「観る将」が観た第34期竜王戦決勝トーナメント 藤井二冠vs八代七段
8月6日に竜王戦決勝トーナメント準決勝、藤井聡太王位・棋聖と八代弥七段の対局が行われました。
藤井二冠は2組ランキング戦で優勝し、本戦では1組3位の山崎八段を破って本局に臨みます。八代七段は2組ランキング戦で藤井二冠に敗れて準優勝となりましたが、本戦では3組優勝の三枚堂七段と1組2位の久保九段を破って再び藤井二冠に挑みます。八代七段は先日まで11連勝を記録するなど他の棋戦でも好調で、藤井二冠へのリベンジ成るか注目されます。
振り駒で先手となった八代七段は矢倉に誘導し、藤井二冠は急戦調の駒組みを進めます。藤井二冠が6筋の位を取り、先に八代七段が3筋から仕掛けると、藤井二冠は△6四角と好所に飛び出し先手の飛車を睨みます。八代七段はいったん角交換してから右銀を前進させます。藤井二冠は8筋の継ぎ歩攻めに絡めて、再度△6四角と打って先手の飛車を1筋に閉じ込めます。藤井二冠は飛車を中段に浮いて活用を図ると、八代七段は苦心の手順で阻止しますが、AIの評価値は少し藤井二冠に傾いてきたようです。
後手の歩が3枚六段目に進出し、先手陣はかなり窮屈になってきました。藤井二冠は桂で金を奪うと△2八金と打ち込み先手の飛車を捕獲します。防戦一方となっていた八代七段は、飛車を取られる間に角を取り返し、自陣角を打って反撃しますが、藤井二冠は落ち着いて攻め駒を補充します。最後に八代七段は桂で金銀両取りを掛けますが、藤井二冠が△3九飛と王手したのを見て無念の投了となりました。
本局は八代七段が得意とする矢倉の将棋になりましたが、藤井二冠が中盤に打った△6四角が先手の駒組みに制約を与え、最後は飛車の捕獲に一役買いました。結果的に八代七段には効果的な攻めのターンは回らず、藤井二冠の完勝譜となりました。
この結果、藤井二冠は自身初の竜王戦挑決三番勝負に進出し、永瀬王座と挑戦権を争うこととなりました。挑決三番勝負は8月12日に開幕するとのことなので、8月9日に予定されている叡王戦第三局を挟んで中2日での対局が続きます。相変わらず過密日程が続きますが、万全の体調で好局を魅せて欲しいと思っています。
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