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「師走の精進料理」 2024年12月
いよいよ師走。本当にあっという間の1年でした。今年は元日から大きな地震があったりで落ち着かないスタートとなりましたが、いつなにが起こるかわからないからこそ、日々の生活を丁寧に大事に生きていくって大切だなと思った1年でした。ま、がさつな私ですので、思うだけでなかなか実践はできておりませんがー。
さて、毎年師走には師走らしい料理や食材を使っていますので、なんだか似たような料理になってしまいますが、行事食も大切にしていきたいと思い、10年前くらいにやった料理も今月は復習しました。
主食は…年越し蕎麦として作っていただきたい大根蕎麦。これは佐野で食べておいしかったので、真似してみました。寒い日でしたので、熱もりにして、つけ汁もあつあつで食べていただきました。お蕎麦のかさましから始まったらしいのですが、今時分の大根は甘くてとてもおいしいし、食感違いも楽しめていいですよ。本返しの作り方も載せています。本返しは、多めに作って冷蔵庫で保存しておけば、いつもお蕎麦屋さんの味がご家庭で楽しめます。
主菜は“ん(運)”のつく野菜で…蓮根団子の煮込みを作りました。蓮根はよく洗ったら皮ごと適当な大きさに切ってから袋に入れてたたくか、大きいまま鬼おろしでおろしてください。サクサクな味わい、楽しめるかと思います。また煮る前に焼くことによって荷崩れを防ぎ、焼いた風味で料理にコクが出ます。トッピングは隠元にしましたが、三つ葉や絹さや、旬を意識するなら芹などを散らしていただければと思います。
副菜1は、いとこ煮。これも“ん(運)”のつく野菜「南瓜」で。いとこ煮は、小豆と南瓜をはじめ蓮根などの野菜を煮る料理ですが、通常は固いもの…つまり小豆を煮てからその汁にさらに野菜を足して「おいおい煮る」ことから「甥甥」にかけ、“いとこ煮”となりました。今回は煮汁が濁るので、小豆を煮た汁では煮ませんでしたが、「銘々」煮て合わせるのは「姪姪」にかけてこれも“いとこ煮”。今回は姪姪のいとこ煮にしました。この“甥甥”“姪姪”説以外にも諸説ありますが、小豆は邪気を払う食品として古くから使われていましたので、ぜひお好きな野菜と煮て召し上がってください。
副菜2は、蒟蒻の阿蘭陀煮でした。阿蘭陀煮とは、油で揚げたり焼いたりしたあと、煮つける料理で、唐辛子をあしらうことが多いです。また蒟蒻は、体の砂おろしといわれ、老廃物を取り除く効果があるとされており、冬至に食べる地域もあります。
1. 大根蕎麦
2.蓮根団子の煮込み
3.南瓜のいとこ煮
4.蒟蒻の阿蘭陀煮 揚げ慈姑添え
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1.大根蕎麦
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材料:蕎麦(乾)400g、大根1/2本(500g)
そばつゆ:出汁600CC、醤油150CC・みりん各50CC、砂糖大1・1/2
スプラウト1パック、海苔1枚
1)大根は4cm長さの千切りにする。
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2)蕎麦は規定通り茹で、最後の2分で1)を加えて、冷たい水でさらし、皿に盛り、もみ海苔と貝割菜を添える。熱もりにする場合は水にさらさず、そのまま盛り付けてください。
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3)そばつゆを作る。出汁を温め調味料を入れて再沸騰させ、温かいうちに2)をつけつつ食べる。今回は本返しを作らずにそのまま、汁に調味料を入れて即席で作りました。
※そばつゆの本来の作り方
味醂1:砂糖0.5、醤油3の割合
1)みりんを強火にかけ、煮切る。
2)1に砂糖を入れてしっかり溶かし、醤油を加え沸かす。
3)あくが出てくるので丁寧にすくい、火を止める。
※3日程度置いてから使用可。
盛蕎麦は、本返し1:出汁3,掛け蕎麦は本返し1:出汁8
2.蓮根団子の煮込み
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材料:蓮根400g、大豆ミート(戻して)150g、大和芋大3~4、塩・胡椒少々、片栗粉大1~2
油適宜、白菜200g、生姜10g、干し椎茸4枚、隠元4本
煮汁:酒大2,醤油大2,出汁400CC,砂糖大1,塩小1/3、水とき片栗粉(片栗粉大1,水大2)
1)戻した大豆ミートとおろし大和芋、片栗粉をまぜ、塩胡椒したところに、鬼おろしでおろすか袋に入れてたたいた蓮根をくわえ、油を敷いたフライパンに丸めて落としながら、両面を焼く。
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2)白菜は3cmの短冊、干し椎茸、生姜はスライスし、1)に加え、出汁を入れて沸騰してきたら、調味し、水溶き片栗粉でまとめる。
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3)盛り付けて、ゆでで1cmに切った隠元を散らす。
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3.南瓜のいとこ煮
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材料:カボチャ1/4個(400g)、小豆50CC、昆布出汁400CC、砂糖大4、醤油大1弱
1)小豆はたっぷりの水から茹で、色がついたら捨て、新たな水にしてまた煮るを2回し(渋きり)、柔らかくなるまで30~40分程度煮る。
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2)カボチャは食べやすい大きさに切って、皮を虎むきしておく。
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3)昆布出汁で2)を煮て、やわらかくなったところに1)を加え、調味し煮含める。
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4.蒟蒻の阿蘭陀煮 揚げ慈姑(くわい)添え
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材料:蒟蒻2枚、出汁200CC、ごま油適宜、醤油大3,味醂大1・1/2、七味唐辛子適宜
姫慈姑(ひめくわい)各2個、揚げ油適宜、塩少々
1)くわいは、洗ってお尻を座りがいいように少し切り、芽の部分を一皮むいてから斜めに数ミリカットして、150度の油でゆっくりあげて、塩を振っておく。
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2)蒟蒻はスプーンなどで食べやすい大きさにちぎり、熱湯でさっとゆがき、ざるにとっておく。
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3)鍋にごま油を敷き、2)を炒めて醤油を絡め、そのあと出汁を注いで煮汁がなくなるまで煮て、みりんを最後に加えて火を止め、軽く七味をふる。
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4)盛り付けてさらに少々七味を振り、手前に1)を置く。
12月のデザート
創作和菓子・空羽kuu 「クリスマスリース」
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レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 12月の献立より)