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地球建築家10-1 アルネ・ヤコブセン

喜びに満ちあふれた建築たち

アルネ・ヤコブセンは日本では家具作家として有名である。

誰でも一度は見たことがあるであろう「セブンチェア」の作者である。その他にも名作家具を数多く残している。

しかし、彼は建築作品も数多く残している。

建築も家具も分けることなく、建築の内外の環境を構成するあらゆる要素を総合的にデザインした。

ヤコブセンの頭の中には「領域」が存在しない。

建築、家具、照明、雑貨、ランドスケープまで、生活を彩るありとあらゆる要素をデザインした「生活の総合プロデューサー」であった。

しかも、このプロデューサーの仕事は、ため息が出るほど美しく、丁寧で、可愛らしく、センス抜群で、遊び心に溢れている。

今の時代にも遜色なく、それどころか、時間を経るごとにどんどん新しくなっているようにも感じる。

ヤコブセンの建築は大きな家具のようだ。いったいこいつはどんなヤツなんだろうと、思わず触ってたしかめたくなる。

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(写真は「ヤコブセンの建築とデザイン/TOTO出版」から引用)

そして建築とは思えない精度なのである。建築の寸法がミリメートル単位なのに比べて、家具の寸法はミリメートルをさらに刻んでいく精度である。

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(写真はネットより引用)

建築家、芸術家、音楽家など、創造することを生業とする人間は大きく二種類に分けることができると思う。

楽しんで創造する者と、苦しみながら創造する者である。

例えば芸術家でいうと、ピカソは前者であっただろうし、ゴッホは後者であっただろう。

前者は生きている間に評価されるのに対して、後者は生きている時には評価されないことが多い。実際ゴッホの絵は、彼が死んだ後に評価されるようになった。

ヤコブセンは当然前者であると思う。

ヤコブセンは使う人にとにかく楽しんでほしい、感動してほしいと願い、喜びに満ちあふれてデザインをしたに違いない。

その喜びの波動が彼の創作物には満ち満ちている。

そして、それは長い時間を経た今も、決して古びることなどなく、人々に伝搬し続け、新たなる感動を与えている。






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