ABEMA師弟トーナメント2022 予選Aリーグ1位決定戦
12月10日、ABEMA師弟トーナメント2022 予選Aリーグ1位決定戦が放映されました。チーム谷川「昇竜」とチーム畠山「熱風」の顔合わせとなっています。
一局目:都成竜馬七段 vs 畠山鎮八段
両チームとも1回戦と同様、都成七段と畠山八段が先陣を切ります。先手の都成八段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換します。両者とも雁木に構えてジリジリした駒組みが続き、畠山八段が1筋の香を上がって地下鉄飛車を匂わせると、都成七段も9筋の香を上がります。畠山八段が9筋の香も上げると、作戦会議室では斎藤八段が「危ないなぁ、それは」とつぶやきます。都成七段が飛車を9筋に回すと、畠山八段も飛車を9筋に回してから逆方向の1筋の歩を突き捨てます。都成七段が8筋の歩を伸ばしてから1筋の香を取り合い、更に9筋の歩をぶつけると、畠山八段は3筋の歩をぶつけて攻め合います。都成七段は9筋の歩を取り込み8筋に香の2段ロケットを設置して突破しますが、畠山八段も3筋の歩を取り込み、飛車を9筋に回して先に竜を作ります。都成七段は金銀両取りに継ぎ桂を打って金を剥がしますが、畠山八段は飛頭に歩を連打し香と桂で押さえ込みます。両者時間に追われながらも決定打を与えず大激戦となりましたが、最後は都成七段が"と金"を2枚作って寄せ切りました。
チーム谷川:1勝 - チーム畠山:0勝
二局目:都成竜馬七段 vs 斎藤慎太郎八段
チーム谷川は勝った都成七段が連投します。後手の都成七段が三間飛車に振ると、斎藤八段は角を交換して角成の両睨みで▲6五角と打ちます。斎藤八段が▲2三角成と馬を作りますが、都成七段は構わず3筋の歩を伸ばして先手の飛車のコビンを開け、△5五角と飛香両取りに打ちます。斎藤八段が桂を跳ねて香を守ると、都成七段は飛角交換はせず、飛車を走って△7六飛と回って歩損を解消します。斎藤八段が▲5六馬と引き付けると、都成七段は△7五角とぶつけます。斎藤八段は2筋の歩を交換して馬で取ってかわしますが、都成七段は9筋の歩をぶつけて端攻めします。斎藤八段が▲6五桂と跳ねると、作戦会議室で畠山八段が「なんだそれは!その才能についていけないよ」とつぶやいています。この桂はタダで取れますが、空いたスペースに歩を打つと後手の飛車が捕獲されます。都成七段は角を馬にぶつけて飛車の退路を作りますが、斎藤八段は馬と角の交換に応じ、桂も交換して金銀両取りに▲3四桂と打ちます。都成七段は構わず攻め込みますが、斎藤八段は更に飛銀両取りに▲6六角と追撃します。都成七段は銀捨てから飛金両取りの技を魅せましたが、斎藤八段が冷静に飛車をかわすと潔く投了を告げました。
チーム谷川:1勝 - チーム畠山:1勝
三局目:谷川浩司十七世名人 vs 斎藤慎太郎八段
チーム畠山も勝った斎藤八段が連投します。先手の谷川十七世名人が角道を止めて雁木に構え、斎藤八段はしばらく先後同型の駒組みを進めます。斎藤八段が先に入城すると、谷川十七世名人は4筋から仕掛け、7筋の歩もぶつけます。斎藤八段が1分以上考えて飛車を浮いて桂頭を守ると、谷川十七世名人は7筋の歩を取り込んでから3筋の歩をぶつけます。斎藤八段は更に2分以上考えて8筋を継ぎ歩で攻めますが、谷川十七世名人は6筋と2筋の歩を突き捨ててから8筋の歩を取ります。斎藤八段は残り2秒まで考えて8筋の桂頭を叩き、角を交換してから銀取りに△4四角と打ち直します。谷川十七世名人が▲7七銀と引くと、斎藤八段は△8五桂と跳ねて攻めを加速します。谷川十七世名人は飛頭を叩いて後手の飛車を7筋に寄らせると、3筋の桂を交換してから歩の連打で銀を吊り上げ銀の両取りに▲4六桂と打ちます。斎藤八段は手抜いて銀取りに△6四桂と打ちますが、谷川十七世名人は桂で金を取って王手し、歩で後手の角の位置を変えてから角金両取りに▲3五銀と打ちます。斎藤八段は丁寧に受けて自陣の傷を消してから、△4六角と打って攻め掛かります。両者時間に追われる中、谷川十七世名人が時計を押し忘れるハプニングがありましたが、斎藤八段は紳士的に時計を指差し事なきを得ます。最後は谷川十七世名人が王手飛車を掛けますが、斎藤八段は飛車を取らせる代わりに先手玉を受けなしに追い込みました。
チーム谷川:1勝 - チーム畠山:2勝
四局目:谷川浩司十七世名人 vs 畠山鎮八段
四局目は師匠同士の対決となりました。先手の畠山八段が矢倉を選択し、谷川十七世名人は流行の急戦含みの駒組みを進めます。畠山八段が飛先の歩を交換すると、谷川十七世名人は6筋の歩を交換して桂を跳ねます。作戦会議室では斎藤八段が「5五歩は危ないから、6八角引きましょう」とつぶやいていますが、畠山八段は▲5五歩と突きます。谷川十七世名人が飛先の歩を交換すると、畠山八段は2分近い長考で右銀を左に引いて守りを固めます。ジリジリした駒組みが続きましたが、谷川十七世名人が9筋を端攻めして香交換すると、畠山八段は▲2七香と飛車の前に設置します。谷川十七世名人は△2二香と受けますが、畠山八段は端攻めで1筋を突破し"と金"を作ります。谷川十七世名人も△1七歩成と飛び込み、香を取り合って飛車に当てますが、時間に追われた畠山八段は構わず▲2三香成と飛び込みます。谷川十七世名人が飛車を取ると、畠山八段は▲1五角と飛び出して後手陣を睨みます。まだ1分以上残している谷川十七世名人が冷静に△1九飛と打って角に当てると、畠山八段は"と金"で金を剥がしてから角を2筋にかわし、首を傾げて頭に手を当てます。谷川十七世名人は自玉の安全を確保してから8筋に香を2枚並べ、二段ロケットを発動して寄せ切りました。
チーム谷川:2勝 - チーム畠山:2勝
五局目:都成竜馬七段 vs 斎藤慎太郎八段
フルセットとなり、両チームとも弟子に託します。振り駒で先手となった都成七段が相掛かりに誘導し、斎藤八段は受けて立ちます。都成七段が1分以上考えて5筋の歩を突き、銀で支えて位を確保すると、斎藤八段も1分以上考えて右玉に構え、5筋の歩を交換します。盤面中央での小競り合いが続きましたが、斎藤八段が7筋の歩を交換して銀を前進すると、都成七段は4筋の歩をぶつけます。斎藤八段は構わず8筋の歩を突き捨て角頭を叩きます。都成七段は角を引いて辛抱し、4筋の歩を取り込んでから桂交換します。両者時間に追われての激戦となりましたが、都成七段は角金両取りに▲4五桂と跳ね、金桂交換してから王手角取りに▲4五桂と打ちます。斎藤八段は桂を打って懸命に粘りましたが、都成七段は金銀で後手玉を追い詰め、最後は詰めろ飛車取りを掛けて寄せ切りました。
チーム谷川:3勝 - チーム畠山:2勝
予選Aリーグ1位決定戦の結果
チーム谷川は弟子の都成七段が、決着局で相手チームの無敗のエースにリベンジして、チームの決勝進出に大きく貢献しました。師匠の谷川十七世名人も往年の鋭い踏み込みが冴え、2試合続けて着実に白星を挙げました。都成七段は子どもの誕生や弟子取りなど「背負うものが増えた」ことも勝因の一つだそうで、決勝でもこの勢いが続くのか注目されます。
チーム畠山は弟子の斎藤八段が1回戦から4連勝と好調でしたが、決着局で力尽きました。師匠の畠山八段はこの日は勝ち星に恵まれず、2位決定戦に回ることになりました。前回優勝の経験を活かして勝ち上がることを期待したいと思います。
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