「 如月の精進料理」 2024年2月
2月の精進料理教室の日はバレンタインデーでしたが、日本の暦では“魚上氷(うおこおりをいづる)”時期で、寒さも少し和らいで、水面に張った氷が割れて氷下の魚が跳ね上がるころです。会場のたからの庭では、白梅、紅梅が例年より少し早く咲き始め、よい香りで迎えてくれました。
丁度山梨にワインの取材に行ってきたので、汁は具沢山のほうとうを作ってみました。ほうとうは、当て字ですと“宝刀”。諸説ありますが、信玄公が自らの刀で食材を切ったことから名づけられたといわれています。甲斐の鬼は割とマメだったのだなと。少なくても推奨したことは間違いないようで、現在でも山梨県民の生活に浸透している素晴らしい郷土料理だなと思います。お味噌も甲州味噌で作りました。この味噌は米麹と麦麹の両方を使うかなり珍しいタイプの味噌です。ごはんもあるので、麺の量は少な目にしました。
“春の皿には苦みを盛れ”ともいわれます。今月は、新じゃがの皮の微かなえぐみや、蕗の薹味噌の苦みでデトックス効果狙ってみました。
また、“乾物を上手に扱えるようにする”というのも、この教室の通年のテーマになっていまして、今回は干しぜんまいを使った白和えを作ってみました。干しぜんまいは戻しが非常に難しく、品質もかなり差が激しいので、しっかりしたものをまず購入してくださいね。今は作る方も減り、びっくりするほど高価ですが、手間を思えば納得ですね。道の駅などでみつけたら、ぜひレシピを参考に作ってみてください。
ちょっとさっぱりした歯ごたえのあるものも、献立として大切です。切り干し大根と切り干し人参も山梨で買ってきまして、切昆布で酢の物にしました。
皆様の、日々のご飯のお役に立てますように。
1.五穀飯、2.ほうとう汁、3.切干大根の即席松前漬け、4.新じゃがのコロッケ 蕗の薹味噌添え、5.干しぜんまいの白和え
1.五穀飯
材料:米700CC、雑穀ミックス30g、水900CC,塩小1弱
1) 米は洗ってざるに上げておく。
2)1)に雑穀を加えて調味・浸水し、20分はおいてから炊飯する。
3)10分おいて天地返しをして盛り付ける。
2.ほうとう汁
材料:出汁1200CC(椎茸戻し汁含む)、白菜1枚、人参50g、南瓜150g、干し椎茸3枚、なめこ1/2袋、油揚げ1枚、饂飩@30g、甲州味噌70g、みりん大1
1)白菜は長さ3cmのざく切、人参は3㎜厚さ3cm長さの短冊、南瓜は7mm厚さ3cm長さ、干し椎茸はスライス、なめこは短いものはそのまま、長ければ1/2に、油揚げは3cmの長さ1cm幅に切る。
2)出汁に人参、油揚げを入れて火にかけ、沸騰したらアクをとり、ほかの材料も加え、5分程度煮て、味噌を加える。
3)饂飩を固めにゆでて、2に加え、盛り付ける。直接2)の鍋に入れて煮込んでもよい。
3.切干大根の即席松前漬け
材料:切干大根50g、切干人参15g、切昆布10g、唐辛子1/2本
漬け地:醤油大1,淡口大1・1/2、みりん・酢各大2
1)切干大根と切干人参はさっと洗い、水に10分くらい漬けてから軽く絞って食べやすい長さに切っておく。
2)切昆布は水に漬けてふやかしておく(戻し汁が残ったら出汁として別の料理に使用)。
3)漬け地を作り、1)2)と、湯で戻し種を取り除いて小口切りした唐辛子を漬け、数時間は置いてから食べる。
4.新じゃがのコロッケ 蕗の薹味噌添え
材料:新ジャガ500g、塩・胡椒少々、昆布出汁大1~2(硬さ調整用)小麦粉・水適宜、パン粉適宜、揚げ油適宜 梅麩各1cm、塩少々
蕗味噌:蕗の薹(小)4~5個、重曹少々、白味噌100g、砂糖大1、酒大2,油少々
1)新じゃがは茹でで皮ごとつぶし、出汁で硬さを調整して塩胡椒をして、丸めておく。
2)蕗の薹味噌を作る。蕗の薹は湯に重曹を入れて1分ゆで、水にさらししばらく置いてから軽く絞り、粗みじんに切っておく。鍋に油を敷き、ゆでた蕗の薹を軽く炒め、味噌、砂糖、酒と調味し、ふつふつ言ったら火を止める。
3)梅麩は1cmに切り、150度程度で素揚げしてすぐ塩をふっておく。
4)小麦粉を水で溶き、1)をくぐらせてからパン粉をまぶし、160~170度で揚げる。
5)蕗の薹味噌を器に敷いて、コロッケを乗せ、梅麩をそえる。
5.干しぜんまいの白和え
材料:干しぜんまい50g、人参20g、春菊1/4わ、絹ごし豆腐1/2丁強(200g)、塩少々、すりごま適宜
煮汁:出汁200CC,砂糖大1,醤油大1・1/2
1)ぜんまいはたっぷりの水で2,3時間戻してから、水を変えて火にかけ、沸騰直前になったら火を止め、そのまま冷めるまで置いて、また水を変えて再度ゆで、そのまま一晩おく。
2)人参は2cm長さの千切りして1)とともに煮汁でさっと煮て冷ましておく。
3)春菊はゆでて水にとり、絞って2cm長さに切っておく。軸は太さを1/2にしておく。
4)豆腐は軽くペーパーで水分を拭いて、塩で調味し、2)と3)を和え混ぜる。水分が多い場合はすりごまに吸わせる。
2月のデザート
創作和菓子・空羽kuu 「ときめき」
レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 2月の献立より)
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