将棋界の2024年女流タイトル戦を総括
2024年における将棋界の8つの女流タイトル戦がすべて終わりましたので、この1年を総括しておきたいと思います。
※本稿ではタイトル称号では混乱するので、女流棋士の呼称は「さん」付けとさせていただきます。
2024年の女流タイトル戦は、福間さんの妊娠・出産による休場・不戦敗が、女流棋界に大きな課題を投げかける1年となりました。女流王座戦と倉敷藤花戦は休場明けに延期という対応となりましたが、白玲戦と女流王将戦は日程変更が難しく、不戦敗という扱いでシリーズを敗退せざるを得ませんでした。日本将棋連盟は現行ルールの見直しを検討すると発表しており、女流棋士が妊娠・出産により不利益を被らない改革になることを期待しています。
年内に行われたタイトル戦では、福間さんが女流名人戦を奪取した以外はすべて防衛という結果となりました。年初には四冠だった福間さんが五冠に復帰し、西山さんと2人で8タイトルを分け合う構図は変わっていません。年明けに延期された2棋戦は、いずれも福間さんがタイトルホルダーであり、福間さんが五冠を維持できるか注目されます。
福間さんと西山さんの2人を中心に回っている女流タイトル戦ですが、今年は大島さんが初めてタイトル戦に登場したことが注目されます。内山さん、加藤(結)さん、野原さんら若手が着実に力を付けているのに加え、アマ時代に輝かしい実績を残してきた磯谷(祐)さん、奨励会出身の今井さんらも各棋戦で活躍しており、徐々に層が厚くなってきた女流棋界で誰が二強を脅かす存在になるのか、楽しみに見守っていきたいと思います。
そして女性としては福間さん、西山さんに続いて3人目の奨励会三段を経験した中さんが11月付けでデビューしています。既に予選が始まっている棋戦では翌期からの出場となりますが、近い将来タイトル戦に顔を出してくることを期待したいと思います。