子どものやる気を引き出す「ポイント加点式乱取り」
咲柔館子どもクラスは、柔道を始めたてのお子さんばかりです。乱取り(実戦練習)よりも打ち込み(技の反復練習)を、打ち込みよりも受身の練習を重視しています。ただ、「乱取りが1番好き」というお子さんはやはり多いです。中には稽古終了後に「もう一本やりたかった!」というお子さんもいます。
多くの方が「相手を投げたい」「相手に投げられたくない」と考えながら乱取りをするでしょう。それは、お子さんも例外ではありません。ただ、この気持ちがあまりにも強すぎると「強引な技で投げる」「腰を引いた防御姿勢をとる」「受身を嫌がり相手にしがみつく」といった場面が見られるようになります。力みすぎたり、姿勢が悪くなったり、受身が身につかないと、技術も伸びにくく、何よりお互いの安全が確保できません。そこで、咲柔館では「ポイント加点式」の乱取りを取り入れています。
「一本」や「技あり」の判定はせず、1点から3点のポイントを加算していきます。投げられてもポイントになるのが最大の特徴です。投げても、投げられても全て「足し算」でお子さんたちの成長を評価します。
・受身=3点
※安全に受身をとることがポイント付与の条件
・月目標の技で投げる=2点
・その他の技で投げる=1点
※相手と自分の安全を確保した投げ方がポイント付与の条件
優先順位が高いものほど高得点に設定しています。この方法で乱取りをしてから、受身も潔くとり、課題技にもどんどんチャレンジするようになりました。相手をなかなか投げられないお子さんでもポイントが高くなるので、技術(特に受身)の上達を実感でき、自信につながります。中には受身を沢山とり、1分間の乱取りで20点以上とったお子さんもいました。
また、乱取りを見ているお子さんに役割を与えているのも特徴です。見学中は、乱取りのポイントを計算します。こうすることで、他者の稽古もしっかりと見る習慣がつき、良い受身、技とは何かを考えるきっかけになります。暗算の練習にもあり、一石二鳥です。この「見取り稽古」を通して、他者から学ぶ姿勢も養っています。
乱取りは、体を鍛えるだけでなく、「思考力」「判断力」「表現力」を伸ばすのにも有効です。自らの意志で動き、技をかけるので、乱取り中は頭もフル回転しています。乱取りは、体と頭を鍛えることができる素晴らしい稽古です。これからも、お子さんたちの「乱取りが好き、楽しい、面白い」という気持ちを大切に育てていきます。