感想 - 宅録ぼっちのおれが、あの天才美少女のゴーストライターになるなんて。
2巻読了しました。
話の流れ的にはこれで完結…なのかな?続刊があるなら嬉しいけど展開がどうなるか。
まずは率直に、すごく好きなラブコメでした。
①全体的な感想
自分の好きなラブコメの条件として、「登場人物がスカッと生きていること」というのがあります。
「なんでもっとスカッと生きねえのかな」というのはかの有名なアカギのセリフですが、マンガ・アニメ・エロゲ・ギャルゲでもなんでも創作では特に登場人物がそうあってほしいと思ってしまうタイプです。
迷うのも悩むのもいいし誰かに助けてもらうのもいい、だけどその上できちんと軸を持って自分で決断する。その結果の喜びも後悔も自分のモノとして飲み下す。そんな生き方が好きなんですね。
そういう意味で宅録ぼっちのキャラクター達はしっかり自分の憧れたもののために懸命になっていたのがすごく好きでした。
そういう意味での冒頭の「好きなラブコメ」という感想です。
また、全体的な文章構成について。
起承転結がスッキリとしていて、非常に読みやすかったです。
多分2巻合わせて読み切るのに4時間かかってないんじゃないかな。
これは内容が薄いという意味ではなく、無駄なく必要な情報は残しつつ「先を読みたい」という欲求をくすぐられてという意味合いと取っていただければ。
WEB版から相当削ったというようなことを巻末コメントに書かれてましたが、個人的には過不足なしです。
2巻の展開として恋のライバル登場みたいな書かれ方をしててちょっと不安だったんですが、スッと爽やかに退場となったのが個人的にはとても好印象。
というのも、ラブコメにおけるいわゆる当て馬的なポジションのキャラが変に目立つのが好みじゃないんですよね。まあ完全に好みでしかないんですけど。
そして1巻にしても2巻にしても、ライブパートでの「今書きたいこと書いてる!!」って作者の熱がガンガン伝わってくるのが個人的にはすごく好みでした。
歌詞と各キャラクターの心理描写が折り重なっていく感覚が気持ちよく、YouTubeにある歌を聞きながらだとなおのこと没入できて新鮮な体験ができました。「キョウソウ」と「あなたのうた」も待ってます。
②各メインキャラクターについての所感
・市川天音
正統派に可愛くて、メインヒロインらしい軌道でしっかりフィニッシュしたな、というのが第一。メインヒロインが性癖な私としても満足です。
だけど決して無味無臭な品行方正なヒロインではなく英里奈が「わがまま」と評したようにそこかしこに我の強い部分が垣間見えていて、個性がきちんと出ていたのが好印象でした。
CV前田佳織里さんという贔屓目を抜きにしても、非常に魅力的だったと思います。
・波須沙子
幼馴染は負けヒロイン…になってしまったなあ。花火大会の描写と英里奈の前で涙するシーンは読んでいて苦しかったです。
個人的に、人間としては沙子が1番好きかもしれないです。
素直になれなくて、嫉妬して、それ故に罪も犯してしまった。でも最終的に2人の背中をガツンと押したのはすごくカッコよかった。
なんとか幸せになってほしいし、なんなら今後も拓人のことを虎視眈々と狙っていて欲しいなと思います。
・吾妻由莉
「イイ女」。これに尽きます。
多分メンバーの中で1番大人で、自分の心理も他人の心理も1番よく分かっていた子でした。
だからこそ恋愛に関しては結果として誰よりも報われない形になってしまった部分はありますが、それも含めてカッコよかった。
拓人への影響という意味では由莉が1番大きかったんじゃないでしょうかね。言葉にしろ行動にしろ。
文化祭での器楽部の演奏シーンは非常にグッと来ました。カフェで泣きそうだった。
・黄海英里奈
「イイ女」パート2。
サブヒロインですが、いい存在感を放っていました。
初登場時はこの類のキャラクターにありがちな嫌な女なのかなーと思ってたんですが真逆でしたね。
自分の目標も諦めないし、その姿と言葉で周りの背中をグイグイ押していく。誠にイイ女でした。
結局間くんもオトせそうな感じになってたし大したもんです。
・小沼拓人
そして主人公。
個人的にラブコメにおいてはヒロインより誰より主人公が1番大事だと思っています。
そういう意味では、とても好みの主人公でした。
鈍感系で、ウジウジもすればフラフラもするけど人からの言葉を素直に受け取れる度量と頭の良さ、そしていざという時の能力と行動力はきちんとある。魅力的な主人公だったと思います。
主人公においてはこの「頭の良さ」がすごく大事だと思っています。
言われたことをすぐに咀嚼して行動に変えられるし、鈍感ながら大事なところでの受け取り方を間違えたりはしないあたりが読んでいてとても気持ちのいい主人公でした。
③さいごに
さて、作者様の巻末コメントにて「ヒロインは誰派か教えてほしい」とありました。
それぞれに魅力的で非常に難しいところですが、単純にキャラクターとしてなら沙子が好きです。人間臭いところがいい。
でも本当にみんな魅力的で、ゲームだったらそれぞれのルートをプレイしたかったなあと思います。沙子や由莉も幸せになってくれ…。フルボイスでノベルゲーとかになりません??
いやはや、気づけば2000字超えてましたね。
心を動かされるいい作品でした。作者様に心からの感謝を。
もし続刊が出るようなら是非読みたく思いますので、ご検討のほどよろしくお願いします。
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