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「観る将」が観た第4回ABEMAトーナメント予選Bリーグ第二試合

5月8日にABEMAトーナメント予選Bリーグ第二試合が放映されました。チーム康光「シン・レジェンド」対チーム糸谷「FREESTYLE」の顔合わせとなっています。チーム糸谷は第一試合でチーム菅井を破っており、この試合に勝てば予選通過が決まります。チーム康光は前回ベスト4と同じメンバー構成になっており、優勝候補の一角として予選敗退は許されません。

■一局目 谷川九段vs山崎八段
緊張感のある一局目は、先手の山崎八段が相掛かり志向の将棋を目指しましたが、谷川九段が力戦調の駒組みを進めます。角交換の後、山崎八段が先に▲6六角と打ち相手の飛車の動きを牽制します。谷川九段は相手の角を捕獲し角銀交換の駒得に成功しますが、山崎八段は▲4三銀から敵玉に殺到します。谷川九段の玉は絶体絶命に見えましたが、谷川九段の辛抱の受けの前に千日手となりました。
指し直し局は、先後が入れ替わりましたが千日手局と似たような駒組みで進みます。谷川九段は歩得を活かして1筋から端攻めします。山崎八段も8筋から反撃しますが、流れるような谷川九段の攻撃は止まらず、最後は相手の歩頭に桂を打つ▲4四桂を見て、山崎八段の投了となりました。

■二局目 森内九段vs糸谷八段
一局目を落としたチーム糸谷はリーダーを投入し、早くもエース対決が実現しました。戦型は後手の糸谷八段が一手損角換わりを選択しました。森内九段は銀を捨てて馬を作り、相手の桂香を拾います。糸谷八段も8筋に戦力を集めて反撃します。森内九段もギリギリの受けで粘りますが、時間に余裕のあった糸谷八段が読み切り即詰みに討ち取りました。

■三局目 佐藤(康)九段vs服部四段
チーム糸谷はキーマン服部四段の登場です。後手の佐藤九段は、雁木から右玉に構えます。お互いに飛先の歩を交換した後、服部四段はいきなり▲2五桂と仕掛けます。佐藤九段は9筋から端攻めすると、服部四段も馬を作って対抗します。盤面全体に戦火が広がり難しい終盤戦になりましたが、最後は佐藤九段が△9七角から即詰みに討ち取りました。

■四局目 谷川九段vs山崎八段
一局目と同じ顔合わせになりました。先手の谷川九段が角換わりに誘導し、山崎八段は最近流行の△3三金型を選択します。力戦調の将棋となりましたが、谷川九段は1-2筋から仕掛けて竜を作ります。山崎八段は相手の玉頭から反撃し、谷川九段は時間に追われながら手厚い受けで跳ね返します。谷川九段が受け切ったかに見えましたが、山崎八段も谷川九段の反撃をかわして、最後は受けなしとなった谷川九段の投了となりました。

■五局目 森内九段vs服部四段
2勝2敗のタイとなり、チーム康光はエース投入です。先手の服部四段は角換わりに誘導し、早繰り銀で仕掛けます。森内九段は7筋から反撃しますが、服部四段は▲7三角~▲7二銀と飛車を追って凌ぎます。服部四段が上手く抑え込んだように見えましたが、森内九段は△7六歩から鋭く反撃し、最後は竜を切って鮮やかに即詰みに討ち取りました。

■六局目 佐藤(康)九段vs山崎八段
先手の佐藤九段が矢倉に誘導しましたが、山崎八段は角道を止めずに中住まいに構えます。お互いに2枚の銀を中央に進めますが、山崎八段は相手の歩頭に銀を進める△3五銀から攻勢を仕掛けます。佐藤九段も相手の玉頭から反撃し難しい終盤戦となりましたが、山崎八段は△8五桂から相手の左辺を突破し即詰みに討ち取りました。

■七局目 森内九段vs服部四段
五局目と同じ顔合わせとなりました。先手の服部四段は作戦会議での宣言通り相掛かりに誘導します。森内九段が先に飛先の歩を交換し、飛車を五段目に引きます。これを見た服部四段は、飛先の歩を交換して八段目まで引きます。服部四段は7筋の歩を伸ばし、飛車取りに▲5六角と打ち桂を捕獲します。服部四段は端を突破して攻め込み好調に見えましたが、森内九段は攻防織り交ぜ反撃し、最後は挟撃体制を作って即詰みに討ち取りました。

■八局目 谷川九段vs糸谷八段
後がなくなったチーム糸谷は、残り2局をリーダーに託します。後手の糸谷八段は角道を止めて雁木に構え、谷川九段の角換わりを避けます。谷川九段は一瞬の隙を突いて▲7五桂から金得し、更に角と金の交換に成功して駒得を拡大します。糸谷八段は防戦一方となり巧みに粘りましたが、谷川九段は緩みなく最短の寄せを魅せ快勝となりました。

【チーム康光 5勝 vs チーム糸谷 3勝】
二局目以降は後手番の勝ちが続き一進一退の展開となりましたが、八局目に谷川九段が相手のエースを鮮やかに破ってチーム康光が勝利を掴みました。前回特に目立った活躍のなかった谷川九段が落ち着いた手さばきで実力を発揮し、チーム康光はベスト4となった前回よりパワーアップしたように感じます。次の第三試合に敗れても3勝すれば予選突破となりますが、是非勝って1位通過を目指して欲しいと思います。
チーム糸谷は、この試合は敗れたものの第一試合と合わせて8勝7敗となり、予選突破を決めました。期待の服部四段が、この試合では佐藤(康)九段と森内九段の重鎮を相手に勝つことができませんでしたが、中盤まで優勢な局面もあり本戦での活躍が楽しみです。

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