手引書:中高生のための動画作成
中高生の外向け発信で1分以内の短い動画を作成する時の手引書。
中学校・高等学校で、動画を作成して外部発信する取り組みが増えてきた。そこで、中学生や高校生のための動画作成の注意点および考えるべきポイントをまとめる。
>まず初めに中高生の皆さんへ
身内向けの内容は厳禁!
自分たちだけが楽しむ動画(身内ネタで盛り上がる内容)や、思い出を振り返るメモリー動画は、外向けには適していません。これらは視聴者にとって意味がなく、内容の面白さや価値が疑問視されることになります。たとえ内容が素晴らしくても、自己満足に陥ると視聴者は興味を失ってしまいます。
視聴者第一を意識!
動画を作成する際は、視聴者が何を楽しむか、どのような情報を求めているかを第一に考えましょう。自分たちが楽しむのは大切ですが、その楽しさが視聴者にも伝わる内容でなければ、効果的な発信にはなりません。
外向け発信の動画の主人公は、君たちではなく、視聴者です!
作成する内容が大体決まったら、次の10個の質問をチェック!
マストの5つ
ターゲット: 誰に見てほしい?視聴者が楽しめる内容になっている?
タイトル: 内容が伝わる?クリックしたくなるタイトル?
オープニング: 最初の1秒で興味を引いている?続きを見たくなる?
ビジュアル: 目を引くデザインになっている?見やすい工夫は?
テンポ: 動画の進行が適切?飽きずに見てもらえる?
さらに視聴を伸ばす5つ
テキスト: 短くて分かりやすい?一瞬で理解できる内容?
ストーリー: 流れがある?視聴者が一緒に体験したくなる?
品質: 映像や音が快適?視聴者にストレスを与えない?
エンディング: 行動を促すメッセージがある?次につなげられている?
問いかけ: コメントしたくなる問いかけがある?視聴者が関わりたくなる?
以下、事例と理由をともに説明。
マストの5つ 🎬
①ターゲットを明確に!
考える質問: 「この動画は誰に見てほしい?視聴者が楽しめる内容になっているかな?」
例: 旅行好きの人向けに「日本の絶景スポットをめぐる旅!」といった内容にし、観光スポットの魅力が伝わるように構成します。
重要ポイント: 見せたい相手を絞らないと、中途半端な内容になり、どっちつかずになる。
②インパクトのあるタイトルを!
考える質問: 「タイトルを見ただけで内容が伝わる?このタイトルでクリックしたくなるかな?」
例: 「絶対行きたい!日本の観光地ベスト5」といったタイトルなら、視聴者の興味を引く可能性が高まります。
重要ポイント: 魅力的なタイトルがないと、視聴者の興味を引けず、クリックされない可能性が高い。
③最初の数秒が勝負!
考える質問: 「最初の1秒で興味を引けている?視聴者が続きを見たくなる内容かな?」
例: 富士山の壮大な景色や紅葉の美しさを一瞬で見せると、視聴者の興味が引きつけられます。動きのあるものの方が、興味を引きやすい。
重要ポイント: 最初の数秒でインパクトがないと、視聴者はすぐに離れてしまう。最初の1秒は特に重要。
④目に留まるビジュアルを工夫!
考える質問: 「ビジュアルが目を引くものになっている?色やデザインが見やすい工夫ができているかな?」
例: 「京都の紅葉」や「沖縄の青い海」などの美しい景観を活かして、観光地の魅力が映えるようにします。
重要ポイント: 魅力的なビジュアルがなければ、視聴者は興味を持たず、動画を途中で離れることが多い。
⑤テンポよく進める工夫!
考える質問: 「動画のテンポがちょうどいい?途中で飽きずに最後まで見てもらえる内容かな?」
例: 「名所紹介→アクセス→おすすめ」と2~3秒ずつ流し、視聴者が飽きずに観やすい内容にします。
重要ポイント: テンポが悪いと、視聴者の興味が失われ、動画が長く感じられることがあります。
さらに視聴を伸ばす5つ 🔍
⑥簡潔でわかりやすいテキストを使う
考える質問: 「テキストが短くて分かりやすい?視聴者が一瞬で内容を理解できるかな?」
例: 「東京タワーの絶景」「奈良で鹿に出会う!」などの短いテキストで、内容が即座に理解できるようにします。
重要ポイント: テキストが長すぎると、視聴者が読む気を失い、内容を理解できなくなります。
⑦ストーリー性を取り入れる
考える質問: 「ストーリーの流れがある?視聴者が一緒に体験したくなるような内容かな?」
例: 「東京→京都→沖縄」と巡る構成にし、視聴者も日本を旅行しているような気分を味わえるようにします。
重要ポイント: ストーリーがないと、視聴者は興味を失い、感情的なつながりを感じられなくなる。
⑧明るさや音質に気を配る
考える質問: 「映像は暗すぎたり、音が聞き取りにくくない?視聴者に快適に観てもらえるかな?」
例: 晴れた日や静かな場所で撮影することで、観光地の美しさや雰囲気が引き立ちます。
重要ポイント: 映像や音質が悪いと、視聴者は不快感を抱き、動画を最後まで見ようとしなくなる。
⑨終わりも印象的に!
考える質問: 「最後に視聴者が何かしたくなるメッセージがある?次の行動につなげられているかな?」
例: 「お気に入りの観光地はどこ?」などと呼びかけ、視聴者が次の旅行を計画したくなるようにします。
重要ポイント: 終わりに行動を促すメッセージがなければ、視聴者は動画を見たことを忘れてしまう。
⑩視聴者へ問いかけを
考える質問: 「視聴者がコメントしたくなる問いかけがある?どうすれば視聴者が関わりたくなるだろう?」
例: 「あなたが次に行きたい観光地は?」と問いかけることで、視聴者の関心を引き、コメントを促します。
重要ポイント: 問いかけがないと、視聴者との対話が生まれず、興味を失いやすくなる。
最後に
中学校・高等学校に1人1台の個人端末環境が整ってから、今で5年目。動画作成の指導は、その当時から始めているが、年ごとに中高生が「できる」範囲が広がっている。
昔ながら動画を作成して終わりだったら、今では外部発信まで考える。外部発信を考えるとということは、もちろんビジネス視点(アントレプレナーやアントレプレナーシップ)の活動までつながる。
ただ、一番最初の記述通り、学校の活動で発信する内容が、身内だけが楽しみような活動になってはならない。視聴者やターゲットを考えて作っていくことが必要なわけである。そこの視点も中学生や高校生のうちに身に着けておきたいスキルには、きっと間違いないと思う。