事実と気持ち、両方に向き合うふりかえり手法「Good/Bad/Fact/Emotion」
みなさんは、チームのふりかえりをどんな手法でやっていますか?
KPT や YWT、Fun/Done/Learn あたりが定番でしょうか。今回は、自分が現在所属しているチームにおけるふりかえり手法(フレームワーク)の遍歴と、その末に辿り着いた「Good/Bad/Fact/Emotion」について紹介します。
Good/Bad/Fact/Emotion
現在、我々のチームは Good/Bad/Fact/Emotion というふりかえり手法を採用しています(Good/Bad/Fact/Feel と呼ばれることもあるかもしれません) 。
Good/Bad/Fact/Emotion では、横軸を「Bad ⇔ Good」縦軸を「Emotion ⇔ Fact」とする二軸のマトリクスを用意し、イテレーション(スプリント)中のできごとや気付き、気持ちなどを書いた付箋をチームメンバーが自由に書き出していく、というふりかえり手法です。
導入当時は、以下の2つの記事を参考にしました。
ふりかえりの進め方
うちのチームでは以下のような時間配分で1時間のふりかえりを行っています。
各々が自由に付箋を書き、好きな場所に貼る。(10分)
気になる付箋に投票する。(1人3票・3分)
右下(Good/Emotion)の象限から時計回りに投票された付箋を拾い上げ、それについて深掘りしていく。(40分前後)
ふりかえりの対話を踏まえて、次のイテレーション(スプリント)で取り組むべきアクションの案を各自で書き出す。(5分)
提示されたアクションの中から、取り組むべきアクションを1つ投票によって決定し、クロージング。
オススメポイント
この手法の個人的なオススメポイントは以下の通りです。
事実のみや気付きのみを書くのではなく、それらすべてを書き出そう、ということが明示されているため、様々な観点での話題が出る。
Good/Bad、Fact/Emotion が二軸のマトリクスで表現されるためグラデーションが生まれ、微妙なニュアンスが表現しやすい。
グラデーションはあるものの「事実」と「意見」が区別される他、エモーショナルな表明が気軽にできることから心理的安全性の高い場を作りやすい。
各イテレーション(スプリント)のふりかえりボードを俯瞰するとなんとなくそれぞれの傾向(Good と Bad、Fact と Emotion のどの辺りに偏っているか)が見えてきて眺めてるだけでも楽しい。
みなさんも是非試してみてください。
チームのふりかえり遍歴
我々が Good/Bad/Fact/Emotion に辿り着くまでに行ってきたふりかえり手法についてもご紹介します。
GKPT
ふりかえり手法として一般的な KPT(Keep/Problem/Try)に Good を足したものです。KPT における Keep は「続けるべきこと」とされますが、もう少しゆるく「よかったと思うこと」として Good を挙げてもらい、その中から「続けるべきこと」として Keep に拾い上げていく、というものです。
この手法のよいところは、Keep の一段手前に Good があることで、より気軽に「よかったこと」や「チームメンバーへの賞賛・感謝」などにふりかえりの場で触れられることでしょうか。
しかし、しばらくするとふりかえりの場が停滞しはじめ、なかなか有効なネクストアクションが見つけられない、という状況に陥りました。原因がハッキリしていた訳ではないのですが、試しにふりかえり手法を変えてみよう、ということになり、我々は新たなふりかえり手法を模索することとなったのです。
Win/Learn/Try
次に試してみたふりかえり手法は Win/Learn/Try です。これはメルカリさんのブログで紹介されていた手法で、その前向きな表現を気に入った自分がチームに提案し、試してみたものです。
詳しくは上記のブログ記事をご覧いただければと思いますが、簡単に説明すると、以下のようなふりかえり手法です。
スプリント中のできごとを Win(達成したこと)と Learn(気付いたこと・学び)に分けて挙げていく。
Win や Learn から課題を見つけ出し、チームとして取り組むべきアクションを Try として各自が挙げていく。
Try の中から次のイテレーションで実施するアクションを選ぶ。
詳細は割愛しますが、結果として我々はこの手法を4回限りで卒業しました。その理由は「Win がしっくりこず、何を書いていいかわからない」というものでした。当時のチームの雰囲気やプロダクトの状況に、フレームワークが適していなかったんだと思います。
フリースタイル
Win/Learn/Try がうまくハマらなかったと感じ、次はどうしよう?と悩んでいたところ、その頃お世話になっていたアジャイルコーチの方から「フレームワークを使わず、フリーテーマで自由に付箋を書いてみる」という手法を提案され、それを試してみることにしました。
現状、一番長い間採用したふりかえり手法です。その名の通り、特に書くべきことのテーマや属性に縛りを設けず、気付いたことや感じたことを自由に付箋に書き出し、そこから投票で選んだ付箋について深掘りをする。最後にその対話の中から課題を見つけ出し、次に行うべきアクションを決定する、というものです。
おそらく1年以上、この手法でふりかえりを続けていたのですが、メンバーの入れ替わりなどを経て、GKPT で手詰まりを感じていたときのように、停滞感を感じるようになりました。そこで現在の「Good/Bad/Fact/Emotion」を導入し、現在に至ります。
まとめ
ふりかえりはアジャイルプラクティスの中でも特に重要で、大切な活動です。ただ、業務に限らず様々な場所で、色々な人と、いくつかのふりかえりフレームワークに触れてみて感じることは、あらゆるチーム・状況に向けた最強のフレームワークなんてない、ということです。
チームの雰囲気や、業務のステージ、置かれている状況などに合わせて、色々なふりかえり手法を試してみることをオススメします。
さいごに
この記事は「組織を芯からアジャイルにする」をテーマに活動するコミュニティ「シン・アジャイル」が運営する note マガジン「【ほぼ月刊】シンアジャマガジン Vol.6」に向けて執筆しています。Vol.6 のテーマは「うちのチームのふりかえり」ということで、現在行っているふりかえり手法について紹介させていただきました。
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