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地球建築家 vol.2 ジェフェリー・バワ
設計する空間を解像度高く想像する
建築家に求められる能力の一つであるが、100%想像することが出来た建築家は歴史を見てもいないと私は考えている。
しかし、100%までとは言わないまでも、その大部分を想像できた建築家なら、数える程であるがいたのではないかと思う。
その一人がスリランカの建築家「ジェフェリー・バワ」である。私は彼の建築が大好きだ。
その空間を観るとバワの身体性が見事に表出しているのが分かる。
バワは全てを「溶け合わせよう」としたのではないか。そして、その「溶け合わせよう」という力は現在も彼の建築に作用し、進行している。
平面配置図を観るとその思いがひしひしと伝わってくる。その視野は敷地など遥かに超えて、広範囲に広がっていく。足元のスリランカの熱帯雨林気候の大地をしっかりと見つつも、地球全体の遥か彼方を見通している。
その造形センスはもちろん最上級である。
素材は木、石、漆喰の自然素材を主に用い、古典的な曲線と近代的な直線が見事に溶け合っている。そして光の粒子と溶け合い、渾然一体となり、芳醇な抽象物へと昇華している。
バワは世界大戦の時代、1919年にヨーロッパとアジアの交差する国であるスリランカに歴史の落とし子として産まれた。同性愛者でもあった。
バワについての書籍や資料が少なく、私の勝手な想像になってしまうが、彼は自分のルーツにかなり悩んでいたのではないか。それを乗り越え、受け入れ、力に変えていくことで、他には全くないバワ独自の建築を生み出すことが出来たのではないか。
いや、そんなのはよくある話からの類推でしかないのかも知れない。
本当はただ楽しく、自分のルーツを愛し、自分の人生を愛し、自分にしか出来ない建築をつくっていたのかも知れない。
彼の建築は誠に自由であり、透明度が高い光で満たされている。ベートーベンの音楽のように苦しみの上に生み出された印象は全く受けない。
これからはやりたいことを思いっきりやる時代である。近年、バワが注目されているのは、やはり彼はただ楽しく建築をつくっていたからではないだろうかと思う。
私ももっともっと楽しく建築をつくって行きたいと思う。