変化が激しい世の中を生き抜く際、時には痛みを扱い、癒されることが必要だ。
さいきん企画の構想を練るために「トランジション」とは何なのか調べ、思考しています。企画を一緒に進めている方が、企画中に現在考えていることや実施していくことをトランジションという言葉でまとめてくれました。
トランジション。普段、使う人は使うかもしれないし、使わない人は使わないかもしれない。でも非常に興味深い概念と技術形態だと思います。読んでいる読者の方にも必ず人生の中でそういうものがあったはず。変化の激しい時代、どのように生き抜いていくのかということに、何らかのヒントがあるような機会を作り出していけるんではないかと考えています。
さて、トランジションという言葉を"移り変わり"という風にしか考えていなかったのですが、調べていくとトランジションというキーワードで動いている人たちや研究・プラクティスがあるようです。
ドラッカースクール准教授ハンター氏が語る、変化の技法「トランジション」とは?
すばらしくまとめられていました。デザイン思考などで有名な佐宗さんと、経営学でよく名前を聞く入江さんのお二方が、ジェレミー・ハンター氏という方にインタビューされていました。
ジェレミー・ハンター氏は何者?
きになるのはそこですよね。マインドフルネス研究と実践の第一人者である、米クレアモント大学ピーター・ドラッカースクール准教授の方です。マインドフルネスに関心がある方には一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?
多くの場合、まず外的な変化が起こります。たとえば、徳川幕府はこの外的変化に対応できず、明治政府に変わりました。同時にこれは、封建的なマインドセットから、より近代的なマインドセットへの移行でもあったわけです。“変化”は外側で起きていますが、それに対し、トランジションとは内面でおきている「我々は何者なのか」という物語におけるシフトなのです。私は誰で、どんな役目があり、私には何ができるのか。これらは本質的に感情を取り扱う問題です。
人生生きていると、様々な変化(出来事)を体験しますね。その中で、トランジションとは内面でおきている「我々は何者なのか」という物語におけるシフト、とのことらしいです。
つかめたような、つかめないような...。ただ、自分は何者かということがガラッとシフトしてしまうような変容・変化の体験のことを言っているのかな。そういうものであれば自分もこれまでなんどもありました。
お寺というアイデンティティからの逃亡と再構築
私の個人的なシフトのポイントや思考の変遷を簡単に書いてみました。
・漠然とお寺が嫌いだという嫌悪(恐れの裏返し)
お寺には面白い人がいなくてとても入られたものではないという固定観念
→京都で十夜フェスの運営に関わる
→お寺も悪くはない、お寺にも面白い人はいるという認識の変化
※十夜フェスは、株式会社 jiji を経営している圓城史也くんが開催しているアートと仏教を統合した京都で開催しているフェスです。
・お寺が嫌だ
→お寺で初めて自分で企画を行って、ワークショップを実施する
→お寺に価値があると思えてくる・仏教自体に興味が出てくる
このあたりの行動の仕方とか、嫌で顔歪みながら何やっとんねん、とすら思うくらいでしたね。普通自主企画とかって、楽しいとかワクワクするからやるのだと思うんですけど、そういう気持ちが3割くらいありつつ、結構自分と向き合うのがしんどくもありました。
・向源で漠然とかわりたいと望む
→お寺をもっと面白い場所にできると信じたいという思い(絶望したくない)
※今年開催された寺社フェス「向源」に運営メンバーとして関わりました。
・仏教に可能性があると信じたい
(可能性がないとなると、そこに生まれた自分にとっては絶望感しかない)
→開発のイベントで、仏教的要素を扱うことを決める
→お寺で何かを行うということへの壁がなくなる
このようにお寺に絶望やトラウマを感じていた過去だったのですが、イベント制作を軸に身がヒリヒリするような痛みをほじくり返しているうちに、お寺っていう言葉を聞いても気分が落ちなくなってきました。
前はひどかったですからね。お寺の話題を出されるだけで、本当に気分が悪くなってしまって、頭の中が紫色にグチャグチャとなり、まるでスイッチが切れたロボットになったかのように意識が遠のいていた時期もありました。
トランジションにおける癒しの大切さ
佐宗:
先ほどのトランジションの話で出てきた「癒やす」という言葉に、はっとさせられました。トランジションには、自分の過去の成功体験を解き放つプロセスが必要です。でも、それは元々の自分のアイデンティティと結びついているため、何らかの不安や痛みが伴う。そこで 「癒やす」ことが重要になるのだと思います。前向きなトランジションにおいて「癒やす」とはどのようなことなのか、お聞きしたいなと思います。
ハンター氏はこれに対して、
新しい環境に適応するために、新しいスキルを学ぶわけですね。これまでの、読み書きや算数といったスキルのように。新しいスキルとは、「どのように自分を理解し、自分を進化させていくかを学ぶ」ことです。
そして癒しのスキルとはどういうものかというと、痛みを生産的なエネルギーに変換させるスキルだと言及しています。
これを読んだ時、めちゃくちゃハッとしました。心あたりがありすぎる...笑 上の方に書いていたようなお寺からの逃亡を図り、しかしそこに働きかけていくプロセスは、自分の中で一種の癒しとして作用していたみたいです。
途中から、お寺をニュートラルに見れるようになっていきました。最初はお寺という言葉を聞くだけでどうしようもなく嫌だったものなのに。
癒されてきた結果何が起こってきたのかというと、自分のアイデンティティの更新です。また自分には可能性があると信じることができるようになってきました。できない・無理だということを認めたくない、自分は足らないという感覚が次第に自分は満ち足りている、いろんな可能性があるという捉え方に変わってきました。
トランジションを体験してきた身として思うこと
まだ、概念として掴み切れているわけではないのですが、トランジションを経験してきたのだと思います。その中で感じるのは、アイデンティティというものは更新できるということです。ここではマインドセットという言葉にしてもいいかもしれません。
心理学社のキャロル・デュエックの Growth Mindset という概念がありますが次第にそれが育ってきているように感じます。
社会的な基準をアイデンティティにしている人が日本には多いように感じます。社会の基準に照らし合わせ、もしくは引きずられるようにして、自分自身を無理矢理形を変えて、適応しようとしている人たちがたくさんだなぁと思うのです。
小学校2年生の時に不登校デビューした自分にとっては、社会に合わせるということは、難しいことです。
しかし、社会から与えられるものを外していくことや固定観念から外れようとしてみることは、痛みを伴うことです。触れようとすると痛い。痛いから、ほったらかして、そのままにしてしまう。それが化膿してしまって、取り返しがつかなくなることもあるのではないかと思います。年齢が上がっていくにつれて自由に発想することは難しくなっていくでしょうが、それでも希望を感じることができます。
子供のような大人(笑)に何人もあってきました。
痛みに向き合うことで、人格すらも変化していく過程を感じてきました。
自分の中のネガティブでどうしようもないものが生産のエネルギーになる。
このように感じるようになってきた今は、逆に社会の基準やルールを刷り込まれてしまうことが怖いのです。社会に生きていく以上、ある程度合わせれたらと思いますが、どうしようもできないところは、無理です。
人が集まり、その集合をあえて社会だとすると、社会というのは人の考えの集積の場です。社会の常識がある程度あるのかもしれませんが、それを構成しているのは人です。あなたも私もその社会を構成する1人で、私たちの考えが常識や普通といわれるものを作っています。自分の考えが社会の考えとは言えませんが、それでも社会の考えの一つとして、認められていいのだと思います。
人を殺したいとか、倫理的にやばい考えを持ってるのはちょっと怖いですが、そういう思いが発生してしまうことはしょうがないというか。考えや感情、さまざまなものが自己検閲というフィルターを通し、同調圧力という検閲を通し、封殺されてしまう世の中はなんだか嫌だなぁ。
早く大人になるべきだ、と話している人がいます。
大人にならなければ、と思っている人がいます。
それが、自分を封殺して、社会的な基準に抜け殻になった自分を乗せることなのであれば、乗せたくありません。まだまだ大人になれそうにあれません。
脱線しましたが、トランジション。まだまだ理解できていませんが、少しずつ勉強していこうと思います。これからの将来を生き抜くための重要な概念になるだろうという直感を感じつつ、また明日からリサーチ継続です。
ジェレミー・ハンター氏が来日した時に、トランジションのセッション受けてみたいな。
Have a beautiful day♪
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9月23日(土)14:00 - 17:00 @大阪
ドイツのカッセルで開催の芸術祭「ドクメンタ」、ミュンスターの「彫刻プロジェクト」報告会と、報告から考える対話の会
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