「憧れ」を力に
先日行われたWBCの決勝戦前、大谷翔平選手が話したスピーチにはしびれました。
「僕から1個だけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ、いこう!」
憧れることを一旦やめなければ、超えることはできない。世界一になる上で必要な心構えを大谷選手が試合直前に熱く語ったことは、優勝に大きく関係していると思います。普段、あまり野球を観る方ではありませんが、今回のWBCからは多くの学びと感動をいただきました。
大谷選手のスピーチにあるように、憧れがブレーキになることもあります。ただ、憧れがアクセルとなり、力強く前進できる例も沢山あるでしょう。私の高校時代の原動力は、まさに憧れでした。中学校に柔道部がなく、県大会で1度も勝ったことがなかった私が、無謀にも高校で全国大会を目指そうと思ったのは、当時柔道界のスターだった古賀稔彦選手や吉田秀彦選手への憧れ、『柔道部物語』や『帯をギュッとね!』といった高校柔道漫画への憧れでした。「自分もあんなふうになりたい!」という熱い想いだけで、3年間を突っ走ることができました。
「憧れの心」が、少しずつ芽生え始めたお子さんもいるようです。柔道を始めて5ヶ月目になるお子さんは、「嘉納先生ってすごい人なんだ。」と何となく感じ出したようです。「嘉納先生に礼!」と言いながら、とても丁寧な礼をしています。この前の稽古では、「ぼく、黒帯になりたいなあ。」と話していました。10年後の昇段試験に向けて、受身や技の練習をはりきっています。
憧れは、大きな力です。咲柔館のお子さんたちもそれぞれに憧れを持っています。「地球を守るヒーローになりたい」「昇級試験で合格して色帯になりたい」「将来、柔道選手として活躍したい」「大人になったら警察官になりたい」、このような話をしている時のお子さんたちの目はキラキラ輝いています。
身近な人でも、歴史上の人物でも、漫画の主人公でもいい。憧れる存在ができたら、まずは何か1つでも真似をしてみる。そうすることで、1歩ずつ憧れの存在に近づいていけるはずです。憧れる心は、きっと大きな成長へとつながっていくでしょう。改めて、お子さんたちと「憧れの存在」について話してみたいと思います。
今の私にも「柔道家」として、「指導者」として、「経営者」として、「人」として憧れている方が沢山います。その方たちを超えることはできないかもしれませんが、その背中を追いかけながら、少しでも近づいていきたいです。
「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館
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