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パニック障害と上手く付き合う~職場での対処戦略~

パニック障害は、予期せぬ恐怖や不安の発作を特徴とする精神疾患です。

芸能人の方のカミングアウトにより、メディアで取り上げられる機会も増えたため、その名を耳にしたことがある方も増えたのではないでしょうか。

そして今まさに、この記事を読んでいるあなたも、パニック障害にお悩みかもしれませんね。

つらく苦しいことと思います。


さて、このパニック障害ですが、その予期せぬ恐怖や不安の発作により、職場環境では、仕事のパフォーマンスに影響を与えたり、時に人間関係を難しくしてしまうことがあります。

そこで本記事では、パニック障害を抱えながらも、少しでも充実した職業生活を送れるようになるよう、少しばかり具体的な対処戦略をお届けしたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いください。




パニック障害の認知モデル


パニック障害の認知モデルでは、身体感覚の誤った解釈が中心的な役割を果たします。

このモデルによると、パニック発作は、以下のサイクルで発生します。


①トリガーイベント(内的または外的刺激)
②身体感覚の知覚(例:心拍数の上昇)
③感覚の破局的解釈(例:心臓発作が起きている)
④不安の増大
⑤さらなる身体症状の出現
⑥パニック発作


このサイクルを理解することは、効果的な介入ポイントを特定するのに役立ちます。


具体的対処戦略


①認知再構成法

認知の偏りを特定し、より適応的な思考パターンに置き換える技法です。

【実践方法】
・自動思考記録表を使用し、パニック発作時の思考を記録する
・思考の妥当性を検討する質問を自分に投げかける
例:「この考えを支持する証拠は何か?」「別の解釈は可能か?」
・より現実的で適応的な代替思考を生成する


↓ 自動思考記録表はこちら ↓


【職場での応用】
・会議前の不安
例:「失敗して解雇される」→「過去にも上手く乗り越えてきた。最善を尽くせば大丈夫」
・デッドライン前のストレス
例:「間に合わない。全てが台無しだ」→「計画を立て直せば大丈夫。必要なら支援を求めよう」


②曝露療法

パニック症状や不安を引き起こす状況に段階的に向き合い、不安反応を弱めていく技法です。

【実践方法】
・不安階層表を作成し、最も不安が低い状況から徐々に挑戦する
・各曝露セッションで、不安レベルを0-100のSUD(主観的不安尺度)でモニタリングする
・十分に不安が下がるまで、各状況に留まる(30-60分程度)


↓ 不安階層表はこちら ↓


【職場での応用】
・オフィスの静かな場所で深呼吸(SUD:20)
・短時間の会議に参加(SUD:40)
・プレゼンの準備(SUD:60)
・重要な会議でのスピーチ(SUD:80)


③マインドフルネスと受容

思考や感情を判断せずに観察し、受け入れる技法です。

【実践方法】
・日常的なマインドフルネスの練習
例:5分間呼吸に集中する
・パニック症状出現時の「波乗り」技法
→症状を波に例え、抵抗せずに通り過ぎるのを観察する

【職場での応用】
・昼休みに5分間呼吸に集中する時間を設ける
・仕事中にストレスを感じたら、「今、ここ」に意識を向ける
例:机の感触、椅子の硬さなどに意識を向ける


④行動実験

恐れている結果が、本当に起こるかどうかを実際に検証する技法です。

【実践方法】
・予測(何が起こると思うか)を明確にする
・実験計画を立て、結果を記録する
・予測と実際の結果を比較し、新たな学びを得る

【職場での応用】
・予測
「会議中にパニック発作を起こしたら、皆に気づかれて恥ずかしい思いをする」
・実験
実際に会議に参加し、症状が出た場合の周囲の反応を観察する
・検証結果
多くの場合、他者は気付かないか、思ったほど反応しないことを学ぶ


⑤呼吸再訓練

過呼吸を防ぎ、適切な呼吸パターンを身に付ける技法です。

【実践方法】
・横隔膜呼吸法
→腹部を使ってゆっくりと深く呼吸する
・4-7-8テクニック
→4秒間吸い込み、7秒間息を止め、8秒間かけて吐き出す

【職場での応用】
・デスクでの短時間の呼吸エクササイズ(1日3回5分程度)
・ストレスフルな会話や電話の前後での呼吸法実践


⑥安全行動の段階的削減

パニック症状を和らげるために行っている行動(安全行動)を特定し、徐々に減らしていく技法です。

【実践方法】
・安全行動リストを作成する
例:常に退路を確保する、水を持ち歩く
・各行動の必要性を再評価し、段階的に減らす計画を立てる
・代替のコーピングスキルを習得する

【職場での応用】
・会議室の出口近くの席を選ぶ習慣を徐々に減らす
・常備薬への依存を減らし、代わりにリラクゼーション技法を使う


最後に

今回ご紹介した技法は、臨床的にも有効性が示されていますが、個々の状況に合わせてカスタマイズする必要があります。

習得には、時間も労力も必要です。

上手くいかないことも当然あるでしょう。

しかし、それも含めて回復のためのプロセスの一部だと理解すること。

それが大切です。

もちろん、しんどいですけどね・・・

なので、必要に応じて専門家や頼れる身近な人のサポートを受けてください。

1人より2人です。

痛みを少しでも分かち合いましょう。

あなたが少しでも充実した職業生活を送ることができるよう、心よりお祈りしています。



PS.
メンタル不調を改善し、心の健康を取り戻すための方法を下記の記事でもまとめています。

30日間毎日何をすれば良いかが分かります。

パニック障害にお悩みの方にも参考になる内容かと思います。

ただし、学ぶ意欲がある方にのみお勧めします。

少々難しい内容なのと、文字数も4万文字以上だったかな?

かなり多いです。

情報も必要最低限しか載せていません。
(文字数がこれ以上多くなるのを防ぐため)

それでも良いという方は、ぜひ読んでみてください。

学ぶ意欲がある方に読んでほしい、そして実践する覚悟を決めていただきたいので、有料の記事です。


↓ 記事を読む ↓


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