左利きの生徒さんへの書道の指導③ー中川雨邨先生の場合
左利きの生徒さんの指導の仕方につきまして、
書道玄海社・師範の中川雨邨先生
にお話を伺いました。
<主宰されている書道教室の概要についてお教えください>
茨城県牛久市で書道教室を開設しています。
玄海社の硯友支部としての指導歴は18年です。
生徒さんの性格を把握し、一人一人に合った一番良い指導法を見つけ、本人が上達できるように導いています。
<左利きの生徒さんへの指導はどのようにされてますか>
初めて教室に入ったお子さんは、左利きのままで良いのかと思って左で書き出しました。それを見て私は「お習字は右手で書くんだよ」と毛筆は右手で書くことを指導しています。
最初は右手で筆を動かす(書く)ことにだいぶ違和感があったようですが、数カ月のうちに少しずつ慣れてきたようです。
<これまで多くの左利きの生徒さんをご指導されていらっしゃいますが、生徒さん達の反応はいかがですか?>
教室に通っている3名の、左利きの生徒さんに感想を聞いてみました。
中2(女):先生から「お習字は右手で書くんだよ」と教えられ、右手で始めましたが、最初は何か不自由な感じがして、上手く書けませんでした。でも教室の友達はみんな右手で書いているので、私も右手で書いているうちに慣れることができました。
やはり先生の言う通り、書道は左手では書けないし、今では6段にまでなれて、右手に直して良かったと思っています。先生に感謝しています。
5年(男):先生に言われて、右手で書けるようになるために右手で筆を持って練習しました。はじめは筆をうまく動かせなくて、書きにくかったです。
習字を続けて上手になりたいから、頑張って右手で書いてるうちに、少しずつ上手に書けるようになってきたので良かったです。
4年(女):名前のような小さい字を書くときに、手がふるえてしまった。細い線を書くと、フラフラとした線になってしまった。
書きにくくても、ずっと右で書いているうちに、少しずつ上手に書けるようになれて嬉しいです。
<先生の左利きの生徒さんの指導にあたってのポリシーをお教え下さい>
① 毛筆の横画・縦画の、穂先は常に左上に向かせる。
② 右波法(払い)は 最後まで穂先が線の上面を向かせる。
③ 書道は腕全体を使って書き、左手は必ず半紙の左端を軽く押さえる。
以上の基本を念頭に置き、現在の書き難さはすぐに解消される、必ず右利きの生徒と同じに書けるようになることを生徒に伝えて、私も根気強く指導しており、生徒も我慢強くそれに応えてくれています。
どうも有難うございました。 (インタビュアー 池山光琇)