本は一生のともだち~読み聞かせタイム始めました~
咲柔館には本棚があります。柔道場としてはちょっと変わっていますよね。私は「子どもに本の楽しさ、素晴らしさを伝えたい」とずっと思っており、咲柔館の開館前から道場に大きな本棚を設置することを決めていました。
しかし、本はあるものの、手に取って読むお子さんはあまり多くありません。う~ん、これは何か工夫が必要。そこで、本のスペシャリストで、高校司書をされている木下通子先生に「どうすれば子どもが本を好きになるか」について相談してみました。木下先生の答えは、とてもシンプルなもの。それは「読み聞かせをしてあげること」です。
木下先生はご自身の著書でこうおっしゃっています。
本を読むことは、運動と同じ。とてもアクティブな活動ですし、「読む」ことに集中しないといけないのです。
また、本を読み慣れるまでは、一冊読み終わったら、次の本をすぐに読むことが大切です。サッカーでもテニスでも、多くのスポーツで言えることですが、一つに技術を身につけるために反復練習することが大切ですよね。実は本も、読み慣れるまでは、続けて読むことがとても重要なのです。
(『読みたい心に火をつけろ!学校図書館大活用術』木下通子著/岩波ジュニア文庫 より)
読書とスポーツに共通点があるなんて考えたこともありませんでした。木下先生によると、読書をするにはスポーツ同様に「本を読む体力」が必要とのこと。幼少期に本を読むための「基礎体力」をつけるためには読み聞かせが良いと教えてくださいました。子どもと一緒に楽しみながら続けていくうちに、少しずつ「本を読む体力」がついてくるそうです。
早速、地域の図書館で何冊か本を借り、毎稽古後に読み聞かせをしています。本は、絵本や紙芝居が中心です。読み聞かせタイムは5分から10分。読む本は、その日稽古に来たお子さんに合わせて選んでいます。今まで読み聞かせについて勉強した経験が全くなかったので、読み聞かせの指南書も読みながら試行錯誤の毎日です。
読み聞かせ後の反応は、お子さんによって、日によって、全く違います。あまり反応がない時もあれば、お子さんたちで本をめくりながら10分以上語り合っている時もあります。
この読み聞かせは、授業でも、指導でも、まして特訓でもありません。読み手の私自身が楽しむことも忘れずに、お子さんたちと肩の力を抜いて、本の世界で遊びたいと思います。
本はお子さんの知識を増やし、語彙力を向上させてくれるだけではなく、想像力も豊かにしてくれます。何より本を読んでいる時間そのものが楽しいです。お子さんたちには、YouTubeやゲームだけではなく、ぜひ本にも夢中になってほしいと思います。読書習慣は一生の財産、お気に入りの本は一生のともだちになるはずです。
※以前、木下先生のYouTubeチャンネル(みちねこチャンネル!)で対談させていただきました。本や読書にご興味があるかたは、ぜひご覧になってください。
「柔道家が増えることで、社会はより良くなる」
文武一道塾 咲柔館