『王国(あるいはその家について)』について(あるいは相対化と身体について)
最近、ゴダールばかり観ているので、ゴダールの話からはじめてしまうのだが、ゴダールはむちゃくちゃなことばかりやっているせいであまり目につかないが、実は単純かつ圧倒的な「美しいショット」を撮れる映画作家だ──いや、正確にいえば映画作家だった。長篇でいえば2004年の『アワーミュージック』までで、「天国」パートの映像など、恋でもしたみたいにうっとりしてしまう。しかし、2010年の『ゴダール・ソシアリズム』以降になると話は変わってくる。ビデオカメラで撮られた映像はどぎつい色だし、まず