建築家がお札にのるということ
地球建築家 11-2 アルヴァ・アールト
アルヴァ・アールトは、フィンランドのお札にのったほどの人物である。
これはもちろんアルヴァ・アールトが偉大な建築家で、建築だけにとどまらず家具や日用品においても数々の魅力的な作品を生み出し、社会に大いに貢献したからである。
しかし、フィンランドで「建築家」という職業が、それほどまでの地位を築いているのは、アールトの偉大さに付け加えて「国の文化や価値観」によるところがとても大きい。
フィンランドを含め、スウェーデン、ノルウェー、デンマークなどの北欧圏諸国では、建築に対する価値観のウエイトがとても大きい。
例えば、フィンランドでは義務教育に建築が取り入れられている。
ほとんどの人が生涯で最もお金を使うのはやはり住宅である。
フィンランドは極寒の地で、資源や人口が乏しく、決して裕福な国ではなかった。そこでいかに効率よくお金を使うかということを、様々な分野で考えてきた。
その一つが、義務教育の中での建築であった。
きっと、国は生涯で最もお金を使うことについてしっかりとした知識を身につけさせようと考えたのであろう。建築は衣食住というとても身近ではあるが、人間の形成に深く関わっている分野である。
その重要性を理解した上での、フィンランドという国家の英断に頭が下がる。
このように、義務教育にしっかりと建築が取り入れられていることで、フィンランドの街は整然とし、美しく、無駄なものが全くない。
それに、街に電柱や電線が見当たらない。地中に埋めているからである。
(フィンランドの街並み ネットより引用)
それに比べて、日本の風景は悲惨である。
(ネットより引用)
日本でも、さすがに大都市の大通りなどは、電線の地中埋設が進んでいるが、一歩路地に入ると電柱と電線のカオスとなっている。
それによって電力を享受しているからしょうがないと言えばそれまでだが、職業柄それで引き下がる訳にもいかない。日本は、どれだけ長い時間がかかろうとも、電線の地中埋設をするめるべきである。その前にエネルギーシフトが起こるかもしれないが。
しかし、エネルギーシフトが起こっても起こらなくても、その国の価値観が変わらない限りは、何も変わりはしない。
重要なのは、国民一人一人の意識である。
日本もフィンランドを見習い、国を挙げてもっと建築に重きを置いていくべきである。