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悩まないでプロダクトマネジメントする

CADDi プロダクトチーム Advent Calendar 2024 3日目の記事です。

はじめまして。キャディの荘司です。キャディに入社して3年半が経ちました。現在はCADDi Drawerのプロダクトマネージャーをしています。プロダクトマネージャーとして仕事をしていると日々悩みが尽きませんね…。

  • サービスリリース直前にバグが見つかり、チーム全員で対応に追われる中「どうしてもっと早く見つけられなかったのか?」と上司から指摘を受ける

  • プランニング中にエンジニアから「それ、本当に必要な機能なんですか?」と問われ、説明するうちに自分の考えに迷いが生じてしまう

  • お客さんと約束したリリース期限を目前に、バックログの山をどう対応すべきか途方に暮れる

などなど…。こうした日々の中「自分の判断は正しいのか」「これ以上何かできることはあるのか」と悩み、気づくと時間だけが過ぎていく。

今日は、1秒でも早くかつ健康的に仕事を前に進める、悩まないでプロダクトマネジメントするために、私が心がけていることを参考書籍と共にお伝えします。


自信をつける

元も子もありませんが、自信があれば、悩みの多くを軽減することができます。エンジニアから「それ、本当に必要な機能なんですか?」と問われても、自信があれば必要な理由を端的に説明し、議論を前に進められます。そしてフィードバックを受け入れ、新たな視点を企画に反映させることも可能になるでしょう。では自信をつけるにはどうするか。

プロダクトマネジメントの方法論を習得して自信をつける

プロダクトマネジメントの「こういうときはこうする」というプラクティスを持つことが自信に繋がります。エンジニアから問われて自分の考えに迷いが生じるのは、事業戦略と合致していない、顧客の課題解像度が充分高まっていないなど、プロダクトマネジメントのプラクティスに則った情報整理ができていない場合が多いです。

以下のような要素を当たり前に整理しておくことが鍵となります:

  • プロダクトの世界観(ミッション・ビジョン): プロダクトが目指す長期的な方向性

  • 事業戦略との整合: プロダクトが顧客の問題を解決すると、自社のビジネスゴールに貢献する状態

  • ターゲットユーザーとそのペイン・ゲインの明確化: 解決すべき課題や提供価値が具体的になっている状態

  • 市場規模: 市場でのポジショニングを理解し、ターゲットユーザーの規模をもとにビジネスインパクトを説明できる状態

  • 競合分析: 競合が顧客に提供している価値と、自分たちの差別化ポイントが明確な状態

これらが整理され自分の言葉で説明できる状態になっていることで、自信を持って説明ができ、その上で他者からのフィードバックに気づきを得て企画を変えることもできます。

参考書①『プロダクトマネジメントのすべて』には、このような場面での実践的なアプローチが多く紹介されています。こうした方法論を身につけることで、相手の疑問を解消しながらチーム全体で合意を形成し、自信を持って進めることができるようになります。何度でも逆引きしたくなる一冊です。

経験を積んで自信をつける

経験は自信に繋がります。おすすめなのは、小さな成功の経験を積むことです。プロダクトマネジメントにおいては、短期間で完了する小規模なプロジェクトを率先して進めることで、成功パターンを蓄積できます。

戦略的シカト

プロダクトマネジメントをしていると「主張」をする機会が増えます。その分「批判」を受ける場面も多くなります。NETFLIX社の自由と責任の企業文化を描いた「NO RULES」にはこんな一節があります。

批判されるのが好きだという人はまずいない。自分の仕事について否定的なことを言われると、自己疑念やいらだちを感じ、攻撃されたと思う。私たちの脳は否定的フィードバックを受けると、身体的脅威を受けたときと同じ闘争・逃走反応を示す。血液中にホルモンが分泌され、反応時間が短くなり、感情が高ぶる。

NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX (日本経済新聞出版) by リード・ヘイスティングス, エリン・メイヤー

批判に反応しない練習をする

批判を受けるときに最も重要なことは、理解に徹することです。批判を文字通り以上の意味で受け取り、自分で勝手な判断をしないよう意識します。判断することで一時的に快感や安心を得られるかもしれませんが、それが必ずしも正しい方向性を生むとは限りません。

例えばXでニュース記事が流れてくると、つい自分の意見をつけてリポストしたくなることがありますが、よほど自分がそれをやることに必然性が無い限り今すぐやめるべきです。判断することには次のような問題点があります。

  • 判断によって満足感や快感を得られるが、同時に不要な苦しみを生む

  • 判断が真実であるとは限らず、有益である保証もない

批判に対して「まず理解し、反応は保留する」という姿勢を保つことで、余計なストレスを減らし、適切な次の行動を選びます。

参考書③:『反応しない練習』では、ブッダの教えを現代的に解釈し、批判に対して冷静に対応するための具体的な方法が紹介されています。例えば:

  • 心の状態を言葉にする:「今、自分はこう感じている」と冷静に内観する

  • 肉体感覚に集中する:散歩をしたり、空を眺めることで、感情を鎮める

  • 肯定的な自己暗示をする:「私は私を肯定する」と自分に言い聞かせる

一見すると宗教的・自己啓発的な内容に見えますが、意外とロジカルで実践的なアプローチが豊富な一冊です。

悩まないで、考える

「悩む」というのは「答えが出ない」という前提に立っており、いくらやっても徒労感しか残らない行為だ。僕はパーソナルな問題、つまり恋人や家族や友人といった「もはや答えが出る・出ないというよりも、向かい合い続けること自体に価値がある」という類いの問題を別にすれば、悩むことには一切意味がないと思っている(そうは言っても悩むのが人間だし、そういう人間というものが嫌いではないのだが……)。

安宅和人. イシューからはじめよ[改訂版]――知的生産の「シンプルな本質」

悩むことには一切意味が無いとのことです。最近改訂版が出た参考書③『イシューから始めよ』の一節です。悩みの解消や、プロダクトマネジメントに直結する書籍ではありませんが、イシュー、つまり本当に解決すべき問題や課題を見極めることで仕事の効率を高める方法を解説してくれています。

  • 悩む: 感情的に物事をループさせる行為

  • 考える: 問題を冷静に解決に導く行動

自分が考えていることが本質的にやるべき問題なのか、上司から言われたことだけをやっているのか、常に前者を捉えながら仕事を進めることが、先に伝えた自信にも繋がります。不要に悩むのをやめ、イシューの発見とその解決に努めましょう。

ゼロ秒思考トレーニング

最後の参考書籍④『ゼロ秒思考』です。実はこれが最もイージーに読めるかもしれません。純粋なハウツー本です。心の拠り所です。

ゼロ秒思考トレーニングを実践することで、

  • 手書きメモに集中することで雑念が消え、瞑想効果により心が落ち着く

  • 頭が整理された状態になり、ゼロ秒で即断即決できる思考力が身につく

  • 相手の立場で考えられるようになり、否定的な感情を鎮めることで対人関係がうまくいく

具体的なトレーニング方法は、A4用紙を横にして手書きで思いついたことを1分以内に書く、これを10ページ(10分)毎日繰り返す、これです。
これを愚直にやるだけでいいのですが、もう少し詳細な書き方は、

  • 1行を20〜30文字と長めに書く

  • 頑張って4〜5行くらい書く

  • メモのフォーマットは守る

これです。『ゼロ秒思考』に実際に出てくるメモのサンプルはこちら。

参照:メモ事例② - 自分ならどんな指導を受けたいか
ゼロ秒思考 by 赤羽 雄二
参照:メモ事例① - 部長は先日の会議での私の発言が気に入らなかったのではないか?
ゼロ秒思考 by 赤羽 雄二

案外内面をえぐる内容になっています。毎日10枚書くのは相当大変ですが、著者は3ヶ月続けると効果が現れる、と言っています。私は正直、1回やるだけでもだいぶ頭がすっきりしました。

悩まずプロダクトと組織を作っていくぞ

方法論の確立とその習慣化、経験の積み重ねが悩みに打ち勝つ1つの方法です。特別な才能や、一度の大成功から生まれるものではありません。学習をやめず、挑戦を恐れず、日々少しずつ前に進んでいくことが大切なんだと思います。

私達キャディは、大胆な挑戦をする人、卓越するために学習を怠らない人を称賛する文化を大切にしています。気になった方、ぜひ一度カジュアル面談しましょう。ご連絡お待ちしています。


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