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「観る将」が観た小山怜央アマの棋士編入試験第三局

1月20日、小山怜央アマが挑む棋士編入試験の第三局が行われました。第二局までに2勝を挙げた小山さんが、本局にも勝って一気に合格を決めるのか、非常に注目される一局となりました。

小山さんは12月27日に行われた竜王戦6組2回戦で、今期の勝率が8割を超え、第一局の試験官を務めた徳田四段にまたしても勝ち、好調を維持しています。

第三局の試験官となる狩山幹生四段は2021年10月にプロ入りした21歳で、プロ入り後の成績は22勝16敗(勝率0.579)です。

戦型は相雁木

先手の狩山四段が角道を止め、相雁木の将棋となります。狩山四段は▲6八角と引き中住まいに構えると、小山さんも似たような陣形で追随します。狩山四段は飛車先の歩を交換して角も交換しますが、小山さんは相手の出方を待つ様子で、千日手の可能性が漂います。

狩山四段の地下鉄飛車

狩山四段が地下鉄飛車で8筋に回した飛車を4筋に転回して飛先の歩を交換すると、小山さんも飛先の歩を交換します。狩山四段は再び飛車を8筋に回しますが、小山さんは2筋の歩を伸ばします。狩山四段が▲8五桂と跳ね、小山さんが次の88手目を考慮中に昼休となりました。形勢はわずかに小山さんに振れているようです。

小山さんも地下鉄飛車

昼休が明けると小山さんは飛車を2筋に転回し、狩山四段が歩で受けると△5三桂と打ちます。狩山四段が7筋で桂を交換して8筋の歩を伸ばすと、小山さんは歩で受けます。狩山四段が▲4七桂と打って銀の両取りを狙うと、小山さんは△2四角と打って桂頭を狙いますが、形勢はわずかに狩山四段に傾いているようです。

中央を制圧

狩山四段は3筋の歩を突き捨てて角の利きを止めてから▲5五歩と突き、小山さんが3筋の歩を伸ばして角の利きを通すと▲5六銀左と上がって中央を制圧します。小山さんが玉を6筋に逃がして辛抱すると、狩山四段は▲8六角と打って攻め駒を足しますが、形勢はほぼ互角に戻ります。

桂の打ち合い

狩山四段が9筋を端攻めすると、小山さんは△9七歩と垂らして反発し、"と金"を作って先手の飛車を追います。小山さんが更に金銀両取りに△4五桂と打つと、狩山四段も▲5五桂打と銀に当てて攻め合います。小山さんは取られそうな銀を△3四銀と相手の歩頭に出ますが、取ると後手の角の利きが通るので、狩山四段は▲4五歩と桂を取り再び優勢の局面を築きます。

狩山四段の踏み込み

小山さんが△4五同桂と金銀両取りに跳ね、金桂交換して角取りに△9六金と打つと、狩山四段は角を見捨てて▲3四歩と銀を取ります。小山さんは角を取りますが、狩山四段は銀取りに▲4六桂と打って攻め掛かります。小山さんが歩で銀を支えると、狩山四段は▲3三歩成と"と金"を作ります。

狩山四段の寄せ

小山さんは攻防に△9五角と打ちますが、狩山四段は構わず王手で銀桂交換してから▲4三"と"とじっと寄せます。小山さんは△8七金と開き王手を掛け、狩山四段が桂で合い駒すると、金を交換して△5一桂と自陣に手を戻します。狩山四段が▲3五桂と跳ねて"と金"に紐を付けると、小山さんはやむなく△5五歩と桂を1枚剥がします。

鮮やかな即詰み

狩山四段が"と金"で金を剥がしてから、空いたスペースに▲5四銀と楔を打つと、小山さんは△6三金打と粘ります。狩山四段は▲4三銀打から後手玉を追い、飛車を角と刺し違えて▲5二角と打ち、鮮やかな即詰みに討ち取りました。

まとめ

本局は相雁木の将棋となり、お互いに隙のない陣形を敷いて千日手模様となりましたが、狩山四段は飛車を左右に動かして打開しました。盤面中央で桂が飛び交う難しい中盤戦となりましたが、狩山四段が受けの強さを発揮して後手からの攻撃を防ぐと、一瞬の隙を突いて踏み込み寄せ切りました。
狩山四段はプロの意地を見せた形となりましたが、対局後には「強いのは分かっていたので挑戦する気持ちでぶつかりました」と謙虚に話しています。小山さんは敗れたものの、あと1勝すれば合格という状況は変わりません。2月に予定されている第四局で、夢を掴み取れるよう期待したいと思います。

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