謙虚さについて
謙虚であることがなぜ大事なのかについて、私は勘違いしていた。謙虚であろうと思うとき、それによって他人から評価されたい、という考えが抜けきれていなかった。そもそも、どういうときに謙虚であろうと思ったか考えてみれば、謙虚な人が評価されているのを見聞きしたり、「謙虚な人は周りから評価される」という主旨の文章を自己啓発本か何かで読んだときだったりする。つまり、他人から高く評価されるために謙虚であるべきだ、という考え方。
他人から評価されることなんてどうでもいい、とは言わない。他人から評価されないことをするより、評価されることをした方がよい場合が多いのは確かだろう。でもそれはせいぜい目安に過ぎない。自らの行動指針として定めるにはいささか心許ない。一時的にちやほやされても、後で腐される人などいくらでもいる。
では、謙虚さの価値とは何か。
①継続的努力、②正しい情勢判断、③精神的安定、④他者との良好な関係構築、といったあたりだろうか。
①謙虚な人は驕り高ぶらない。だから、成功しても努力をやめない。最終的により遠くまで、より高みまで到達できる。
②謙虚な人は過信に基づく過度な楽観視をしない。結果として、正しい情勢判断につながる。
③謙虚な人は精神が安定している。うまくいかないことがあっても、落ち込んだりしない。自らの欠点を把握しており、それと常に向き合っているため、何か問題があっても、冷静に対処できる。
④謙虚な人は他者に対して傲慢な態度を取らない。したがって良好な人間関係を築くことができる。この点は、「他人から評価される」に近いが、似て非なるものであることに注意されたい。謙虚であることによって、相手から自然とよい反応が返ってくることが多く、それによって結果として良好な人間関係に繋がる、という意味であって、「あの人は謙虚だから素敵だ」と思われることとは別の話。
以上、「他人から評価されること」を除いた場合の謙虚さのメリットについて挙げてみた。こうして考えてみると、謙虚さ云々よりむしろ、「他人から評価されること」に囚われていることの方が本質的な問題なのかもしれないが、それはまた別の機会に考えてみようと思う。