増える、そうした調理室との距離感の近さは、規模の小さな園ならではの魅力だと感じています。