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育児生活|村田智弘七段

 2018年8月第一子の男の子が誕生した。

 今までは、映画鑑賞やゲームなど気分転換として自分の時間はある程度取れていたが、生まれてから生活は一変し息子中心となった。棋士という職業柄、勉強や原稿を書くなど家にいる事が多く面倒を見る時間は多くなる。

 積極的に育児に関わっていこうとするなかで、最初はどう動いていくのかが非常に難しい。オムツ替えだけでもこんな感じかなでやっていて要所をおさえないと横から漏れて大変なことになっていた。まずはお手本をみせてもらって、自分のなかで理解して初めて動けるといった感じ。妻からみたら、頼りないと感じたに違いない。妻も慣れないなかで、精一杯やっているので、逐一聞いてもそんなに余裕もないわけで、結局自分で考えて動いて失敗するが続いた気がする。ある程度これはこうというような事が分かってからは失敗も少なくなり、子供の成長を楽しみにする余裕も出てきた。
 
 慣れてきてからも突発的なことにはかなり弱い。息子が突然嘔吐したときは頭が真っ白になってただただパニック。2回目でも気道確保くらいしか頭に残っておらず、それから動くのに頭で考えてしまってすぐに行動にうつす事が非常に遅かった。
そんな状況の中、妻はさっと行動出来て的確に動いていく。元看護師という事もありすぐに頼ってしまうのでこれからは自分でもある程度やれるようにしたいと思う。

 1歳を過ぎたころには色々なものに興味を持つようになり、電車や働く乗り物が特に好きで、トーマスや新幹線のプラレールで一部屋使うぐらいよく遊んでいる。京都の鉄道博物館も行ったりしたがコロナ禍で行きにくくなったため、出掛けるとなると近所の公園か駅前にあるバスロータリーが多い。
私の住んでいる地域はバスが結構多いので、バスに「バイバーイ」と言って手を振るのがすごく楽しいみたいで停車中たまに振り返してもらったら大興奮している。特に毎週2回のゴミ捨ての日は、家の前にゴミ収集車が通るので、毎回「バイバーイ」と大きな声を出しながら手を振っており、収集車の人も家の前を通る時は助手席の人が手を振ったり上げたりしてくれるので息子は大喜び。前日に明日は収集車の日やで、と言うとめっちゃ早く寝てくれる。

 今年に入ってからはトイレトレーニングをすることになった。最近のオムツは優秀でかなりの量を吸収できたり、おしっこをした後でもそれほど気持ち悪い感じがしないらしいので、ちょくちょくトイレやおまるでやってもらおうとしたが、なかなか上手くいかない。もし濡れても風邪の引きにくい夏頃から息子の好きなトーマスのキャラクターパンツや、新幹線パンツなどを履かせるようにして、おしっこをしたらビショビショになって気持ち悪いというのを覚えてもらうようにした。こまめに「トイレに行こう」と声掛けもするようになって、成功したら大げさに褒める。最初は失敗が多くて色々と大変だったが日を追うごと成功率があがり、1週間もしないうちに、大きい方まで完璧に出来るようになった。よく子育てサイトとかも見るが、トイレトレーニングは親の覚悟(失敗時の掃除)が必要と書いてあった。確かに覚悟は必要だったと大いに納得した。

 最近では妻がコロナワクチン接種の打ち手として出かけることが多くなり、昼食や夕食を作る機会もかなり増えた。一人暮らしの時から自炊は結構していたので、ご飯を作るのは結構好きだったりするのだが、自分たちの食べ物だけでなく、子供用のごはんは考えるのも作るのも大変。オムレツやそぼろご飯、ハンバーグ。スープ類はコンソメ系や鶏がら系を食べてくれるので、結構同じのを作ったりしている。毎日色々作ってくれている妻には感謝の言葉しかない。

 一子だけでこの大変さなのだから、世の中の二子三子いる家庭、ワンオペ育児の家庭とかの大変さは想像以上だろう。
世の中の見方がかなり変わってしまった。
 
 幸い大きな病気や怪我もなく過ごせている。このまま平穏に暮らせている幸せを感じながら成長を見守りたいと思う。